サーの奇妙な体験 13
3月18日 日曜日
サーは目が覚めると、枕元に置いてあるスマートフォンを手に取り、昨夜のマーさんとのメールを読み返しています。マーさんとのやりとりが楽しくて、つい夜更かししてしまったことを思い出します。それでも、マーさんからのメールが楽しくて、眠ることができませんでした。
部屋を出て外に出ると、新鮮な空気と穏やかな朝の光がサーを迎えます。今日は晴れていて、空が明るく広がっています。道路には人々が忙しく行き交い、サーはその中を歩いています。一瞬、歩きながらマーさんとの会話を思い出し、思わずニヤリと笑ってしまいます。
駅に着くと、電車のホームには早朝から多くの人が集まっています。サーも列車が到着するのを待ちながら、マーさんとの食事会のことを考えます。20日の夜はどんな料理を食べようか、どんな会話が弾むだろうかと想像が膨らみます。サーは自分の携帯電話を見て、またマーさんにメッセージを送りたくなりますが、まだ早いかなと我慢しています。
電車に乗っている間も、サーは窓の外を眺めながら、楽しみで仕方ない気持ちが胸いっぱいに広がっていきます。今日の仕事も頑張ろうと思いながら、サーは会社に向かっています。
今日は日曜日、朝からお客様が沢山お見えになっててんてこ舞いです。
なんとかこなして、サーにやっと休憩タイム
サー
疲れた〜ぁ!
流石に寝不足はきつい!
休憩所に行ってお茶でも飲んでこよ…
その時、携帯を開いてみると、母からのメール?
なんだろう?
読んでみると
母
『サー元気?
今どこにいると思う?
お母さん、東京に来ちゃった。
なんか、懐かしくて、少しブラブラしていくからね。
夜何時ごろ仕事終わるの?
それに合わせて、サーの家に行くからね
よろしくね♪
何か欲しいものはあるかな?
あったら、メールに知らせてね。
では後でね、仕事頑張ってね。』
サー
マジか!
今来てるの!
なんの連絡も無しに、いつもお母さんこうなんだから、困ったもんだ!
もし、いなかったらどうするつもりだったのか?
今回は何しに来たのやら?
ライブか演劇か?
全くわからないけど、まぁ、いいか〜
返信だけしとこ!
サー
『お母さん、前から言ってるけど、前もって言ってね。
こっちも、都合があるんだからね!
でも、今夜は予定ないから大丈夫だけどね。
今日は6時半位には帰れるから
それくらいにおいでね。
あと、肉じゃが、食べたいな。
じゃぁ、後でね
バイバイ』
まったく本当困った親だ
呆れながらも、顔が微笑んでるサー…
さぁ、休憩終了、仕事に集中!
頑張らなきゃ!
サーは母の事で、すっかりマーさんの事が抜けてしまっていました。
お母さんは、自由人みたいで過去にいろいろあったようでサーはそれで心配なのでした。
午後も忙しく、目を離す間もないほどの仕事の連続でした。サーは頑張って仕事に取り組みながら、時計を気にしながらも母からの訪問のことが頭によぎります。お店の中は活気に溢れ、忙しさの中でもサーは笑顔を忘れずに接客を続けていきます。
時計の針が徐々に進むにつれて、サーの心は母が無事に来れるかを考えています。最後のお客様をお見送りしてから、サーは一息つきながら明日の仕事の準備を始めます。
仕事を終え、外に出ると夜の街が静かに包み込んでいます。サーは家路につきながら、母との久しぶりの再会を楽しみに歩いています。
母からのメールが届いた
母
『もう仕事終わった?
今、サーの家の近くのスーパーで買い物してるよ。もし近くなら、来る?
フードコートでコーヒーでも飲んで待ってるよ』
サー
【何これ、要は来いって事!
本当に勝手なんだから、
肉じゃがなんて言わなきゃ良かった!
私だって、今日忙しくて疲れてるのに
まったく!】
サーは1人でブツブツ言いながらスーパーに向かいます。
サー
『お母さん.もう駅に着いたから、あと2、3分で行けるよ。今どこ?フードコート?それとも買い物の最中?』
母
『まだ買い物してるよ
魚売り場にいるよ』
サーはメールを読み、スーパーにいつもの歩くペースより少し早いペースで向かっています。
サーはスーパーに到着し、母のいる場所を探し始めました。
サー
【あっ、見つけた!試食のコーナーにいる!
何かの試食を食べてる
まったく〜、恥ずかしいな〜
お母さん!】
母は
試食のハンバーグを食べています。
母
あら、サーおかえり。このハンバーグ美味しいよ。サーも試食してみれば?
サーはちょっと恥ずかしそうにしながらも、母に誘われてハンバーグを手に取ります。
サー
いいよ、私は...
母
遠慮しないで、食べてみなよ。美味しいんだから!
サーは母の視線に押されて、ついついハンバーグを口に運びます。味を楽しむ仕草と、母とのほっこりした会話が店内に広がります。
サーは完全にお母さんのベースに引き込まれています。
サー
何こんなに買ったの?
母
きっとあなたの冷蔵庫空っぽでしょ
サー
だって一人暮らしだから、そんなに買っても無駄にしちゃうし
母
冷凍しとけばいつでも食べれるでしよ!
サー
確かに
お会計を終えて
母
コーヒーでも飲んでいく?
サー
いいよ。でも所詮フードコートだからね
母は笑ってうなずいていた。
母は席についてサーが買ってくるのを待っています
コーヒーを2つ、サーが買って来て
お母さん、はいどうぞ、
母
ありがとう。
サー
今回は、突然どうしたの?
