【閑話②】 気になる植物
~これは、ランディの仲間の物語~
カーズの第7レベル呪文シャイニングロードにより行き先が決まった一行は、ズンズン進むカーズを、追いかけるように、旅立っていた。
シャイニングロードとは、術者のカーズにとって都合の良い道が見えると言った不思議な呪文だ。
「その前にさ、香織・マーニャ・リリス・ひなた・カミーラちょっといいか?」
「なに? どうしたのガル」
「どうしたの? ガルさん」
「がる、なに?」
「なんか用かぁ、ガルゥ」
「なんじゃ? ガル殿」
「お前たちに預かって貰うのがある」
ガルは香織達に、ランディの持ち物を渡している。
リリスには赤の刻印を埋め込んだポーチと、黒の刻印の入ったポーチを。
マーニャとひなたには、ねずみ色したポーチを二つづつ渡して、カミーラにはランディが普段使っていた武器『九節棍』と『ピコピコハンマー』を渡した。
香織には、ランディが肌身離さず装備していた『エクスクラメーションバックル』を渡した。
香織「こ、これは……」
ガル「ああ、これは香織達が持っていた方が良いだろ。 なっ?」
香織・マーニャ・リリス・ひなた・カミーラは、ランディの持っていた道具をぎゅっと抱き締めていた。
「ランディさんの形見っすね」
「形見じゃないのじゃ!」ボカッ!
「きさまが死ねぇ!」メキョ!
「光を束ね弾けよ。光破!」バシュ!
「キンジ燃えろぉ!……火球!」ボン!
「……まだ生きてるの? とどめよ」ドス!
五人の女性から、決してぬるくない攻撃を受けたキンジ。
「ア、アーサーさぁん、助けてぇ」
「キンジ 任せろ 第2レベル呪文 ヒール これで 安心 殴られろ」
「さあ貴女達、続きをどうぞ。 殺しさえしなければいくらでも攻撃して良いですよ」
「カーズさぁん、そんなぁ!」
「ありがとうカーズ殿」バシッ!
「さすがカーズ、痒いところに手が届きますねぇ」ボカッ!
「我が力、魔の下に凝縮し魔光となり弾けよ。魔光破」ドシュ!
「ちょっとリリス、やりすぎだよ。 私の出番がないじゃん」ペチン
「アーサーもう一回、回復をお願い出来る?」
「ランディさぁん、助けてぇ!!」
キンジは半死半生だ。
「その、ランディを探す旅をしてんだけどなぁ。 口は災いの元」
◆◇◆◇◆◇◆◇
数時間ほど歩いていると、ガルが皆に向かって話しだす。
「なあ、俺達この世界に召喚されてから一ヶ月も経つのに、世界の名前や、国の名前すら知らねぇのは、ランディを探すのに不利なんじゃねぇか?」
「今回は直ぐに召喚主が見つかったからな……国の事情を聞き出す事をしなかったね」
「今回 召喚主 早期発見 宴会 完了 強敵 探すだけ」
ランディ・カーズ・アーサー・ガルの四人は、人の道を外れるほどの力を手にした代償により、不定期に異世界に巻き添え召喚される体質になってしまっているのだ。
当然、四人の配下となっているランディガールズと、キンジもおまけで巻き添え召喚されている。
ランディ達は、異世界に巻き添え召喚される度に『召喚元』を探し、宴会に持ち込むと言った、遊びを設定していたのだ。
「アーサー、神を三匹も倒せば、満足だろ? はっきり言って、神々相手だと俺様には荷が重い」
「今回は私も兄さんも完全体じゃ無いから、かなり苦戦したね……私のプリズムティックウォールを手順を踏まずに解除するし、三人とも中層下位の神だったのかな」
カーズが使う、第8レベル呪文の『プリズムティックウォール』は七色の障壁で対象を閉じ込める呪文である。
これにより、要所要所で神々の連係を分断させた。結果、神々を敗北させた要因のひとつになっていた。
「ねえ、ガルさんにカーズさぁん。神様って『一柱』『二柱』って数えるんじゃないんですか?『匹』とか『人』とかおかしくないっすか?」
「そう言えばランディも『一体』『二体』と数えていたわね」
香織もキンジの言葉に首を傾げている。
香織の言葉の後、みんなはアーサーを見る。
「俺? 一食、二食、三食?」
「ねぇ! 少しは敬おうよ? なんで、子供や貧しい人にはあんなに優しいのに、権力者や絶対強者とかには、理不尽ってくらいに厳しいんすか! それに神様は食べ物じゃないっす!」
「名前も位も判らん神々を敬うなんて、するわけないですよ。せめて自己紹介して、どの神の従属神だか説明してくれないと、話にならないですねぇ」
「因みに俺様が持っている『神刀アマテラス』も神の仲間なんだぜ。じゃなきゃ俺様が、神々共とまともに戦えるわけがねぇじゃん。 だから俺様からは喧嘩を売らないぞ」
「俺 神 敬う でも 敵なら 美味しく 戦う」
「でも、神様の背後から不意打ち出来るのはガルさんだけって、ランディさんが言ってましたぁ」
「ふっ、まあな……」
背中を思いきり反らすガル。
「でも、こんだけ常識ハズレでも、四人ともおだてには、弱いのよねえ」
