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過剰かつ無駄な憎悪

挿絵(By みてみん)


騒ぎを聞きつけたという事なのかーー


ギルドマスターのデリック・サックウェルが来たので、私はホッと息を吐いた。


「「「「「「「ギルマス…」」」」」」」

皆は目を丸くしている。


基本的に冒険者同士の小競り合いに冒険者ギルドは関与しない。

冒険者が他の冒険者を不意打ちで襲う事は禁止事項であり、登録抹消のペナルティーも科せられるが、実際に登録抹消された冒険者は少ない。


何せ郊外に出て、人目のない場所で犯行が行われるのが常だ。

目撃証言が無いなら犯罪の立証ができない。

襲撃されたと申告する側の人間が貴族なら話は別だが、証拠もなしに告発する者達の言い分を鵜呑みにしていればキリがないのである。


「騒がしいが、一体どうした訳だ?」

とデリックがセルデンに尋ねると


聞かれてもいない少年冒険者達が口々に

「町の外でその女にゴブリンの群れをけしかけられて殺されそうになったんです!」


「前々から俺達の事が気に入らないらしくて、ずっと俺達を無視してました!」


「性根の腐ったその女の人間性に気が付いてた俺達の事を邪魔だと思ってたんだと思います。殺されかけました」

と事実無根のことを言い出したのだが


デリックは頭痛がするかのようにコメカミを揉みながら

「だそうだが、実際のところどうなんだ?」

と私に尋ねてくれた。


私が話してる時に少年冒険者達が大声で罵詈雑言を吐くのは想定内。

私は腹から声を出すようにハッキリ大きな声で発音する事にした。


「身に覚えがないです。郊外で薬草採取をしてたら急に矢を射掛けられて…。殺されそうになったのはコッチなんですよね。

証拠も出せないし、ギルドに報告しても信じてもらえないだろうからと思って、そのまま忘れることにしたんですが…。

商店街で買い物して宿屋へ帰ろうとしたら、ここまで連れて来られて、今の状況です。

濡れ衣もいいところなので、逆に誣告犯罪としてそこの嘘つき達を告発するべきなら、そうするつもりです」

私がうんざりしながら答えると


デリックは

「まぁ、そうなんだろうな。色恋にも興味ないガキだと、相手が容姿の優れた異性だろうとも妬みや逆恨みの感情を薄れさせたりしない。

才能も美貌も持たない者達は大したキッカケも無しに『持つ者』に逆恨みと奪取欲を向けて足を引っ張るものだ」

と万年低ランク冒険者達の負の面を指摘した。



そうこうしてるうちにーー

商店街へ聞き込みに行った冒険者達が帰ってきた。


「流石、別嬪さんだな。商店街のヤツらみんなアンタの事覚えてたぜ」


「2時間前くらいから冒険者の格好した青紫色の目の可愛い子ちゃんがウロウロして商品物色して回ってたってさ」


「物欲しそうな顔してアレコレと商品を見てた割に購入した商品が少ないんで、懐具合が寂しいんじゃないかって心配されてたぜ」


第三者にも私のアリバイがしっかりしてる事は伝わった。


「嘘だ!」

「何かの間違いだ!」

「アンタらもその女とグルだったのかよ!」

と少年冒険者達が騒ぎ出すと


少年達と同様に万年低ランクの冒険者達も

「やけに用意周到だな」


「なんかオカシイんじゃないか?」


「商店街をウロウロする客なんてゴロゴロいるんだ。いちいち覚えてる訳がない」


「初めから示し合わせてて、ガキどもをはめる気だったのか?」

と言い出した。


(…妬み、という事なのかな。指名依頼も来ずに地道にGランクの仕事して食べていくのが精一杯の人達は、そういうのをすっ飛ばして稼ぐルーキーが嫌いなんだろうね…)