母
サーの顔が見たくなっただけよ
サー
何それ?他に用事は?
母
本当に何もないよ。親が娘のことが心配だから来ただけなのに変?
サー
そんな事ないけど、メール1通で来ちゃうんだもん。もし私が出張とかでいなかったらどうするつもりだったの?
母
考えてなかった(笑)
サー
ありえない!
母
でもこうして会えたんだからいいじゃない!
サー
嬉しいけど、お母さんいつもこうなんだから
友達が聞いたら、きっとびっくりするよ
私がいい子だから、問題ないけどね(笑)
きっと友達とか、引いちゃうと思うよ
母
そりゃ、そうでしょ!
私の娘なんだから
いい子に決まってるじゃない(笑)
友達とは違うからね(笑)
でもサー、元気そうで良かった。
なんか、夢にサーが出たんだよね
だから、行かないとと思ったの…
サー
え!どんな夢?
母
覚えてない!
サー
何それ?覚えてないのに来ちゃったの?
母
いけなかったかしら?
サーはふきだしてしまって、
サー
お母さん、私、大丈夫だよ
でも、ありがとね
いいから、早くコーヒー飲みなさいと母
母は本当に勝手な人である!
コーヒーを飲み終わり、スーパーを出て家に向かって歩いていると、
母
こうやって2人で歩くの久しぶりだね〜
今夜は月が綺麗に見えるね〜
サーが小さい時にね、夜こうやって歩いている時、月がずぅーと、着いてくる
走っても、着いてくるって言って怖がったんだよ
覚えてる?
サー
小さい時でしょ
もう、覚えてないよ。
母
怖がって、私の手をギュッと握って、早くお家に帰ろうって、目に涙溜めてたんだよね〜
可愛かったね〜
サーと母は小さい時の思い出を懐かしみながら家に向かいます。路上の明かりに照らされながら、楽しい会話が二人の間に広がっていました。
母は部屋に入るや否や、まるで台風のように部屋を片付け始めました。
母
サー、洋服ぐらいちゃんとハンガーにかけなさい、しわくちゃじゃない。
掃除機はちゃんとかけてるみたいだね、
洋服が散乱しているのを母は手早く片付けていました
サーはちょっと困惑しながらも、母の指示に従って洋服を整理します。母は手早く片付けを進めていきます。
母
ねぇ、サー、この靴はどこに置くの?
サー
えっ、それは…その辺に置いといても…
母
ちゃんと片付けなさい!いつもこんなに散らかってるんだから、彼氏が見たら見苦しいわよ。
サー
別にいないもん!
(心の中で)またお説教かよ…
掃除が終わり、晩御飯の準備を始める母。サーは母の後ろで料理を手伝いながら、母の適当なお説教を楽しむのでした。
母
ねぇ、サー、野菜はちゃんととってる?
サー
もちろん、お母さ〜ん、野菜はけっこう意識してるんだよ。
母
良かったわ。それじゃあ、お肉を切ってくれる?
サー
はい、任せてください!
二人は料理をしながら親子関係の普通の会話を楽しんでいました。今はお互い離れ離れの生活なので、こんな時間が懐かしくてたまらない時間なのです。
今夜はサーのリクエストの肉じゃがと魚料理とサラダ
サー
やっぱりお母さんが作るの手際が良いね
母
たいしたものでは、ないからね。
すぐ出来るよ。
サー
お母さん、ビール飲む?
母
飲んじゃおうか
サーが冷蔵庫からビールとコップを持って来て
サー
やっぱりお母さんの料理は最高だね!
母
そんなでもないわよ。ただの家庭料理だから。
サー
でもね、お母さんの手料理は特別なんだよ。感謝してるよ。
母
ありがとう、サー。じゃあ、食べる前にカンパーイしよう!
サーがビールを注ぎ、二人で乾杯!
サー
うん、美味しい〜
お母さんの料理にはいつも癒されるよ。
母
あら、そう言ってもらえるとうれしいよ
じゃあ、さっそく私も食べようかしら。
二人は笑顔で料理を楽しみながら、おしゃべりを楽しんでいます。
サー
お母さん、これ何の料理?
母:
これは魚のマリネだよ。食べてみて!
簡単なんだよ〜
簡単だけど、手が混んでそうでしょ〜
サー
あ〜これは美味しいね!
これ、好きかも!
また作ってくれる?
母
もちろん、サーが美味しそうに食べる姿、お母さん見てるの大好きなんだよね
また、作るね
だから、好きなものはたくさん食べてね。
あと、サーと2人で食事するの何回できるのかな〜
サー
何、変な事言ってるの?
ず〜と出来るに決まってるでしょ
母
変な事じゃなくてね
サーが結婚とかそのうちいろいろあるでしょ
そうしたら、2人だけってあと何年かな〜と思っただけだよ
サー
予定も無いし、まず今相手もいないから
そんな心配しないで良いからね
まだしばらくは無いから。
二人は笑顔で料理を楽しみ、食事を終えた後は一緒に片付けをします。
サー
お母さん、晩御飯本当に美味しかった
ありがとう!
お母さんも東京で一緒に暮らせればか良いのにね
そうすれば、毎晩美味しいの食べれるのに
母
お母さんも仕事があるからね
昔からお母さんを支えてくれたお客様達だからね。
置いて行けないよ。
でも、サーにそう言われんと嬉しいよ
良い娘に育って良かったよ
サー
お母さんは、自由人だけど、私、お母さんの娘でよかったと思ってるよ
二人は笑顔で料理と食事を楽しみ、大切な時間を過ごしていました。
続く




