サーの奇妙な体験 19
2人は無事に家に着いて、テーブルの上のかすみ草に、母は驚きます。
母
立派なかすみ草。これだけ大きいと豪華で素敵よね
サーお母さんがかすみ草好きな事知ってたの?
サー
え〜⁈
お母さん、好きだったの?
知らなかった
ビックリ!
母
あら、そうなの〜?
じゃ、偶然?
母は、かすみ草をじぃーっと見つめています。
母
この花にはいろんな思い出があってね。
かすみ草を見ているとね、その思い出が蘇ってくるんだよね…
たのしい思い出、つらい思い出
お母さんだっていろいろあったんだよ〜
お父さんに、初めてもらったのが、このかすみ草だったんだよ。やっぱり血なのかね。
考える事、同じなのかもね(笑)
サー
そうなんだ…
でも良かった。このお花、お花屋さんで薦められてね。
昨日、お母さんをビックリさせようと思ったら、全く逆に私の方がビックリして大変だったんだよ!
もう、あんな事やだからね!
母
ごめんね。
もう大丈夫だからね
でも病院にいると、本当に病気になってきちゃう様な気になるね。
やっぱり入院はしたく無いね
そういえば、例のお食事会、今夜でしょ?
行ってきなさい
お母さんは大丈夫だから
サー
でも昨日、みんなに頼んだから
それで、私は、今日お母さんに付き添う事に決めたから大丈夫
その為に、仕事も休ませてもらったんだし
これで、飲み行ったのバレたら怒られるよ
それにきっと人数も3人に、修正してると思うしね。
だから気にしないでね
母
なんか予定壊しちゃってごめんね
サー
お母さん、もう大丈夫だから!
そう言えばお腹すいてない?なんか食べようか?気がついたらもう3時だよ。私、朝から何も食べてないから、お腹ペコペコだよ。
母
じゃあ、何か作ろうか?家に帰ってきたら、元気になってきたよ。本当にピンピンしてるから。
二人は笑顔でキッチンに立ち、少し遅い昼食を作り始めました。サーは母と一緒に料理をしながら、日常の温かさを感じていました。母が元気そうに動き回る姿に、やっと普通の生活が戻ってきたんだと心から安心しました。母との穏やかな時間が、サーにとってかけがえのないものだと改めて感じました。
18時30
池袋のサンシャイン通りにあるとある居酒屋にて。
ミユ、わかな、そしてマーさんの3人は無事に合流し、楽しいひと時を過ごしています。
ミユ
改めて、この前は本当にありがとうございました!
わかな
ありがとうございました!
マー
いえいえ、たいしたことないから気にしないで。でも、何もなくて良かったね。
ミユ
あのあと3人で食事したんですけど、最初はなんか怖くて、全然いつものように盛り上がらなかったんですよ。
わかななんて目に涙溜めちゃって
ね〜、わかな!
わかな
そこまでいってないじゃないですか〜。ミユさん、ちょっと盛ってません?
ミユ
そんなことないよ。事実だもん!
マー
でも、怖いのは当たり前だよ。今の時代、何が起こるかわからないからね。
ミユ
わかななんか、もう泣きべそかいちゃってさ(笑)。
わかな
も〜、そこまでいってないですって!
ミユ
ホントだよ!もう、ちょっとお酒飲んだらすぐ泣いちゃって、可愛かったけどね。
わかな
やめてくださいよ〜、マーさんに変なイメージついちゃうじゃないですか!
マー
いやいや、大丈夫だよ。みんな無事で良かったんだから、今日は楽しく過ごそう!
3人は笑い合いながら、お酒を飲み交わし、どんどん盛り上がっていきます。居酒屋の賑やかな雰囲気と相まって、笑い声が絶えない楽しい時間が過ぎていきました。
ミユ
今夜の会、本当はサー先輩が一番楽しみにしてたんですよ!あの食事の時も、マーさんのことずーっと気にしてて、お酒が入りだしたらいつものように盛り上がったんですけど、帰りに『もう一度公園行ってみよう』って言い出して。」
わかな
えぇー、サー先輩そんなこと言ってたんですか?
ミユ
覚えてないの?
もしかして酔ってたの?
わかな
そんな事ないですよ〜ぉ
ミユ
そうなんですよ!もしまたあの人たちがいたらとか話してて、サー先輩が『マーさんが助けてくれたから、もし倒れていたらどうするんだ』って、そう言って私たちを説得したんです。
わかな
その時は私、もう二度と公園には近づかないって思ってましたけどね!
マー
そうだったんだ。彼女に感謝しなくちゃな〜。そのおかげで、こんな素敵な食事会に招待してもらえたんだもんな〜。
ミユ
そうですよ!サー先輩がいなかったら、私たちだけじゃこんな楽しい夜は過ごせなかったですよ。彼女って本当に頼りになるんです!
わかな
でも、サー先輩って、ちょっとおっちょこちょいなところもあるんですよね~。
ミユ
そうそう、でもそこがまた可愛いんですよね!あ、マーさん、サー先輩が前に言ってたんですけど、彼女、なんでも最後まで諦めないタイプなんですよ。だから、あの時も絶対にあの公園に戻らないと気が済まなかったんです!
マー
それはすごいな。彼女のこと、ますます気になるなぁ。
ミユとわかなは顔を見合わせて笑いながら、サー先輩のことを必死にアピールしていました。楽しい会話の中で、サー先輩のエピソードはさらに盛り上がり、みんなで笑い合う楽しい夜が続きます。
サーちゃんのお母さんは大丈夫なのかな?
