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愛したい、報われたい

挿絵(By みてみん)


「地球製品を調子に乗ってバックオーダーし過ぎる」

事で魔力消費し過ぎるのは良い。


「物」が出てくるのだから。

自分のためになる。


だけど治癒系魔法で魔力消費し過ぎるのは何一つ自分のためにならない。

それはハッキリ分かった。


「看護助手」の緊急依頼という名目の依頼を達成した事になっていたが…

あれほど魔力消費したのに報酬金額が余りにもしょぼかった。

私としては「怪我人の治療は二度とやりたくない」と思った。


他の仕事の方が魔力消費も少なく済む割に報酬が多い。


公衆浴場の清掃はほぼボランティアだったものの…

家事の指名依頼はそこそこ稼げる。


「宿代を稼ぎ続けなければ…」

という強迫観念から冒険者ギルドにほぼ毎日顔を出していたが…


(…案外、バックオーダーでテントを出して「インビジブル」と「アヴォイダンス」掛けっぱなしにして郊外で野宿してた方が魔力の節約にもなって、自由に生きられるんじゃないのかな?)

と思ってしまった。


テント内にシングルの高反発マットレスを敷いておけば、寝袋で寝てもそこそこ寝心地は良い。

必ずしも宿屋のベッドで寝る事にこだわる必要性はない。


(「ローズマリー・ウィングフィールドだとバレると連座処刑される」云々の面倒も、私が神出鬼没で住所不定なら捕まえる事自体できないだろうし、人前に姿を現す時に必ず「アヴォイダンス」しておけば悪意ある相手は触れる事すらできない)


(捕まらないし、捕まっても私はゲームのローズマリーと違って「魔法を使うのに呪文を唱えなければならない」という縛りもない。消音魔道具を使われても普通に魔法が使えるので脱獄も簡単)


(私は…「自由でいて良い」んじゃないかな?…)


治癒系魔法は医療技術が未発達で大半の人間が老衰するまで長生きできない世界では需要があり過ぎて、人々の欲を刺激して混乱を招く。


ドミニク・ハーツホーンのような卑劣漢にウザ絡みされて

「ただやれる事をやって、人助けするだけで、逆恨みされる」

という事実を理解させられたことは…

ある意味で私の今後の指針見直しに役に立っている。


(薬材商ギルドからの指名依頼…。週一回という契約も毎月更新なので、とりあえず契約履行する分までは出勤するけど、更新はせず、その後はハートリーを出て、町を転々としよう…)

と思った。


安い金で依存され

しがみつかれ

逆恨みされる。


そんな不条理。


受け入れず拒絶すれば

「ウィングフィールド公爵家と共に連座処刑される」

という不吉な可能性が近付いて来るのだろうが…

それで萎縮してしまうには…


魔法は余りにもチートだ。


(髪色とか瞳の色を変える魔法が使えると放浪生活も便利になるだろうなぁ…)

と思いながら

「今日の所はとりあえず公衆トイレの清掃を受けて、この町へとボランティアしておこう」

と決めた。



********************



そうして午前中に公衆トイレの清掃をつつがなく終えて、冒険者ギルドで報酬を受け取った後ーー

一旦宿屋へ戻って、チェックアウト。


荷物はほぼ亜空間収納。

大きな鞄はフェイクとして持っている。


宿屋を出ると、サッと路地裏へ入って「インビジブル」。

これで誰にも見られず郊外へ出られる。


ーーが

(…天気が悪いな)

と気が付いた。


雨の日とかの事を思うと

(空き家内にテントを張って「インビジブル」と「アヴォイダンス」して暮らした方が良いのかも知れない…)

と少し弱気になったが…


(領都の空き家とか、孤児や犯罪者が既に棲みついていそう…)

とも思った。


(一番良いのは「物置小屋」のような屋根付きの小屋を「アトラクション」でコピーし、亜空間収納しておく事だろう)

と結論を出し


「インビジブル」

「アヴォイダンス」

を掛けた状態で町中をウロつき、良さそうな物置小屋を探してみた。


これといった苦労もなく候補はすぐに見つかった。

基礎工事されていない、均された土地の上に置かれた小屋。

比較的新しい。

民家の脇にあった物置小屋。


「バックオーダー」で出すなら、中を開けて見る必要もあるだろうが、「アトラクション」なら「(自分のものではなくても)手元にあればコピー品を出せる」のである。


「インビジブル」で姿を消しているのだから、すぐ側まで行って触れる事もできる。


なので、物置小屋に触れた状態で「アトラクション」魔法を使い、出てきたコピー品はすぐさま亜空間収納した。


とりあえず郊外へ出てから、収納庫から出し「ピュリフィケーション」「クリーンアップ」で綺麗にする事にした。


雨が降り出す前に郊外へ物置小屋を設置。

「インビジブル」「アヴォイダンス」して実際に物置小屋で寝るなり食事を摂るなりして使用実感を確かめたい。


移動できる隠れ家…。


(「社会への依存度を下げる」事で自立していける…。でもそれは他人との関わりを希薄化させるものなのかも知れないな…)

と思う。


「孤独」な空間を確保できるーー。


前世でも「孤独」は度々感じていた。


「困ってる時に誰も助けてくれない」

というだけでなく

「お前に問題があるからそんな目に遭うんだとモラハラされる」

という状況が繰り返される度に…

自分の孤独を実感した。


勿論、あの社会にも善良な人達はいた。


だけど善良な人達の

「困ってる人を助ける」

という方向性は歪められていた。


托卵雛は産み付けられた巣で孵化すると、卵を巣から落として養い親が運んでくる餌を独占しようとするのだと聞いた事があるが…

善良な人達の善意の方向性は騙される養い親鳥に似ていた。


(巣から落とされて、生まれる前から殺され続けた側は「気付いてもくれない親兄弟」に対して何を思うのか…)




