【176話】泥人形
最大のバトル……1話で終わりました。
(;・ω・)
四神との戦いが始まりを告げた。
正直、相手は出遅れたと言っておこう。
『1柱1人で相手にし、確実に脆弱な罪人の命を奪っていこう』
『我はあの魔法使い、エルドラドは妙な技を使った甦生術者、エリュシオンは言葉を話す剣を持ったちょこまか動く者を、バファイムには悪いが、強戦士を相手にしてくれ』
『分身体はどうする?』
『邪魔にはなるが、驚異にならん。随時始末すれば問題なかろう』
神々が一対一の戦いを、ご所望だ。
けど、カーズに先手を打たせたのだから、それは叶わないだろう。
『第10レベル呪文……泥人形』
カーズ2回目の『泥人形』は、カーズ本人に使われた。
カーズの前に4つの泥が盛り上がる。
それは4人のカーズに形成された。
『この罪人は分身体でも少々面倒だ。特に七色の封印術は厄介だ、始末しておこう』
そう言って、カーズに急速接近して、横から泥アーサーに思いきり殴られた。
『なんだと!? バファイムは何をして……なっ?』
竜神は既に、素手のアーサーとガチンコ勝負をしている。
僕も油断した魔神をクリティカルヒットでダメージを与えたところだ。
説明しよう。
僕とカーズの使うドッペルゲンガーは、最高レベルの僕たちが使っても、50%の力しか発揮できない。
だけど泥人形のアーサーは、100%のアーサーだ。
装備以外はあのアーサーと変わらぬ攻撃力を有しているんだ。
そしてアーサーはラグナロクブレード以外にも神殺剣を持っている。
呪われた神殺剣を右腕の骨に変化させて、埋め込んでいるんだ。
結果、泥アーサーでも神の防御を破れる攻撃を繰り出せるんだ。
本体も泥も素手の方が、操縦がしやすいから、同じ戦いをする。
そして、1度に4人出現した泥カーズのレベルは『40』だ。
レベル25のドッペルゲンガーと同列に考えた時点で神々は後手にまわるしかない。
『ギャーハッハッハッハ! 現時点で一番弱いのは魂の相棒ガルだな。俺様を装備してもそれは変わらねぇな』
「五月蝿い駄剣! 俺様はこれからだ!」
「第9レベル呪文……タイムストップ」
「第9レベル呪文……タイムストップ」
「第9レベル呪文……タイムストップ」
「第9レベル呪文……タイムストップ」
泥カーズが時間停止の呪文を使った。
その瞬間、泥カーズ以外の時が止まり、僕らを抱えて遠くに移動する。
本来なら見えるはずのない泥カーズの動きが見える。
今の僕は、体までは動かないけど、停止した時間を認識することが出来るようだ。
距離を置いて、時間が動き出すと同時に、攻撃呪文を繰り出す。
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
4人の泥カーズが魔流星を使った。
まるで流星群で、天変地異を起こすかのようだ。
隕石と大爆発の雨に巻き込まれる神々。
だが、人神だけが超高速で爆発から逃げきっている。
「隙ありぃ!!」
全力で逃げた人神を、ガルがとっちめる。
そして後から追い付いたアーサーと僕で、追い討ちをかける。
「第10レベル呪文……泥人形」
本日3回目の泥人形は、ガルだ。
ガルの回りに16人の泥ガルが誕生する。
この16人のガルはレベルが30で、ドッペルゲンガーよりもまだまだ強い。
爆発から生還した神々も驚く。
『ギャハハハハハハッ。準備は出来たな? さあ、シューティングゲームの始まりだ!』
16人の泥ガルが、神々に向かって行動の阻害をする。
ガルは、16人程度の泥ガルなら余裕で操縦ができる、流石だ。
加えて本体のガルは、泥アーサーの陰に隠れてクロスボウを装備する。
僕はカーズを守るように位置する。
「第7レベル呪文……ドラゴニックブリザード」
泥ガルの1人が冥王にしがみついたと同時に、カーズの攻撃呪文、氷龍が命中する。
「がはっ」
神々の動きが速いから、味方ごと攻撃してダメージ与える恐怖のシューティングゲームだ。
「第7レベル呪文……ドラゴニックサンダー」
「第7レベル呪文……ドラゴニックファイヤー」
「第8レベル呪文……プリズムティックウォール」
逃げ惑う神々、元凶であるカーズを何とかしようと魔神がやって来る。
「どりゃあああ!」
ダメダメ、焦るとゴッドメイスの餌食になるよ。
ゴッドメイスの一撃で、吹き飛ぶ魔神。
「第10レベル呪文……アトミックレイ」
カーズの光線攻撃呪文が炸裂する。
はははっ、やっぱり神々は凄い!
