サーの奇妙な体験 18
3月20日 火曜日
サーは目覚めてから、支度をしてすぐに母の病院にむかいます。
昨夜はいろいろな事を考えて寝不足でしたが
少しでもお母さんの様子を知りたくて
病院について、受付に面会の手続きを済ませ病室に行きましたが、母は検査中のためいませんでした。
サーは、自分なりに考えて、検査に行ったって事は意識がちゃんと戻ったって事だからもうだ大丈夫って事だよね!と自分に言い聞かせていました。
その時、あ、そうだマーさんに今夜のこと今のうちに報告しておこうと思いつきました。
携帯を取り出して
サー
おはようございます。
マーさんごめんなさい。
お母さんが昨日倒れて今入院してしまって私付き添う事になったので、今夜、私、行けなくなりました。本当にごめんなさい。
あの時一緒にいたミユとわかなか今夜行きますから、予定通りです。
私も行きたかったのですがすみません。
もし、良かったら、落ち着いてからまた、誘って下さいね
本当に今回はすみませんでした。
送信
サーは仕方ない!
今はお母さんと自分に言い聞かせて病室で待っています。
その時着信音
サーは携帯を見るとマーさんから
マー
おはよう
大丈夫?
今夜の事は大丈夫だよ
それよりもサーちゃん1人で大丈夫?
俺、休みだから何か手伝うことある?
思いもよらないマーさんからのメールでサーはビックリしていました。
確かにマーさんは今日お休み
でも、ここで甘えたらお母さんは余計にビックリするかもしれない
会いたいけど、今はお母さんに寄り添う
昨日きめたのだからか
自分にそう聞かせて
サー
マーさんありがとうございます
大丈夫ですよ、
母は今検査中でもう少しで戻ってくると思います。
マーさんは本当に優しい方ですね
マーさんはあの時もそうでしたが、直感で人のために動いてしまうんですね、(笑)
でも、そんなマーさんはカッコイイと思います。本当にありがとうございます。
マー
本当に大丈夫?
遠慮しなくて良いよ!
何かあったらすぐ行けるからね
1人より2人の方が力も倍だからね
なんでも言ってね!
これも縁だからね!
サー
ありがとうございます。
やっぱり、マーさんは私が思ってた人でした。
優しくて頼りになって、知り合えて本当に良かったです。
マーさんのおかげで、頑張れる感じです。
何か困ったりめげそうな時、マーさんにメールしても良いですか?
マー
もちろん!
何かあったらすぐ連絡して下さい。
サーちゃん本当に遠慮しないで良いからね。いつでも手を貸すからね!
サー
ありがとうございます、
なんかいつもマーさんに助けてもらってばかりですね。
今回も精神的に助けてもらって
また、前のお礼もしていないのに…
マー
お互い様だよ
私もいつ、誰かに助けてもらうかわからないしね。
宗教とかではないけとね、神様はいつでも見てくれていて、必ず手を貸してくるるんだよ
だからサーちゃんも、無理しないでね
いつでも、言ってね
サー
本当に、ありがとうございます。
何かあったら連絡します。
今夜行く2人私の後輩です。
昨夜ミユにお願いしたんです。
今夜のこと心配しないで、頑張るって言ってくれたんです。だからマーさん後輩よろしくお願いします。
マー
サーちゃん落ち着いら、ご飯でも食べに行こう
だから、頑張ってね
いつでもサーちゃんのサポーターだからね
忘れないでね!
では、またね!
サーは、マーさんの優しさを痛感しました。
まだ、ちゃんと会ったことないのに、こんなに優しい人今まで会ったことない。
マーさんが、すごく大きな存在で、素敵なおじさんと、ますます感じたサーでした。
その時、看護婦さんが病室に入ってきて、優しい口調で言いました。
看護婦さん
「もう少しでお母さんが戻ってきますからね。大丈夫ですからね。」
その言葉を聞いて、サーはほっとした表情になりました。胸の奥にあった不安が少し和らいでいくのを感じました。
サーは病室の窓から外を眺めていました。外の景色は静かで、春の日差しが優しく輝いていてどこかで遠くに電車の音が聞こえる中、心の中の緊張が少しずつ解けていくようでした。
看護婦さんの声が再び聞こえました。
看護婦
「はい、つきましたよ。大丈夫ですかー。」
サーは振り返ると、母が車椅子で部屋に入ってきました。看護婦さんの穏やかな笑顔と、母の少し疲れたけれど安堵した表情に、サーは胸が熱くなりました。
サー
「お母さん…!」
母を見た瞬間、涙があふれてきました。良かったという気持ちと言葉にならない思いが胸に広がりました。看護婦さんの優しさが、母の回復の兆しとともにサーの心に深くしみわたりました。
看護婦
少し、お待ちくださいね、もうじき先生が来ますので。
母
ありがとうございました、
サー
本当にありがとうございました。
看護婦さん母が車椅子から降りてベッドに横になるのを後ろからサポートする様に見守ってくれて、横になったのを確認してから
看護婦
高橋さん、大丈夫ですか?
母
はい、もう大丈夫です。
看護婦
では、もう少々お待ちくださいね。
その言葉を残して看護婦さんは病室を出て行きました。
サー
お母さん大丈夫?
母
ごめんね、心配かけて
先生が大丈夫と言ってたから、もう平気だよ。
サー
原因はなんだったの?
母
貧血だって
お母さん、少し血圧低いんだよね
そのせいみたい
たまたま、倒れたら頭をどこかにぶつけてそれで気を失ったみたいだね。
昔から血はダメなんだよね
サー
でも、それだけで済んで良かった
もしかしたら、なんて考えちゃって昨日は本当に寝れなかった。
本当にお母さんはいつも問題起こすんだから
母
ごめんね。
でも、救急車の中でサーの顔はっきり見えててね。声も聞こえてて、絶対この子1人で残さないって思ってたよ。
サー
本当だよ!
まだまだ、お世話かける予定なんだから、健康でいてもらわないと困るんだからね
その後、医師が病室に入ってきて、説明をしてくれました。
医師
「お母さまの容態についてご説明します。まず、頭部のMRI検査では内出血や異常は認められませんでした。血液検査の結果も問題ありません。頭部の切り傷については、縫合処置を行いましたので、1週間後に再度診察を受けに来てください。現在のところ、特に大きな問題は見られないため、本日退院しても大丈夫です。」
サーは医師の説明を聞いて、安堵の表情を浮かべました。心配していたことが何もなく、母が無事であることに深く感謝しました。
サー
本当にありがとうございました。
また、来週もよろしくお願いします。
お礼を言うと、医師は病室を出て行きました。
サー
お母さん、良かったね
大丈夫だって
母
「そうね。本当に良かった。これからはもっと気をつけて食事をしないとね。今まで入院なんてしたことなかったから。」
サー
「うん、お母さん。ちゃんと気をつけようね。」
母はサーが持ってきた洋服に着替え、会計を済ませて病院を後にしました。二人は病院の入口でタクシーに乗り込み、家に向かいます。サーは母が無事であることにホッとしながら、これからの生活を少しずつ考え始めました。
続く




