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悪役令嬢を降りますので、後は好きにやってください  作者: 雲乃琳雨


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14/20

14、王子の婚約発表

 終業式の後に、王子から婚約について発表があると掲示板に貼り出されていた。女生徒たちからは、きゃーっと歓声が上がる。


「いよいよ、決まったのね!」

「楽しみだわ。誰かしら」



 終業式が終わり、少し間があったが席を立つ者はいなかった。王子とベンが壇上に上がった。


「婚約について決まったので発表する」

 ざわっ


 王子の言葉に会場はざわめく。カロリーナも見届けようと、端の席に座っていた。なんとも言えない気分だった。


(結局いたのね、そういう人が。副会長のセレナが最有力候補だったけど)

「カロリーナ・アルファイン公爵令嬢と、再度婚約することにした。以後、彼女に非礼を働く者は退学とする」


(なんだとぉぉぉ!!)


 カロリーナは頭が真っ白になる。王子は壇上から降りると、状況が追いついてないカロリーナのもとへ歩いて行き、跪いて手を差し出した。


「私ともう一度、婚約してください」拒否権はないという目。

「!」(この、○ソが!)「分かりました……」


 カロリーナはあきらめて、手を置いた。王子は、カロリーナの指にキスをする。


「では、失礼する」


 王子は講堂を後にして、呆然としたカロリーナを置いて行った。


「きゃー、やはりカロリーナ様しかおりませんわよね」

「おめでとうございます!」


 他の令嬢たちからお祝いの言葉や、拍手をもらう。


「ははは、ありがとう……」


 カロリーナは、弱々しく答えた。それを3人のライバル、ヒロイン、セレナ、アグネスは、悔しい思いで見ていた。

 アリスやユフィア、レオン、シュタインは、喜んで拍手をしていた。ヘイゼンは驚いて、ひゅーっと、口笛を吹いた。


(やるね)



 カロリーナは家に帰ると、玄関で先に帰っていた公爵から話を聞いた。


「実は、書面上は婚約破棄してなかったんだよ」

(no! ぎゃ)

「王子がお見えです」


 メイドが知らせに来た。

 応接室で、向かい合う二人。カロリーナはカツラを取っている。学園の客が来た時はかぶっているが、今日は気を使わなかった。腕組みをして顎を上げ、冷めた目で王子を見た。


「どういうことか、説明してもらいましょうか?」


 王子は平然としていて、カロリーナの態度を意に介さなかった。王子は説明する。


「婚約破棄の話が出た時、父がお前が変わったことについて、いたく関心を寄せてな。王子がころころ婚約者を変えるのはよくないから表向きそうして、検討することになったんだ。

 他にいい相手がいれば、その時正式に破棄され、再婚約してまた破棄される時は、前回は表向きだったと言えばいいということになった。その時はまさか、再婚約になるとは思っていなかった」


(私は誰のルートにも入らなかったから、可能性があったということ? ……盲点だった)


「他の令嬢はどうだったんですか。セレナ嬢とか」

「彼女は、他の者に対して厳しすぎる。一緒にいて息が詰まるだろう。マーカス令嬢はレオと婚約したからな。

 お前は、後輩二人の婚約を取りまとめていた。なかなかできることではない。お前は変わってから、人と上手くやっていたから、結局、お前がふさわしいと思ったんだ」


(あら、褒めてくれてるのかしら。それはうれしいわね)


 カロリーナは少し頬を染めたが、すぐに表情を変え、キリッとして王子を見据える。


「分かりました。じゃあこれからは、しっかり守ってもらいましょうかね」

「望むところだ」


 王子も腕組みをして、顎を上げて不遜な顔でカロリーナを見た。


『ふははは』二人して笑う。


 その様子をドアの隙間から、サラと公爵が見ていた。


「あの二人似たもの同士ですよね」

「そうだな」


 こうして、終業式断罪イベントではなく、王子ルートの中間?ハッピーエンドを迎えた。


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