今のコンボ攻撃を受けても、まだ生きてる。
このまま5人のカーズとガルは射的ゲームを続けた。
神々はダメージ覚悟で、泥ガルを倒す動きを見せる。
よほど厄介と見える。
崩壊寸前の泥ガルが、僕に集まってきた。
「第5レベル呪文……シリアスヒールサークル」
復活した泥ガルは、四神の妨害に飛び立って行った。
「第10レベル呪文……アトミックレイ」
『ゴオオオオオ!』
竜神が苦しんでいる。
『アレクトー、エリュシオン! 我に力を集めろ頼む!』
むっ、前回カーズの分身2人とガルを殺した技を使うのか?
魔神に焦りが見えてきたな、よし! 受けて立とう。
「第8レベル呪文……バリア」
魔神の一撃必殺とも言える、自らを神力の槍と化した超高速の攻撃が来た。
魔神の攻撃は、易々とバリアを突き破り僕を襲う。
魔神の攻撃は、僕の前で止まるが尋常じゃない速度で僕の命を削っている。
「くっ、グランヒーリング」
失われる生命力を、回復魔法の応用である再生魔法で補う。
だが、それでも間に合わない。
「グランヒーリング、第9レベル呪文……エナジードレイン。……今だ、喰らえっゴッドクラッシャー!!」
エナジードレインによって威力が弱まった魔神の攻撃を斜めに逸らした。
逸れた先には、笑顔のアーサーズがいる。
「王神流奥義、魔神剣クロス」
「王神流奥義、魔神剣クロス」
魔神に魔神剣とはやるなアーサー。
おかげで、魔神の神力が著しく減っている。
『隙を見つけたぞ! グゴォァァァァァ!!』
アトミックレイによりボロボロだった竜神が、自慢のドラゴンブレスを吐き出す。
ドラゴンブレスを弾き返すアーサーが魔神を相手にした隙をうまく突いた。
しかし……
「第10レベル呪文……因果応砲」
放たれたドラゴンブレスは、僕たちの直前で消滅して、竜神の真上に出現してまともにドラゴンブレスを浴びる。
『ゲガガ……ガガ……ガガ……』
あらあら、竜神も虫の息だ。
『な、何なのだ、お前らは何なのだ! このあり得ない現象の数々は何なのだ!? なぜ我等、四柱を相手にここまでやれるのだ! 許さんっ!! 我冥王エリュシオンの名において命ずる、罪人たちよ死ね!!』
「断る!」
「断る!」
「断る!」
「断る!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
残念、僕たちに手順を無視した攻撃は、通用しないよ。
『ギャハハハハハハ、愚かなり。この問題児どもに、その手の攻撃は効かないどころか、跳ね返るぞ。しかし死を跳ね返されて死なぬとは、冥王エリュシオンもやるじゃねぇか。ギャッギャッギャ』
「さあ、仕上げとしますか。第10レベル呪文……泥人形」
カーズがとどめとばかりに、もう4人のカーズを作り出す。
カーズ、いいのか? 8人も操るのは大変だろうに。
9人のカーズに戦意喪失する神々。
『や、やめろ……止めてくれっ!』
『我が、死ぬ? そんなバカな……』
『ま、まて、我々の負けでいい、冥界で死んだら二度と復活出来ぬではないか』
『ゴァ……助け……て、くれ……グガ……死に……たく……ない……』
魔神、冥王、人神、竜神の順に敗者らしい台詞を吐き出した。
神々とあろう者が、なんて情けない。
アーサーはやる気をなくし、カーズの目が冷たさを増す。
「ならば、最後に苦しんで死になさい……」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
「第9レベル呪文……メテオスォーム」
カーズも8人を操縦すると、攻撃は単調になるし自分は行動出来なくなるか。
苦しめと言いつつ、瞬殺コース選んだカーズ。
僕も4人の操縦が限界だからな。
メテオスォームが神々に着弾する。
地面は抉られ溶け出し、黒い爆煙が巻き上がる。
神々の消滅は目視できないが、神の気配……神力をまるで感じない。
「第3レベル呪文……ディテクトエネミー」
じっくりと、爆心地を調べるが、神の反応はなかった。
「ふう、神を4匹も同時に相手をするのは、大変だな。いい経験値になった」
「4食 完食 次 ランディ」
「やめなさいアーサー、もう満足でしょうに」
『ギャギャッ、ところでカーズよ。どうやって冥界から帰るのだ? 俺様の目算だとカーズの【神の願い】でも困難な異界だぞ?』
待ってアマテラスさん、それは先に言おうよ。
カーズ、もちろん対策あるよね?
帰る方法知ってるよね?
僕だけじゃなく、ガルもアーサーもカーズを見る。
「…………考えてませんでした。どうしよう」
「ズコーッ!」
「カーズ バカ」
「この愚弟がっ」
こうして、僕たちは冥界に閉じ込められた。




