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【125話】ランディ、親の敵を見つける

「ロイエンルーガ、何故おまえがここに居るんだ?」


 知らないおっちゃんが、ロイエンに指を差している。


「タイム!? なんでお前が」


 ロイエンも、嫌なやつに会ったなって顔をしている。


 さて、このおっちゃんは誰?


「無礼者! 運が良い事にどこぞの貴族に気に入られたのだろうが、今の私は『タイム・マツヤ男爵』なるぞ!! しかも只の男爵ではない。多くの伯爵殿から支持を受けた、由緒ある貴族なのだ。本来なら貴様とは口すらきけない間柄になったのだぞ? まぁ、昔のよしみで口ぐらいきいてやるがな。よく生きていたなロイエン、どこの貴族にとりいったのだ? あ? おおっ!?」

(うおっ!? あれはロイエンルーガの嫁、クラリス!?)



 イヤらしい笑みを浮かべていたのは、タイム・マツヤ男爵。


 『由緒ある貴族』に、突っ込みを入れたいアホなやつ。

以前は准男爵で、ロイエンと同じ領地で地主をやっていて、ダナムの父親だ。


 僕が直に見るのは初めてだ。

 そして、2人の身内と護衛も当然知らない。



「初めてまして、タイム・マツヤ男爵殿。僕はランディ・ライトグラムと言います。盗賊なんかとたくさん戦っていたら、貴族になり、様々な縁あってここに招待されました。今は、王都の小さな屋敷でゆったりと暮らしています。以前は父さんと、母さんがお世話になったようで」


 ギロリ!


 バカ親に睨みを効かせる。


「うっ、ロイエンルーガの子供だと!? ライトグラム!? 家名を賜ったのか……」

(クラリスは生きていたのか、噂じゃ病死したと聞いていたのに。しかもロイエンの息子が貴族にだと!? 一体どんな手品を使ったんだ?)



「はい、お陰様で父さんと母さんを養っても、余裕の出る稼ぎをしています。おやっ、あちらで僕を見ている人は?」


 5メートルほど離れた位置で、こちらを値踏みするように見下ろす貴族がいる。



「はっ、いかん。貴様らなんぞに構っている暇はなかった。あそこに居られるのは『プリウス伯爵』様だ。貴様なんぞが手に届かぬ御方だぞ」



 こいつがプリウス伯爵か。

 借金した両親を死地に送り込んだ元凶。


 借金の方は、マツヤ男爵が絡んでいるだろうが、ロイエンの責任も大きい。

 正直、半殺しでいいと思う。


 だが、プリウスは違う。

 クラリスは後3日遅ければ、手遅れになっていたんだ。


 親の仇を見るように、プリウスを睨む。



「イヒッ!?」


 プリウスは突然バランスを崩して倒れた。



「なっ!? プリウス伯爵、大丈夫ですかっ!」


 マツヤ男爵が慌てて、プリウスのところに駆け寄った。



 今のは『威圧』のスキルだ。

 しかも転生前の僕は、日本人としての僕が融合したせいで不完全な威圧しか使えなかった。


 だけど今、プリウスを単独で威圧を掛ける事に成功した。

 まあ、だからって感謝はしないけどな。



「服が汚れてしまった。1度、外に行く」


「はい、私もお伴いたします」


 プリウスは逃げるように移動してしまった。


 くそっ! 難癖つけて、喧嘩を売らせて仕返ししたかったのに。



 でも、伯爵が未だ第四区画でうろうろしてるなら、お世話になった、グランデールさんとマクドバーダさんもいるかもしれない。

 挨拶をしたいから、探しながら第三区画を目指そう。


「父さん、母さん、さあ奥に行きましょう」



 ◇

 ◆

 ◇



 一方、ランディの威圧に完全に圧されて、足が利かず、転倒してしまったプリウス伯爵は、タイム・マツヤと、一旦第四区画である外庭から出ていた。


 汚れた服を着替え、舌打ちしながら、ランディに睨まれた事を思い出す。


(あの、小僧の眼……私を本気で殺すつもりだった。私が遊び半分で辺境の死地に送り込んだ仕返しをするつもりか? 下級貴族風情が生意気な)


「タイム、あの小僧の名は?」


「ははっ! たしかランディ・ライトグラムと名のっていました」


「ライトグラムか……デップ、ジョルジオ、至急手勢を集めて、ライトグラムの屋敷を襲え」

「わかりました」

「わかりました」


「プリウス伯爵、私の兵もお使い下さい。私もロイエンルーガが消えて欲しいくらい気に入らないのです。それに使える兵は多い方がよろしいかと」


「うむ。タイム、頼りになるな」


「父上、不馴れな土地での急襲となると、うまく行くでしょうか? それに私が在学中の頃から、ランディは強いと噂がありました」


「ふん、八武祭の出場選手か……たかだか子供のチャンバラごっこではないか。数を集めて多勢で攻めれば問題ない」


「タイムの言う通りだ、全滅した屋敷を見て、愕然としている時に、多勢でたたみ掛ける。デップ、ジョルジオ、証拠は残すなよ。小僧の関係者、全員確実に殺してしまえ。くくっ『王都の小さな屋敷で暮らしています』か……私に情報を与えたのは失敗だったな。最後の晩餐を楽しむがいい。そしてこの私を生意気にも睨んだ事を後悔するがいい!」



 ふとした事から、ライトグラム家殲滅を目論んだプリウス伯爵だが、彼らはこの時点で、いくつかの失敗をした。


 それは……

『ライトグラム家が男爵と勘違いした事で、ライトグラム邸を警戒するまでもなし、と考えた事』

 子爵で公爵と王族に繋がりがあったと解って入れば、別の手段を考えたはず。


『タイム・マツヤの連れてきた家族の内1人が、ランディを一番知らない長男だった事』

 もし、次男や四男であれば、ウエストコート高等学院でのランディの化物ぶりを目の当たりにしているので、その点を強く進言されていたはず。


 そして、今夜のライトグラム邸は『ダナム・マツヤ』『セナリース』『アリサ』の腕利きがいて、ドリアの側近であり王宮騎士並みの実力を持つ『ドロワット』『ゴーシュ』もいる。


 おまけに、ベルデタル聖国の精鋭100名が、屋敷のすぐ近くを拠点に生活していた。


 プリウス伯爵は、即行動に移した結果は、どうなるのだろうか。




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