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【70話】キャンセル魔法の意外な秘密

年末休みをいただきまして、もうしわけありませんでした。神罰転生開始です。

 盛大な祭り、八武祭の帰り道では、乗り物が豪華な馬車に替わっていた。

 なんでも優勝賞品の1つらしい。


 マキナスジジィと来年開催される、八武祭の選手候補達と合流して、目指すはウエストコート高等学院。


「ランディのおかげで私たちは、あの常勝無敗のサウスコート高等学院に勝って、優勝することができた。ありがとう」


「ありがとう!」

「ありがとうっ」

「ありがとう」

「あ、ありがとう」

「ありがとうございます」

「ありがとうございますだ」


 モンテ先輩の言葉を皮切りに、みんなに感謝される。


 はっきり言って、恥ずかしい。


 だが、おかしな感情だ……僕は数多くの他人に感謝されてきた。

 まあ、その半分くらいは、ムカつくやつらに恨まれるような事もしたけど。

 あの病院の患者全てを気まぐれで治した時は、楽しかったなぁ。


 とにかく、他人からの感謝には慣れてるのだ。

 そして、恥ずかしい理由は、仮でもこの少年達を仲間だと僕は思ったんだ。


 僕は仲間からの感謝には、弱い……照れるんだ。


 だから、謙遜することにした。

「確かに、僕は大活躍しましたが、優勝だけはみんなの力ですよ。 それに、僕だけ表彰式にいなかったし……」

 謙遜……したよね?


 その後は、究極の回復魔法『アルテミットヒーリング』や『神速』について、質問攻めにあった。


 まあ、先日の貴族達に、話したような事を話した。

 それに神速は、すぐ倒れるから封印しようと思っていたから、それもみんなに伝えた。


 そう言えば気になったが、八武祭会場を去るときに『アテーク・メッサー侯爵』ってのが、僕の肩に手を置いて『これからも頼むぞ、ガハッ、ガハッ、ガハッ』と言って消えていた。


 第1印象で、人を決めつけるのは嫌いだが、僕の対人感性は凄い。

 その僕が言おう、アイツは嫌いだ。


 まあ、かなりのお偉いさんだから僕の力が元に戻るまでは、大人しくしましょうか。


 

 長い道中は、リッツ教官のお相手をしなければならない。


 僕とテスターの戦いを見てから、相当欲求不満になっていたらしい。


 しかし、リッツ教官の強さは化物だな、だって肉体強化魔法を使わないんだもの。


 でも、勝率は5割に近づいてきた。

 そのうち、肉体強化魔法を使わせてあげますからね、リッツ教官。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 もう少しで、高等学院3年生としての生活が終わり、4年に進級する。