一般に認知されていない人間の脳機能の最たるものは

「生体インターネットを通じた他個体との精神感応」

だろう。


だが地球世界でもこの世界でも

(同一周波数帯の脳波の者同士の間で)

「他人の心の声が自分の心の声として聞こえる」

ような心的相互干渉現象については殆ど認識されていない。


「トランシーバーから聞こえる声を自分自身の声と混同する」

者はいないだろうが…

精神世界においては、そうした錯誤が当然のように起こる。


「他人の思考や感情が自分の中に湧き出て、それを自分のものだと錯覚する」

という現象だ。


大抵の人達は大抵そういう状態で生きている。


ただ

「過去の自分の思考や感情の反響が自分の中に湧き出て、それを今の自分のものだと錯覚する」

現象は原因が外部から来るものではない。


自分が思考する時に他の思考がかぶさってきて思考の方向が逸れていく。

自分の感情に他人の或いは過去の自分の感情がかぶさって感情が増幅される。


「精神傾向・心理傾向に増幅作用や改竄作用をもたらす要素」

つまり伝統的には

「霊」

と呼ばれるもの。


それのせいで

「人間は自分の人生を自分の責任で生きていながら、内実は制御ができていない」

のだ。


霊感のある人間は

「自分の外から来るもの」

「自分の過去から来るもの」

などを識別できる。


自分の思考に別の誰かの思考がかぶさってきて方向性や感情を誘導されそうになった時に

「こういう思考の文脈で物事を考える人達はどんな人達なんだろう」

と分析する意識も起動するので、ある程度の逆探知が可能になる。


そのデータの蓄積によって霊感ある者達は「人間というもの」をリアルの対人関係内で得られる情報の範囲を越えて理解・識別できるようになる。



世の中には些細な事で激昂する人達もいる。

「激情をアドバンテージだと錯覚している」

からなのだろうが…。


基本的に異常にキレやすい人達は

「攻撃的でネガティブな感情を精神混線によって増幅させる」

手口で自分の中の怒りや憎悪を維持する。


生き物を殺した時の匂いを嗅ぎ続けると

「生き物を殺す事を生業とする人達の思考や価値観の領域」

に意識が引き込まれる。


そういう領域が

「人間を殺すことで快感を得るイカれサディスト」

に乗っ取られると…

その意識帯全体が精神汚染されて他人を平気で殺せる感性の人が増えてしまう…。



「他国でイカれサディストを量産して攻撃性を国内での内ゲバへ向かわせる」

ような特殊攻撃も地球世界には存在していたが…


「それを想定して防御対策を取る」

ような事をしてない国では、特殊工作も実行犯もやりたい放題になる。


スパイ防止法のない工作員天国とは、霊感ある人間にとっては

「人間の醜さと悪の勝利を見せつけられる絶望社会」

でしかないのだ…。



(…おかしなものだな。前世の自分の名前も誕生日も覚えてないのに、あの世界の不条理と、それに対する悔しさは覚えている)


「この世界は地球世界とは違う」

それをもっと実感できれば良いのにと思う。


異世界なので色々と違うが、似てる点もある…。


地球世界で文化を意味する語が(「カルチャー」が)細胞や菌の培養を意味していたように、この世界でも文化を意味する語は培養を意味する。


つまり

「社会生活に付随する概念は抽象度が高いものほど、原始的生物と似た動きをする」

という捉え方がある訳だ。


地球世界の神秘主義やオカルティズムでは

「至高次元=原子的・元素的」

という刷り込みがあったが、それと同じものがこの世界にも有ると予想できる。


私は

「元素は神の言語。異世界では元素でさえ地球とは異なる振る舞いをするに違いない」

と思っていた。


この世界に元素を識別する術は無いけれど

「水素原子と同じ構造のものが別の原子と同じ振る舞いを(化学反応を)する」

(水素原子が水素原子ではない!)

のだとしても、私は驚かない。


寧ろ異世界も並行世界も身近に存在してるのに

「元素が(神の言語が)異なるために互いを認識できない」

という可能性が高い。


様々な色や形の砂利や砂を混ぜこぜにして特定の色にだけ着目する。

着目する特定の色を変えてみる。

そうして同じものが全く違ったものに見える不思議を実感すれば

認識できないエイリアンを何故認識できないのか分かる。


ゲームベースの異世界やら並行世界が有っても不思議じゃない。


自分が乙女ゲームベースのこの世界に転生したのは意外だったが

(二度と生まれてきたくないと思ってたし)

異世界転生自体は普通に「起こり得る」と思っていた。


非生物に宿れず、また生まれてきてしまったのは残念だが

あの手遅れの詰んだ世界を逃げ出せたことだけは有り難い…。



(「孤独」は、しがらみを清算して欺瞞を削ぎ落としてくれる…)

前世でも今世でも孤独だった。

お陰で自分の本心を誰かへの依怙贔屓や義理立てで歪めたりせずに済む。


あの世界での生きづらさを忘れる事ができれば…

この世界を、この国を、ちゃんと愛する事が出来る。


(愛したい、報われたい、今度こそーー)


(「人間の心」同士で繋がっていきたいーー)


そう改めて想ったーー。


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