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【52話】ランディ第4レベル呪文を覚える

 僕はランディ・ダーナス。


 ウエストコート高等学院の三年生だ。


 しかし特待生として一年早く入学し、さらに一つ年齢を誤魔化してるから、まだ十一歳なんだぜ。


 そう、やっと十一歳……そして徐々に転生前の力が戻りつつある。


 この調子なら、あと五、六年で転生前の肉体に戻るだろう。


 しかし今は、クレリック第4レベル呪文を使えるようになった事を喜ぼう。


 さぁ久々の独り言説明ですよ。

 僕の目には第4レベルの呪文が並んでいる。



 第4レベル呪文


シリアスキュア≡失明、毒、麻痺、石化、魅了、病気等全ての異常を治す

クリティカルヒール※≡致命傷を治す

シリアスヒールサークル≡周囲の重症を治す

テレパシー≡1時間、頭の中で会話を可能にする。低レベル者は隠し事は不可能、若干思考も読める

翻訳≡1日 他国語を話すことが出来る。

人物捜索LVⅠ≡名前と顔の判る人物を探す。範囲1km。

スペルイミュニティLVⅠ≡対象は第3レベル呪文以下1回無効 。

クリエイトアンデッドLVⅠ≡死体からスケルトン、ゾンビを造り出す、術者の簡単な命令を実行出来る。

レイズデッドLVⅠ※≡新鮮な死体が甦る。死後LV×2時間まで可能で蘇生率50%



 まずは『シリアスキュア』

 この呪文にかかれば、どんな症状も一発で治ってしまう。

 唯一の例外は『呪い』くらいなもんだよ。

 回復系の僕は反則なんです。


『クリティカルヒール』

 シリアスヒールの強力版です。


『シリアスヒールサークル』

 ヒールサークルの強力版です。


『テレパシー』

 簡単に言うと念話ですね。

 声に出さずに会話が出来るので便利です。

 相手が弱者ならば、簡単な思考を読み取ることも出来るのでナンパに便利です。

 えっ? 他の使い道? 知らない。


『翻訳』

 これは、僕のオリジナル呪文だ。

 これを使えば丸一日の間、他国語を話せるんだぜ。


『人物捜索LVⅠ』

 こいつも、僕のオリジナル呪文。

 元々は、遠くに散らばった仲間を捜すために作った呪文なんだけど、使えるのは『人物捜索LVⅡ』の方で、こいつは一キロメートルって狭い範囲しか捜索できない。

 でも、迷子探しには丁度良いかもね。

 そして『人物捜索LVⅡ』を覚えたら仲間を探すつもりだ。


『スペルイミュニティーLVⅠ』

 こいつは、対象者を害する第3レベル呪文相当の魔法攻撃を一回だけ、無効にすることが出来るんだ。

 この世界の攻撃魔法で試してみたいなぁ。


『クリエイトアンデッドLVⅠ』

 これは死体から、アンデッドモンスターを作り出す事が出来る。

 種類はスケルトン、ゾンビ、グール程度だけど、混沌を司る神の信徒になったクレリックは、好んで使っている。

 因みに僕はあんまり使った事がない。

 日本人だった以前の僕とランデイヤが融合してからは、悪者なイメージが強いから、使いどころを考えちゃうんだよね。

 クリエイトアンデッドより、無からアンデッドモンスターを産み出す、第6レベル呪文のサモンアンデッドの方が性に合ってるんだよ。


『レイズデッドLVⅠ』

 そう、こいつが神様たちと喧嘩になった原因の呪文なんだけど、ほんっっっとに心が狭いよなぁ。

 因みに、これで神様の怒りを買ったのは何度目だろうか……

 えっ? 学習能力がないって?