 この時期になると、攻撃魔法コースの落第候補生達が、電撃魔法を修得する。


 恒例感電の儀式が、はじまる。


 しかし、ハゲジィが電撃魔法修得のさい、新魔法の開発者は僕だと宣伝をする。

 こうして、望まぬ信者が増えていく。


 因みに、回復魔法コースの生徒には新学期から約3ヶ月後に全ての生徒を覚えさせている。


 この、生徒達もプチ信者になってるから、意外に面倒だ。


 中でも一番面倒なのは、この学院を管理している、なんとか侯爵だ。


 2月に1度のペースで、どっかの貴族を連れてくる。

 その度に、面倒な対応をしなければならない。


 転生前だったら、自由に振る舞って不興を買い『ケンカ』『戦闘』『戦争』に発展して『王様に詫びを入れさす』って流れだったから、ストレスが溜まる。



 ストレス解消に、裏料理長のレジーナのところに行く事にした。

 理由は、現時点で彼女の作る料理が、一番美味しいからなんだ。


 食堂に入り、そのまま厨房に行く。

 既に厨房内の権力はレジーナの手中にある。

 どうやったかは、全く解らないけど、とにかく凄い。


 忙しそうにしている、レジーナを見つけたから声をかける。


「ビ……レジーナ、手が空いたら、特製あ……まかないセットを頼むよ」


 レジーナは僕を見つけると、パアッと表情を明るくして喜ぶが、すぐに唇をとがらせる。


「ぼっちゃま、何回言えばわかるんでしょうか? 『レジーナ特製愛妻セット』と説明しましたよ?」


 いや、僕から『愛妻セット』なんて言ったら、なし崩しに結婚させられそうなんだけど……

「まかないセットでいいよね?」


「もう、今日はそれで許してあげる、次からちゃんと仰って下さいね。 今、手が空きましたから、ぼっちゃま専用愛妻セットを作ります」


 どう状況を見ても、手が空いたと言うより、他の仕事を放り投げたって思うよな。


「レジーナ、他の仕事を優先してください」


「…………わかりました。 それにしても、ぼっちゃまは上品になられました。 覚えてますか? 昔は命令口調で、しかも私を『ビッチ、ビッチ』と呼んでいたのを」


 覚えていますが、忘れたことにしよう。

 なにせ、赤ん坊時代の話だしな。


「覚えてませんよ、2歳くらいの記憶なんてあるわけないでしょ」


「そうよねぇ、でもおぼっちゃまなら……って思うのよねぇ」



 レジーナは普通に話しているが、仕事はこなしている。

 凄いよレジーナ。


 しばらくレジーナを見つめていたら、視線を感じたせいか、火を止めるのをミスった様だ。


「あっ、いけない! えいっ!」


 すると、3メートル先の鉄釜に燃えていた炎が、消えてしまった。


 ちょっと待て! どういうこった?

 意味が解りませんが?


「レジーナ、今何したの? 『えいっ』で炎が消えるとかおかしいでしょ?」


 レジーナは不思議そうに言葉を返した。


「ぼっちゃまは、知らなかったのですか? 生活魔法で出した火種は、魔力をぶつけると消えるんですよ」


 それは初耳だよって、なんか攻撃魔法のキャンセルに似てるよな?


 厨房の料理人を1人捕まえて、質問する。


「ねぇ、お兄さん。 君も魔法で付けた火を消せるの?」


 状況が状況だけに、素の口調で料理人のお兄さんを詰問する。


「で、出来ますが、総料理長さんみたいに、離れては出来ないです」


 なるほど、じゃあレジーナに質問しよう。


「レジーナは、どのくらいの距離まで、魔法をキャンセル出来るの?」


「えっ? でも、調理が……」


「レジーナ、大事な事なんだ」


「ポッ♥ はい……今日の学食は中止にします」


 そこまでは要求してないんだけど……


「いや、そこはちゃんと仕事しようよ。 もう、わるかったよ、料理が終わったら、僕の部屋まで来て」


 しかたないから、僕が待つことにした。


「はい、体を清めてからすぐまいりますね」

(やった! やはり胃袋を先に落とすのは正解だったわ! 今夜は忘れられない夜になりそう)


 レジーナ、勘違いしてないだろうな?


 ……

 …………

 ………………


 レジーナが僕の部屋に来るまでに、ソイフォンを呼び出しておいた。


「どうしただか? ランディ」


「ちょっと、魔法のキャンセル実験を手伝ってくれ」


「わかっだども、今がらなのけ?」


「そうだ、急ですまない」


 コンコン

「ぼっちゃま、入ります」


 レジーナは何を勘違いしたか、スケスケの寝間着で登場してきた。


 ぶはぁっ!

 ソイフォンが鼻血を出して倒れる。


「レジーナ! 魔法の実験で呼んだので、着替えて来なさい」


 レジーナは予想外の行動をするから困る。


 ……

 …………


 ふてくされるレジーナを説得して、普段着に着替えてもらい、ソイフォンもなんとか復活したので、検証を始めましょう。


 何度もライトニングを見てるから、僕には解る。

 ライトニングは発射されると、避けるのはもちろんのこと、キャンセルする間もない。



 ただ、魔法の発動に若干の間がある。

 その『間』をレジーナに伝えて、キャンセルの検証を試みた。


「行くだ! ライトニング!」

「えいっ!」


 ライトニングは1秒の半分、約0,5秒間術者の前で予備動作として光る。

 そのタイミングで、レジーナにキャンセルをしてもらった。


 結果は大成功だった。


 生活魔法使いでも、攻撃魔法をキャンセルできた。

 ただ、この学院に生活魔法使いはほとんどいないし、いても部外者か雑用の職員くらいで、とてもこの事を話せる人材がいなかった。


 ただ料理人たちは、レジーナとは違い近くまで接近しないとキャンセルは出来ないようなので、実用化はあきらめた。


 こうして、レジーナに胃袋を握られてるような毎日を送って、4年生に進級した。



 ※ランディ 12歳

 ※ギフト 暗黒女神の愛

 ※魔法の種別 回復系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『アルテミットヒーリング』『デトックスA~F』『ニュートラライズポイズン』

 ※特技『神速』

 ※魔力総量 4121

 ※クレリック呪文 第1レベル 35回

 ※クレリック呪文 第2レベル 32回

 ※クレリック呪文 第3レベル 28回

 ※クレリック呪文 第4レベル 24回


 ※アリサ 12歳

 ※ギフト 無し

 ※魔法の種別 回復系 肉体強化系 生活系

 ※使用可能魔法『ヒーリング』『エクスヒーリング』『グランヒーリング』『デトックスA~F』

 ※魔力総量 1334





リッツ教官「ねえねえ、俺との戦闘描写がないのは何故? 酷くない?」

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