サーの奇妙な体験 14
食事も終え
母はお風呂
サーはお母さんの事でマーさんの事をすっかり忘れていました
携帯が気になり携帯を開きます
マーさんからLINEが来ていた。
マー
【お疲れ様です
今、大丈夫かな?】
今は10時、マーさんからのLINEは8時45分、1時間ちょっと経過していた
サーは慌てて返信します
サー
【お疲れ様です。
遅くなってすみません。
大阪から母が急に来たので
慌てちゃってて、LINE気がつきませんでした。
うちの母は連絡なしで毎回突然やってくるんです…
だからいつも振り回されて、困ってるんです。
まだ、食事会のお店決まってないので、これから調べてLINEに送りますね】
とりあえず、返信出来た。
サーはほっとした表情になり、返信を待っています。
マー
【そうなんだね。久しぶりにあったんだから楽しそうだね。サーちゃんのお母さんだからきっと楽しそうな感じな人なんだろうね。
お店の事は明日でも大丈夫ですよ。
今夜はお母さんとゆっくり語り合って、大切な時間にして下さいね。
ではおやすみなさい】
マーさんって本当に優しい人なんだな〜と改めて感じるサーでした
サー
【ありがとうございます。
うちの母は、自由人で無計画
もう大変なんです…
でも、そんな母ですが、女で1人で私を育ててくれたんです。
父は私が生まれる前に亡くなったそうです。
父のことは全く知らないんです。
だから、母には感謝はしているし、大好きです
こんな事、母には言えませんけどね
マーさんだと素直に言えちゃいます。お店が決まり次第すぐLINEで知らせますね。
また、明日…
おやすみなさい。】
サーは携帯を置いて、久しぶりに父の事を思った。どんな人だったのかな〜
でも、今まで、母には父の事を聞いた事が無かった、と言うよりも聞く事が出来なかった…
母の苦労をサーなりに感じ取っていたから…
母がお風呂から出て来た。
母
サーもどうぞ
でもやっぱり狭いわね〜
サー
仕方ないよ
賃貸なんだから、家賃高いとこ行けば別だけどね。
1人暮らしには丁度良い広さだよ。
あとね、心配するから言うのやめようと思ったんだけど、この前、新宿に同僚と飲みに行ったんだよね。
その時、変な人達に絡まれたんだよね。
母
それで、サー大丈夫だったの?
サー
うん
その時に、知らないおじさんが助けてくれたの…
そのおじさんが私たちを逃がしてくれてね
気になってあとからそこに戻ってみたら、名刺ケースが落ちてて、今度の火曜日それを同僚と返しに行くんだ。
今、その人とLINEしてたんだ。
母
そうなんだ。
その方は大丈夫だったの?
サー
なんでも無かったみたい
すごく優しい人な印象なんだ
でも、結婚してるし、年齢も全然違うしね
お母さんくらいなんじゃないかな⁈
だからその辺は心配しないでね
母
お母さんはそんな事は心配はしてないけど
奥さんいらっしゃるのなら、なおさらね。でもしっかりお礼を言って来なさいね。
サー
うん、わかってる
お礼を言えてないから、すごく気になってて…
でもね、
なんかね、
お母さん…その事があってからなんか私変なんだよね
母
何が?
サー
そのおじさんのことが、すごく気になって…
自分でも、よくわからなくて
なんでこんなに気になってるんだろう…
って、いつも頭の片隅にあるんだよね
好きとか、そう言うのでは無いんだよね…
母
サー、わからない…?
サー
うん
母
ごめんね…
寂しかったんだね。
サー
何が?
母
サーはお父さんの事知らないから…
知らず知らずに、お父さんにあごがれてるんだと思う…
悪かったね、ごめんね…
きっとお父さんに対しての感情を知らないから、戸惑っていたんじゃ無いかな?
寂しい思いさせて、本当にごめんね…
サー
そんなの、お母さんが謝るとこないよ
悪いことしたわけでは無いし
お母さんは私のこといつも、見ていてくれて大切にしていてくれたの、ちゃんと覚えてるし、感謝してるよ
母
ありがとうね、サー…
サー
お母さん
私のお父さんて、どんな人だったの?
聞いても良いかな?
母
サー、初めてだね
お母さん、昔からいつ聞いてくるかな〜って
ずうっとおもってた。
サーなりに、お母さんに気を遣っていたんだね…
お父さん、優しい人だったよ。
昔はヤンチャだったみたいだけどね。
仕事はお母さんと同じ美容師でね。
人に頼まれるとなんでも引き受けちゃってね、ダメって言えない人。私よりも、友達が困ってるとそっち優先しちゃうんだよ。
ひどいと思わない?
でもね、お母さん、そんなお父さん、大好きだった。
サー
なんか涙出て来た…
また、今度聞かせて
お母さんが大好きって言うから、お母さん、が可哀想になってきちゃったよ〜ぉ
でも、なんか素敵なお父さんだったんだね
良かった…
お風呂入ってくるね
母
サー、今度、ゆっくり話してあげるね
サー
うん
母はサーが風呂に入ると、一人でソファーに座り、お父さんを思い出していました。
心にしみこんでくると、つい涙が溢れてきます。お父さんの温かな笑顔が頭に浮かび、母の心は2人でいた頃を振り返り涙が溢れて来ました。
あなた、サーはしっかり育ってるよ
サーをあなたに会わせたかった…
私も…
出来ることなら私も…もう一度あなたに会いたい…
一方サーは湯船の中で涙があふれていました。
お母さんのすまなそうな顔が、サーには辛かった。
私はお母さんが元気で居てくれるだけで嬉しい…
それだけで大丈夫なのに…
なんでだろう
きっと、お母さんはもっと辛かったんだろうな〜
あと寂しかったんだろうな〜
いろんな事が、サーの頭の中で駆け巡っています。
もっとお母さんの事、大事にしなきゃ
お母さん、1人で頑張って来たんだもんね
これからは、私が支えなきゃ
親子、2人だけだもんね
切り替えないとダメだね
明日はもっと元気に頑張ろう
お母さんのためにもね…
続く