 仕方ないさ、僕達は自由人ですから。

 自分達の仲間や好きな人の笑顔を見れるなら、世界の法なんて無視ですよ、無視。

 レイズデッドにはリバース呪文があって、名前はコーズデスって呪文だ、文字通り『死』を与える呪文だけど、かなり弱い相手にしか効かないから、怖くないよ。


 そして、身体の方もだいぶ動けるようになってきている。

 感覚的には、転生前の約半分っていったところか。


 さて、明日はバトルマニアのリッツ教官と半月ぶりにバトルするんだ。

 日頃の恨みを返せるかな。



 ◆◇◆◇◆◇


「馬鹿な……馬鹿な……化物リッツと肉薄してるだと!?」


 何を言ってるんですか、フラット教官は……

 完全に押されまくってんじゃないか!


 すでに、リッツ教官との模擬戦闘は八試合目に入っていた。


 最初の二戦は、わざと去年と同じ感じで戦ってみたら、リッツ教官に手を抜くなと怒られた。

 で、いきなり全開でたたみかけたら(魔法は使ってません)、初めてリッツ教官から一戦勝利をもぎ取った。

 その時のリッツ教官の嬉しそうな顔ったらもう……


 そこからまた敗けが続いている最中であります。


 だけど、力はリッツ教官に追い付いた、速度も以前と違い、僕の1.7倍程度の差しか感じない。

 これなら技術でカバー出来るはず。


 しかし次に勝てた時は、リッツ教官が疲れを見せた十二戦目だった。


「勝ったあ!! あの最強教官に二回勝ったぁ!」

 十回も負けたのは忘れよう、まだ身体も出来上がってないしね。


「な、なんてぇ体力してやがんだ」

「一回目は、不意をついたにしても、二回も勝ったぞ!?」

「これなら、私はもう必要ないですね。ランディ君ならリッツ教官を一人で楽しませる事が出来るでしょう」

「それにしても、リッツ教官は肉体強化魔法を使いませんね、何故だ?」



 いつのまにかギャラリーが増えていたけど、フラット教官は、逃げる気まんまんだね。

 冷静に考えると、最終戦は勝たせて貰ったような物だ。

『疲れた、休憩する』って言われたら、こうは行かなかったよね。


 おっ? 生徒の一人が、肉体強化魔法を使わなかった事を質問してるな。


「俺は勝ちたいんじゃない、本気で戦いたいんだ。だから肉体強化魔法なんてなくても本気で戦えるだろ? それで良いじゃないか。 しかしランディの成長は予想以上だったな。 油断した、悪い」


 なんで僕に謝るの? もしかしたら僕の事を同類だと勘違いしてるのかもしれない……迷惑だ。


 あっ、僕の棍に……亀裂が入ってる。

 試しに、全力で負荷をかけたら折れてしまった。


「ランディ専用の武器が壊れた」

(もう、思う存分楽しむ事が出来ないのか?)


「もしかして、私の『お役目』引退は保留に!?」

(いやぁ! もう化け物リッツとは戦いたくねぇ!!)


「ランディ愛用の棍が……」

(ランディ泣くなよ、ランディの強さは武器じゃないぞ)


「これで、ランディは戦闘力ダウンか」

(木刀なら、ダナムと二人がかりで戦える)


 なんか周囲が落ち込んだり、拳を握ったり、様々な反応をしてるね。

 確かに、大切な武器だけど何れ壊れるのは知っていたし。


 因みに上から、リッツ教官、フラット教官、ダナム、ラディスだ。


 お通夜のように落ち込んだリッツ教官が、代わりの武器を持って来いと、沈んだ声で言っていた。


 僕はダナムとラディスとともに武器庫へ、自分に合う武器を探しに行った。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 武器庫の中は、大小様々な剣や槍で木刀は少ない。

 木刀は低学年しか使わないから、少ないらしい。


「しかし、ランディは何故剣を持たないんだい?」


「体質です。 気絶しちゃいますよ」

 クレリックとしての掟とは言えないからね。


 そして、僕はある武器を選んだ。



「えっ!? それで良いのか?」

「一対一には不向きだろ?」


さて、ランディはどんな武器を手にしたのでしょう?


次回は土日には投稿出来そうです。

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