わかな
さっき仕事終わって、連絡したんです
そうしたら、無事退院したって言ってました。お母さん、貧血で倒れて、頭に怪我をしたみたいで、大きな問題は無いと言ってました。
マー
それは良かった
たいした事がないのが1番だよね
わかな
マーさんは、サー先輩のことどう思いますか?
マー
え〜!
わらいながら、動揺するマー
マー
素敵な女性!
突然言われてもなんてコメントすれば良いか悩みます
ミユ
わかな、ストレートすぎるよ
もう少しオブラートに包まないと
わかな
ごめんなさい
サー先輩、きっとマーさんの事好きなんですよ!
ミユ
だから、わかなわかってる?
さっきからストレートすぎるでしょ!
わかな
だって回りくどいの大変じゃないですか〜?
2人のやり取りを聞いていて、マーは笑い出しました。
マー
2人ともサーちゃん思いなんだね(笑)
なんか、やっと打ち解けた感じがするよ
2人のやり取り最高だね
絶妙なコンビネーションだね(笑)
サーちゃん2人がいるから安心できると言ってたよ
すごくそれが伝わったよ
ミユ
でもわかなは簡単に言い過ぎ!
わかな
そんな事ないです。サー先輩は奥手なんですから!
だから私たちが…
マー
わかった、わかった(笑)
3人本当に仲いいんだね〜
本当に楽しいよ
ますます、サーちゃんに会いたいね
わかな
じゃ、いつ会いますか?
段取り作りますよ(笑)
ミユ
あんたは〜もう〜
知らない!
マー
大丈夫だよ
自分でLINEしてみるから
なんか恥ずかしいしね
ミユ
あっ、いけない!名刺ケース忘れてました。
ミユはカバンの中をゴソゴソ探し出し、名刺ケースを取り出しました。
ミユ
遅くなりました。
こちらですよね
マー
ありがとう
間違いないよ
でも、まだいいよ
ミユ
なんでですか?
マー
だって、これ返してもらったら
サーちゃんに会う言い訳無くなっちゃうでしょ
これがあれば、サーちゃんと、堂々と会えるかなと思ってね
ミユ
さすがですね、マーさん
サーさん言ってましたよ
優しくて、心遣いがすごいって
マーさん、これですね!
わかな
サー先輩、これでころっといってしまったんですね〜
ミユ
また〜ぁ
なんですぐそっちに持っていこうとするのよ〜ぉ
サーさんに言っちゃうよ!
わかな
すみません
それだけは勘弁して下さい(笑)
ミユ
でも本当に、マーさんって気遣いすごいですね。サー先輩も、きっとこんなに気を遣ってくれる人、サーさん初めてなんじゃないかな?だからすごく感動してるんだと思いますよ
マー
いやいや、気遣いって(笑)。仕事柄、接客業だからね。長年やってると自然にね
だから意識はしていないよ
ただ、サーちゃんのことが心配だったからさ。あともう少し彼女のことを知りたいしね。
わかな
マーさん、優しすぎますよ。私たちもサー先輩のこと、すごく頼りにしてるんです。
サー先輩もす〜ごく優しいから
ミユ
そうそう。サー先輩って、天然なところもあるけど、それもまた可愛いんですよね。
でも、本当に優しい人で
例えば、昨日もお母さんのためにかすみ草買って、ビックリさせる予定だったんです
でもお母さんが倒れててそれどころではなくなって
部屋に帰ってきて、
涙ぐみながら花瓶にさしてたんですよ。
メールもらって感動しちゃって泣いちゃいました。
マー
それ、なんか想像できるな。彼女って本当に心優しいんだね〜
ミユ
そうなんです。だから、マーさんもこれからサー先輩ともっと仲良くしてくださいね。
わかな
私たちも応援してますからね!
ミユ
でも、あんまりサー先輩をいじめちゃダメですよ(笑)。彼女、本当に純粋だから。
マー
わかったよ。彼女のこと、大事にするよ。
でもなんか話の内容が全然違う方向にいってないかい?
3人は笑いながらサーの話で盛り上がり続け、楽しい夜がどんどん過ぎていきました。
ミユが『サー先輩、こんなに面白いエピソードたくさんあるんだ!』と笑いながら話し、わかなも『本当に!サー先輩って実はすごくお茶目なんですよね!』と賛同しました。マーさんもニヤリと笑い、『確かに、彼女の話を聞いてると、あっという間に時間が過ぎるね』と答えました。
やがて、ラストオーダーの時間になり、店員が静かに告げると、ミユが『えー、もうラストオーダー?』と驚いた声を上げました。わかなも「本当に時間が経つのが早いね!」と時計を見ながら笑いました。
ミユ
じゃあ、最後に何を頼もうか?
わかな
うーん、デザートでも頼んじゃおうか?
マー
じゃあ、僕はもう一杯だけビールを。
3人は笑いながら最後の注文をし、デザートとビールを楽しんでいました。ミユが『こんな楽しい時間、もっと続けばいいのにね』としみじみ言うと、わかなも『そうですね、でも、また次の機会が楽しみですね!』と答えました。
やがて、店内の照明が少し暗くなり、店員が閉店の挨拶を始めると、ミユが「さて、そろそろお開きかな?」と笑顔で言いました。お会計も済ませて、マーさんは『うん、今日は本当に楽しかった。またみんなで集まろうね』と言って、軽く手を振りながら先にお店を出て行きました。
ミユとわかなは店の外に出てからも笑い続け、『私たち、よく頑張ったよね!』とお互いを褒め合いました。わかなが『サー先輩にいい報告ができるよね』と言うと、ミユも『うん、サー先輩も喜ぶと思う!』と嬉しそうに答えました。二人は再会の約束を胸に、満足感と達成感を感じながら、帰路についたのでした。
続く