「…何処の馬の骨とも分からない新参者ノーヴィスが…。…ちょっと可愛いからって股の力で荒稼ぎしやがって」


「田舎から出てきたばかりのおのぼりさん(ニュービー)のくせに」

と、ボソボソ囁かれる悪口に彼らの本音が隠れている…。


ハァッと溜息を吐いて

「…風紀紊乱も甚だしいな…」

とデリックが呟くと


「そうです!その女が高ランク冒険者に擦り寄って誑かしてるからギルドの空気が悪くなって、誑かされた連中がその女を庇おうと嘘をつくんです!」

と冒険者の1人が言い出した。


少年冒険者の1人と共にギルド会館前まで出てきて私を連れてきた男だ。

よくよくソイツの風態を見てみるとゲイの特徴が見られる。


毛濃いのに脱毛に血道をあげて肌の手入れも入念。

薄っすら化粧をしている。


下半身はズボンに隠れて見えないが…

尻の穴の周りの毛を丁寧に脱毛していれば、ほぼ「掘られ」専門のゲイで間違いないだろう。


ドラマや小説ではオカマはお姐言葉を喋ったり女装するコケテッシュでユーモラスな存在で、それなりに魅力的だが…

実際のオカマは案外普通っぽく擬態していたりする。

全員が、ではないのだろうが…

一部のオカマの性格はネチッこくて、見目麗しい女性に対する嫉妬は凄まじい…。

私の目の前にいるそいつはおそらくその分類に入る…。


デリックが

「風紀紊乱はマリーじゃなくてお前らのほうだ」

と告げると


オカマは

「はぁ?!この腐れマン⚪︎はギルマスまで咥え込んでるのか?ふざけんな!」

とキレた。


「いちいちお前らに通達してもいないが冒険者ギルドには『嘘つきを割り出す』魔道具がある。

事務員に用意させるから、そこの3人組とお前は事務室へ来い。

なんでこういう事を仕出かしたのか、シッカリお前らの人間関係の背後も身辺調査するからな。覚悟しておけ」


デリックがそういうとーー


オカマや少年冒険者達よりも遥かに強そうな高ランク冒険者達が前に出てきて、オカマと少年冒険者達を取り押さえた。


事務室へ連行されながら

「性根の腐ったホワイト人どもが!」

「移民差別者どもが!」

「死ね!差別者ども!」

「呪われろ!絶対許さないからな!」

と喚いていることからして…


どうやら連中は外国人だったらしい。


(そう言えば、バロワンでも娼館の経営者が外国人だったりしてて、裏社会は外国人が蔓延りやすいんだったな…)

と思い出してしまい


「…反社会的冤罪捏造で団結するような誣告犯罪者って、実は外国人とか帰化人が多いって事ですか?」

と私が疑問を口にしたところーー


その言葉が聞こえた者達が一斉にハッとしたように息を呑んだ。


「…そうだ。だがまぁ、今更だな。大昔から無害な移民を装って、『ただ生きていくために食べ物が欲しいだけだ』というフリをして外国人が入り込んでは不法占拠地をスラム化して反社会的組織を形成してきてる。


混血が進むと骨格とかで移民や外国ルーツの帰化人やらを見分けるのは難しいんだがな、それでもシッカリ見分けておく必要がある。

連中は『悪事はバレるんだぞ』『バレた際の粛正は苛烈だぞ』と牽制しておかないと、かなりの確率で悪へ流れる。


ホワイト人になりすまして問題を起こす事でホワイト人同士を人心分断して争わせようとしたり、存在してるだけで悪影響を撒き散らしていたりもする。


ああいう連中に『人間としての最低限度の誠実さ』を教え込むには連中の嘘と擬態に騙されずに本性を見抜き、時に粛正して牽制していかなければならない。

『郷に入れば郷に従え』という当たり前のネイティブ尊重と同化でさえ、筋金入りの邪さを持つ連中は納得しないものさ」


「そう言えばマルセル王国の港町の娼館経営主がバールス系移民だったし、港町は特に裏社会が外国人に乗っ取られやすいのかな?って思ったんですけど」


「その通りだ。港町は交易で色んな物と一緒に外国人も入って来るからな。連中は働きもせずに棲みついて犯罪するために組織だって行動するようになる。

真面目に働き出しても、まるで軍隊みたいに在住国民へのヘイトを共有して自分達の絆を美化し深めようとする。

それが過剰かつ無駄な憎悪として乗っ取り侵略正当化のための異常なモチベーションとなるので、棲みつかれた側は一方的に迷惑ばかり掛けられる。

移民や帰化人の組織犯罪者達は自覚が有ろうが無かろうが何でもありの特殊な侵略兵だという事だ」

デリックがそう言い切るのを聞きながら私は辺りを見渡した。


その場にいた人達が、その話を聞いてどう思ったのかは分からない。


だが喋り方にマルセル語っぽい訛りのある冒険者は確実に顔色が悪くなっていた…。


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