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【113話】ベルデタル聖国の乱

今年の更新は此で最後になります。

 アルカディア王国の西側に位置する国、ベルデタル聖国は、剣士の聖地と呼ばれるくらい、剣術が盛んな国だ。


 測定器の値が同じであるならば、絶対にベルデタル出身の剣士が勝つだろうと言われるほどに。


 ベルデタルの剣聖、フレイズ・ベルデタルには男子は産まれず、娘の子供である2人の孫を後継者として育てていた。


 長男のペンタグラ・ベルデタルが16歳、次男のヘキサゴン・ベルデタルが14歳の時、フレイズは病で急死してしまった。


 剣聖であるフレイズは、実力で劣るはずのヘキサゴンを次の剣聖にすると言い、2年後に剣聖を継ぐ儀式をせよと、言葉を残して逝った。


 幸い、政治については国王が居るため、表面上の混乱はなかった。




「何故だ! 何故俺が剣聖じゃないんだっ! 剣で一番強い者が次代の剣聖になるんじゃないのかっ?」


 ペンタグラは素振り用の剣で、部屋中を叩きつける。


「ジジィめ、目が曇ったか? それとも……まあいい。正しく剣聖を選ばなかった事をあの世で後悔していろ」


 綺麗な目を持ったペンタグラの瞳は、この日より深い闇で濁る事になった。



 それから、長い月日が経過したある日……



「ない! ないぞっ! 古の指導書がないっ!?」


「バカヤロー! よく探せっ。あれがなくなったら、俺たちの首だけじゃ済まない」


 紛失した古の指導書とは遺跡のアイテム『アプレンティスの指南書』の事で、この国に2冊しかなく、1冊は剣聖が、もう1冊は国王が厳重に保管しているはずだった。


 複写もしていたが、原本と複写の差を付けるため、最後の1ページだけは、写していなかった。


 剣聖が所有する筈だった古の指導書は、夜が明けても見つからなかった。



 何処を探しても出てこない事態に焦りを感じている剣士たちの前に、ペンタグラがやって来た。


「指導書は見つからずか……大変な事になったな」


「ペンタグラ様……す、すいません! 命に代えても見つけますので、家族だけは見逃して下さい!」


 必死に頭を下げて許しを乞う剣士たち。


「いや、お前たちに責任はない。これだけ探してもないと言う事は、指導書は燃やす等の手段で破棄されたのかも知れない」


 優しい口調で話すペンタグラだが、表情は悪魔の微笑みと言えばしっくり来るほど、邪悪に笑っている。


 だが、剣士たちは全員頭を下げているので、ペンタグラの顔を見る者はいなかった。


「しかし、いったい誰が……」


「我が国の秘宝とも言える指導書を燃やして、損をしない人物や機関……局……まさか……いや、疑わしき者は捕らえよう」


 剣士たちは、ペンタグラのわざとらしい独り言を、疑問も持たずに聞いていた。


「お前たち、犯人は恐らく国外の者等だ。この期間に滞在していた者を探して、拘束せよ。逆らうものは斬っても構わん」


「はっ」

「はっ」


 剣士たちは、自分に責任が被らなかった事から、深く考える事なくペンタグラの命に従った。


 だが、ペンタグラは知っていた。

 ここ最近で、国外から剣術を学びに剣聖の所在地まで来ている者が少ない事を。


「悪いが、犠牲になって貰おう。オステンバーグ公爵殿下」


 ペンタグラは小声で呟いた。



 ◆◇◆◇◆



 ここ、アルカディア王城内の、ある広間では多数の大貴族達が真剣に話し合っていた。



「なにを悠長な事をしている! 息子が、フォルツが冤罪で処分されるかも知れないのだぞっ!」


 どなり声を上げているのは、この国で6人しかいない大貴族、フォスター・フォン・オステンバーグ公爵だ。


 彼は、公務で王都に滞在中、息子のフォルツ・フォン・オステンバーグが、ベルデタルに留学中、国宝を焼却した疑いで拘束され、処刑すら検討されてあると報告を受けた。



 直ぐにベルデタル聖国に出発しようとした公爵だが、引き留められた。


 息子に冤罪を被せるくらいなら、真の目的は公爵本人の命が目的もあり得ると、引き留められた。


 こうして、緊急会議が開かれた。


「人知れず隣国に潜入するなら、特務隊が適任なのだが……」


 王族特務隊は名の通り、王族のために動く組織、これを特例で動かすには時間がかかる。


「実は、今から話すことはここでとどめて貰いたいのだが、現在特務隊は殆ど出払っている。王弟ですら出立する案件があってな……」


「…………」


 そして、とるべき手がないと思った時、フォスターは八武祭を思い出した。


 王宮騎士のトップと、それに肩を並べる程の実力者の2人を相手に引き分けた事実上、国内No.1の戦闘力の持ち主を。


「いる。たしかランディ、ランディ・ライトグラムだ。彼なら……」


「いかん! それはダメだ」

「そうです、彼には荷が重い」


 一部の反対意見が出たが、フォスターは疑問に思った。


「何故だ? 彼は国内No.1の猛者で、裏で戦ってもなお強いと聞く。彼より適任が居るなら今すぐその者の名を言え」



 フォスターの問いに答えあぐね、しどろもどろしていると、別方向からフォスターに援護射撃がでる。


「そなたらは、まさか聖国と通じてオステンバーグ家の弱体化を狙っているのではあるまいな?」



 爆弾発言をしたのは、アスターテ・フォン・ウエストコート公爵。

 もちろん聖国と通じてる等、欠片も思っていないが、ランディを表に出すのために一役買って出たのだ。


 この発言が発端で、ランディの出立反対派は大人しくなった。


 だが、ここに居る国王の顔は優れない。

 国王はこう考えていたからだ。


『ランディならば、フォルツを見つけ救い出す事は可能だろう。だがそれは力ずくでの話。そうなれば

 聖国との溝が出来てしまう。となるとランディの陞爵(しょうしゃく)を邪魔するバカどもの足掛かりになってしまう』


 結局、国王は特に意見を出さず、沈黙し続けた。

 だが後日、自身が沈黙した事により、ランディが不利な状況で王都を出発した事を知り、後悔するはめになった。



 そして3日後、ランディ・ライトグラムを呼び出す事が決定した。



ガル「シリアス展開きたぁ!」

カーズ「ですが、アプレンティスの指南書って、王神流の基礎と情報がありました。ヌルゲーですね」

キンジ「でも、ランディさんって王神流は使えないんじゃ……」

ガル「そうだな、ランディは王神流を50年打ち込んで、基礎をマスターしたところで限界だった。あれは闘気の資質による影響がでかい」

キンジ「あれっ? でもアプレンティスの指南書は基礎って話じゃ」

ガル「じゃシリアス展開も長く続かないかあ」

アーサー「ランディ 強くなる 予感 する」

ガル、キンジ、カーズ「えっ!?(;・∀・)」

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