「ふっ、まあな……」
背中を少しだけ丸めるガルだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
途中から街道に入ったが、二日も歩くと、カーズの進む道がそれる。
そして、少々荒れた雰囲気を見せる大地に、たくさんの緑の植物が生い茂っている場所に到達する。
「私のシャイニングロードが、ここで止まった」
「こ、これは……『アイスプラント』か?」
「まさか、ランディさんは植物に転生したんで、ぶごうっ!!」
ひなたと香織のダブルパンチでキンジは気絶した。
アーサーは、足下にある土を掴み取り、そのまま食べる。
「うん この大地 塩害 普通の 植物 あまり 育たない」
「このアイスプラントは、自生植物じゃないね、人為的に塩害対策をしている。 そうか、これが兄さんの手掛かりなんだね。 一瞬、兄さんを探すより、アイスプラントが食べたいとかアーサーみたいな本能が有るのかと、落ち込むところでした」
ガルとアーサーが聞き込みに出掛けているなか、カーズは一戸建てを建築していた。
第2レベル呪文の『クライミングツリー』で、巨木を召喚し、第7レベル呪文の『ガンダル・ナイティスター・ソード』で遠隔操作できる伝説級の剣を使い短時間で家を造っていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ガルとアーサーの入手した情報を元に話し合う。
「アイスプラントは『アルテシアンナ王国』から持ってきたようだが、どうやら敵国みたいで、『ターベール国』を経由して仕入れた様だ」
「アルテシアンナ 塩害 深刻 誰か 助けた アイスプラント 使った 因みに ここ アカシア王国」
「どうやら、この国は好戦的であちこちの国とドンパチしていたんだが、ここ数年はおとなしくしていたらしい」
「しかし 鋼鉄 特種銀 大量生産 近く 戦争 始める」
「ってことで、カリカリした貴族のお偉いさんが、俺様に失礼な事をしたから、裸に剥いて山芋を擦り込んでおいた」
「ついでに ガル オモチャ 見つけた」
「恐らくこの世界以外の遺品だと思うが『測定器』ってのを貰ってきた。 新型のスカウターだ。 見たいだろ」
大きなゴーグルを持って装着するガルだが、すぐにカーズに渡す。
「俺の目だと、マジックアイテムって言うより機械に似てるんだが、カーズなら判るか?」
カーズはしばらく見た後に、答える。
「うん、こいつは太陽光で充電する電気的装置だな。 ただ、途中から魔力に変換する部分もある……それなりの設備がないと複製は難しいな」
「ちょっと見ただけで、複製可能とかわかるんすか? カーズさんすげぇ」
「スイッチオン! ……おう? キンジのレベルが18もあるぞ? ガルは……55?はて……」
「おれはマジックユーザーレベル5だったのに何故ぇ?」
「俺様のレベルは50でカンストだから、測定してる部分その物が、違ってるんじゃないか?」
「そうだね、パワーとスピードを測定して、大まかに表示してると見ました。 アーサーを見れば一目瞭然。 ほら、レベルが160」
「ひぃ!? けた違いじゃなさいっすか。ガルさんが一般人に見えます!」
「ガルさんって、両目が義眼で左手の指が四本薬指だけど?」
「第2レベル呪文……オグルパワー どうだ? カーズ」
アーサーは腕力上昇のクレリック呪文を使った。
「うん、レベルが174まで上がった。面白いなこれ」
カーズは珍しい玩具を見つけたかのように、喜んでいる。
「それなら 神速 どうだ?」
ボンッ!
カーズの装着していた、測定器は爆発して壊れてしまった。
「アーサーの能力に耐えられなかったか……ションボリ……こうなったらキンジ修行だ!」
「八つ当たり死亡フラグ来たー!」
◇◆◇◆◇◆◇◆
一夜明けた朝。
「第7レベル呪文……シャイニングロード」
「今度はどの方角だ?」
「アルテシアンナ王国かと思ったら、アルカディア王国に向かっているな……寄り道するのか?」
「次は どんな 野菜か」
「私は食いしん坊キャラですか。では出発しましょう」
こうしてランディの仲間達は『アルカディア王国』に向かって歩いて行った。
ランディガールズ+キンジの見分け方。
『香織』ランディ、ガル、アーサー、カーズと呼び捨て。
『マーニャ』お兄ちゃん、ガルさん、アーサーさん、カーズさんとランディ以外はさん付け。
『リリス』らんでぃ、がる、あーさー、かーずと平仮名表記。
『ひなた』ランディ、ガル、アーサー、カーズと、呼び捨てだが、語尾が小文字になることが多い。
例、ガルゥ、アァサァ、カァズゥ。
『カミーラ』主殿、ガル殿、アーサー殿、カーズ殿となる。
『キンジ』ランディさぁん、ガルさぁん、アーサーさぁん、カーズさぁんと呼ぶが、じょうきょうに応じて普通になる。




