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【63話】第4試合、オステンバーグ高等学院

 

 リッツ教官が、ニヤニヤと楽しそうにしている。

 あのバトルマニアが、自分の遊び(バトル)以外で、楽しそうにしてるだと?


「リッツ教官が、壊れた!?」

考えていた事が、つい口に出てしまう。


「壊れとらんわっ!! お前、今日の2試合が終わったら、みっちりとしごいてやる」


「最近運動不足だから、おっけーですよ」


「よし! よく言った。 それでだな、ランディのお楽しみは俺だとして、前菜に……午前の試合に『人神の愛』のギフトを持つ、レキュメントってガキと、午後には『竜神の愛』のギフトを持つ、テスターってガキが出場する。 この二人はガキにしちゃあなかなか強い。 ランディお前が相手になれ」


 メインディッシュがリッツ教官って事に、突っ込みを入れたいが、僕はバトルマニアじゃないと言いたいが、話が進まなくなりそうだから、やめとこう。


「分かりました、やっとまともに戦えますね。 久しぶりに全力で戦えそうです」



 ~小さいリッツ教官がいる~


「えっ、誰かなんか言った?」


 みんなは首を横に振っていた。

 しかも、僕と目を合わせない。

 凄く不名誉な台詞を聞いた気がしたんだけどなぁ。



 ……

 …………


 もうすぐ、オステンバーグ学院との試合が始まるが、今までとは様子がちょっと違う。


 だが、その理由は直ぐに分かることになった。


「我らオステンバーグ高等学院は、ウエストコート高等学院に『2対2』の決闘を申し込む」



 はぁ!? なんだ? 決闘って。

 八武祭で、まだ知らないルールがあったか。

 来年は、もう少し勉強しよう。


「その決闘受けた!」


 後側の場外に控えて座ってる、リッツ教官が立ち上がる。


 リッツ教官の声と共に、大歓声が起こった。

 そして、オステンバーグ学院の選手達も勝ったみたいにガッツポーズをしていた。


「よし! 8割がた負ける試合が、8割がた勝てる試合になった」

「情報通り、決闘を受けてくれた……」

「こっちにはレキュメントとパージがいるから確実に一勝できる。 勝ち目が出た!」



そして、審判もメガホンを取り出して叫んでいる。

「両高等学院の合意により、八武祭2対2の三試合、星取合戦をここに開催する!!」




 お前ら、僕を無視して話を進めるな。

 そして、リッツ教官……僕に色々説明してくれませんか?



 ……

 …………


 詳しい人に話を聞いたら、八武祭では大会を盛り上げるために、特別な決闘ルールが存在するんだって。


 それは、2対2の三組で戦う『☆星取り合戦』と、1対1の五人同士で戦う『勝ち抜き戦』があるんだけど、双方の合意がないと成立しないため、過去五年間、一度も行われていない試合形式だった。


 まあ、わざわざ有利な試合を投げる事なんてしないよな。

 なんで、こんなルール作ったんだ? あっ、盛り上げるためだったね。



 既に相手チームは出る選手が決まっている。

 先鋒はたぶん回復魔法使いに、ギフトなし枠だろう二人組。

 そして、うちはモンテ先輩にまりな先輩。


 中堅は誰だか知らん二人。

 そして、うちはラディスとカティスの兄弟チーム。


 大将は『人神のギフト』コンビの三年のレキュメントとリーダーのパージ。

 そして、こちらはダナムと僕だ。


 メガホンで、解説っぽいのをしてるけど、観客席の盛り上がりが凄すぎて、聞き取り難い。


 審判の指示で、先鋒の四人が中央に集まる。

 八対八の時と違い、お互いの距離が近い。


「オステンバーグ高等学院VS(バーサス)ウエストコート高等学院、『決闘』第一試合開始!」


 相手チームは苦い表情をしている。

 どうやら下調べ済みで、モンテ先輩がこのチームのトップだと知っているんだろう。

 一番強いのを、先鋒に持っていったもんな。


 戦いは、じっくり見るまでもない。


 ……

 …………


「第1試合勝者、ウエストコート高等学院! 続いて、第2試合準備!」


 ラディスとカティスが中央に進む。


 カティスは加護を持っていないが、肉体強化魔法を

 モンテ先輩と同じく『5段階目』まで使いこなせる。

 3年生なのに凄いやつだ。

 だだ、肉体が完成していないから普段は四段階目までしか使わない。


「肉体強化」

「肉体強化」


「肉体強化!」

「肉体強化『3』!」


 一人だけ、肉体強化魔法のレベルを口にした。

 うちのチームは、無詠唱の前段階『レベルを言わない』は全員マスターしている。


 もちろん、リッツ教官のドギツイ愛情の賜物なんだけど。


 うちの二人組は、肉体強化の『4』を使ってるはずだ、身体能力と技術が互角なら、ここで差が出る。


 ギィン、キンッ、カキィン、ブォン……


「肉体強化!」

「……くっ、肉体強化『4』」


 どうやら、魔力温存の愚に気づいたようだな。

 相手チームは二人とも『竜神の加護』っぽい。


 力で圧しているものの、ラディスは速度でカティスは技術で、決定打を与えさせてない。

 二人とも、5年生を相手によくやってる。


 全く違うタイプなのに、拮抗した戦いをしている。

 ヤバイ、疼いてきた……僕も戦いたい。


 試合を動かしたのは、カティスの肉体強化『5』だった。


「はぁぁぁぁ! 肉体強化!!」

 もう一段階ギアの上がったカティスにおされて、ついに相手選手は殻に被われた。


 その瞬間、ラディスの方も形勢が動いた。

 カティスは立っているのがいっぱいいっぱいなのに、相手が勝手に調子を崩して、ラディスの猛攻撃を受けて殻に被われた。


「第二試合勝者、ウエストコート高等学院! 二戦決闘」



 ほえっ? 第3試合はどこにいったの? 僕の試合はドコ?


 頭に『?』マークを7個くらい浮かべていると、大歓声が響きわたる。


 うるせぇ!! 今の僕は高級焼肉店に出向いて、現地に行ったら、定休日だったってくらいムカついてんの! 解る? この悔しさ。


 これだけ、焼肉で盛り上がっているのに、ラーメンなんか食えるかっ!


 と、バトルと食事を置き換えて見たけど、理解してくれるだろうか?


 ああ……大将なんかやらなきゃ良かった。


 このテンションを維持したままリッツ教官と戦ったら、勝てそうな気がするよ。


 午後の試合が物足りなかったら、本気でリッツ教官と遊ぼう。


 僕は欲求不満状態で、この場を去った。


 

朝、投稿したと思っていたら、失敗してました。

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