【54話】八武祭に向けて
おそくなりました。
僕はリッツ教官とのバトルで、五回に一回は勝てるようになった。
言い換えると、五回中、四回は負けてる事になる。
全盛期の約半分とは言え、リッツ教官は物凄く強い……いや、王宮騎士が凄いのか。
そして、少し時間が経過して、リッツ教官が連携で闘う訓練をすると言ってきた。
「お前らは、基礎の『一の型』なら半人前になったと認めよう。 今後は『八武祭』に向けて、団体戦を想定した訓練も始める。 まず、一軍と二軍を分ける。 解ってるとは思うが八武祭に連れて行けるのは一軍に選ばれた連中から決める……もちろん、一軍と二軍の、入れ換えはあるからな……ついでに現時点での、一軍……仮出場者を読み上げる」
他の生徒もざわついてる。
リッツ教官はざわついているのを、気にしないで続いて話す。
たしかギフト無し枠が一人で、魔法使い枠が三人……残りが四人って事か。
後は、補欠が二人だったよな。
「次に『魔法使い枠』が三つあるから、通常枠のお前らは四人なんだ。 これから名前を言うぞ。だが補欠枠も含めて言うから、六人だな」
みんな静まり返る。
「五年、モンテラード・トリアス。 ロマリナ・リスリス。 ディナハ・マツヤ。 五年は以上だ」
モンテラード先輩、我が学院ナンバーワンの実力の持ち主だ。
十五歳にして、序列十二位くらいの教官と互角くらいなんだと。
モブ教官と雑魚教官より強いって事だね。
ロマリナ先輩は、まりな先輩って言うことにした。
でも、実力はあんまり覚えてない。
「次に四年、ラディス・ノートン。 ダナム・マツヤ。 ファルト・シュバイク。 この六人が通常枠内で、八武祭に行く」
また、ざわざわしてるな、僕は魔法使い枠だって、ハゲジィに聞いていたから、焦らない。
「ギフト無し枠……三年、カティス・ノートン」
「魔法使い枠……三年、ランディ・ダーナス。 ソイフォン。 ジエホウ」
またしてもざわついてる。
無理もない、最後の二人はリッツ教官の訓練に参加していない。
でも、理由は解った、ハゲジィも本気で優勝を狙う気だな。
そして、二人の獣人がこの場に連れて来られて、本日一番の騒ぎになった。
奴隷扱いとまでいかないが、獣人は上位貴族の中では差別の対象になってるからな。
「教官、納得いきません! これならカティスとカイモンを魔法使い枠に入れて、五年か四年の誰かを入れれば、もっと強いチームになるはずです!!」
何人かの生徒も、その生徒に賛同している。
「まあ、そう思うよな……だがこれを見ろ。 ジエホウやって良いぞ。 カイモンとカティス」
『買い物待てや』君と『カティス』が、ジエ君から少し離れて待機してる。
さあジエ君、驚かせてやりなさい、僕とロベルト教官の修業の成果を。
ジエ君が両手を二人に向けて『ファイヤーボール』と言った。
すると、大きな火の玉が出現して飛んでいった。
この世界の攻撃魔法、主に『ファイヤーボール』だが、同じ攻撃魔法使い同士ならキャンセルは簡単って授業で習った。
だけど、ジエ君の両手魔法にビックリしたせいか、魔法の解除はギリギリになったようだ。
「危なかった…………って、両手魔法!?」
「両手魔法って言ったら、サウスコートの……ばかな」
今度は『シーン』と静まり返ってます。
「今度は、ソイフォンだ。 できるな?」
「はい! やりますだ。 だども威力の方は?」
「ああ、通常でやってみろ」
リッツ教官とソイフォンが話している。
この流れなら、ソイフォンも両手魔法を使うのか?
僕が関知してる時には、両手魔法が使えるのジエ君一人だけだったのに。
二人とも両手魔法を警戒してるけど、それだけならビックリするだろうな。
何せ、ソイフォンが使えるのは『アレ』しかないから。
「行きますだ! ライトニング!!」
ソイフォンの両手が瞬くように煌めいてから、バリバリと音を鳴らして、瞬時に二人を襲った。
「ぐわぁっ!」
「ぐわっ!!」
「どうだ、これが『技工士R』の産み出した新魔法『ライトニング』だ」
リッツ教官の言葉に軽く突っ込みを入れる。
技工士Rってだれよ? それに僕がライトニングを開発してから、二年以上経ってる。
本気で調査すれば、技工士Rが僕だって事は分かると思うけど。
だって『習得後二年間は学院以外に情報は洩らさない事』
それだけだから、もう『部外者には内緒ね』って感じで、情報が拡散してると思ったの。
「技工士Rって何者?」
「まさか、獣人に両手魔法を伝授させたのも技工士R?」
「元王宮騎士リッツ教官・化物ランディ・謎の技工士R……これなら八武祭で優勝出来るかも」
おぉぉぉい! たぶん、技工士Rって僕ですよぉ!
買い物君とカティスに回復魔法をかけて、感想を聞いた。
「どう? あの電撃魔法は?」
「これが、攻撃魔法コースで退学者が出なかった原因か」
「噂だと、電撃魔法の発案者はランディだろ?」
おお、カティスは気づいていたみたいだな。
他のエリートコースのやつらが無知なんだな。
「こいつらの、両手魔法と電撃魔法に文句のあるやつはいるか? 因みに魔力総量も二人とも300近く有るぞ」
「「「…………」」」
おお、みんな黙りましたよ。
「決まりだな……これが今の八武祭、参加予定者だ。だが実力しだいで、これは変わるからな。 じゃあランディを除いた一軍の九人と、二軍にフラット・シャープを入れた九人で、集団戦闘をやれ。 フラット、むきになるなよ?」
「リッツ教官、僕は?」
ある程度、予想が出来るけど、聞いてみた。
まあ、僕が加入したチームが、勝っちゃうからかな。
「ランディは俺とお楽しみだ」
ああ……この人、戦闘バカでしたね。
◆◇◆◇◆◇◆◇
そして、八武祭開催日が近づき、教官数名と僕たち十人は、今回の開催地『ワンダルーベ領』に向かって出発した。
追伸、なんと二年のアリサは、来年の八武祭有力候補生として見学に来るらしい。
何をやらかしたんだ? 僕はもうビックリです。
次回未定です。
八武祭の戦闘描写で、私のボロが出そうで恐い。




