表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/31

08.キャンピングカーの規格外っぷりに驚く冒険者さん


 冒険者リダケンさんたち一行に、食事を提供した (代金はきちんともらうことを約束してる) 。


 翌朝、私はパッチリと目を覚ます。


「ふぁー……よくねたぁ~……」


 えー、ここで私の居る場所をご説明しましょう。


 私が居るのはどこのご家庭にでもある、キャンピングカー。

 そしてどこのキャンピングカーにも搭載されている、【2階部分】です。


 ……。

 …………。

 ………………うん。


 何を言ってるのかわからないだろう。

 キャンピングカーの2階って何って……。


 私にもわからん (真顔) 。

 経緯を説明しよう。


 リダケンさんたちは、カレーを食べた後、すぐに倒れてしまったのだ。

 緊張の糸が切れてしまったのだろう。彼らには、毛布を提供し、床でねむってもらうことにした。


 で、問題は私がどこで寝るか、だ。

 さすがに男の人がいるところで、私も一緒に寝るのは躊躇われた。


 どこで寝ようかなと、愛しのキャンピーの中を探していたところ……。

 天井に、謎の蓋を発見。


 蓋を開けると、なんと2階へ続く階段が、折りたたまれて入っていたのだ。

 階段を上ると、そこにはもう一部屋あった。でっかいベッドのお部屋で、ちょうど寝室っぽい感じだった。


 ……もう、訳わからん!

 キャンピングカーに2階ってなに!? この空間はなんなのっ?


 答えてキャンピー!

 ……はい、私の相棒キャンピーが答えてくれることはありませんね。生き物じゃあないですからね。


 まあ、キャンピーこと、野外活動車キャンピングカー内は異空間になっているって書いてあった。

 だから通常ではあり得ない、内部構造にすることも可能なんだろう (どう見てもこのキャンピングカーに2階部分なんて、外から見てあるように見えない) 。


 私は2階部分で寝た。いろいろあって疲れたし、爆睡しましたわ。

 で、今に至るわけ。


「…………コーヒーでも飲も」


 私は朝起きると必ずコーヒーを飲む。それは、大学生くらいの時からのくせだ。

 私は静かに2階部分から1階部分へと降りる。


 リダケンさん達はまだ毛布にくるまってねむっていた。

 ……私が調理してたら、その音で彼らを起こしてしまうな。


 私はキャンプ用品を棚から取り出して、キャンピーの外に出る。


「んー……良い朝」


 ぱっと見た感じ、周りに魔物は居なかった。

 昨日は大灰狼グレート・ハウンドだの、黒猪ブラック・ボアだのと、魔物が沢山襲ってきたのにね。


 なぜだか、今朝は魔物の姿が見えなかった。


「妙に静かだね、キャンピー」


 おっと、またキャンピングカーに話しかけてしまった。

 まあでも、この世界において私とキャンピーだけが同郷だからね。仲間意識から、こうして話しかけちゃうわけだ。


 あーあ、キャンピーが話せたらなぁ。

 まあ、便利すぎるチートキャンピングカーだけど、さすがに話す機能はくっついてないか。さすがにさすがに。


 さて。

 私はキャンプ用の折りたたみ椅子とテーブルを広げる。


「コーヒーの準備っと。じゃん、小型バーナー&鍋」


 ホムセンで買ったキャンプ用品を取り出す。

 水道水を鍋になみなみ注ぐ。そんで、バーナーであぶる。

 その間に、コーヒーミル&豆を取り出す。


「ゴリゴリっと」


 豆をひいて、マグカップの上にセット。ちょうどお湯ができたので、中に入れる。

 ぽたぽた……と液体がカップに満たされる。


「どれ……ずずず……うん、うまい」


 現実世界で散々のんだコーヒーだ。味は大して変わらないはず。

 だのに……なんだかとっても美味しかった。

 早朝の森の中ってシチュエーションだからかも。マイナスイオン的なものがでているから……みたいな。なんてね。


「おはようございます……スミさん」


「あ、リダケンさん。おはよございます」


 朝っぱらから、リダケンさんはバッチリ鎧を着込んで、抜き身の剣まで持っていた。

 ……今更だけど、風呂に入ってもらえばよかったな。


 キャンピーの中に風呂……あるかなぁ。まあ、あるだろう。あって欲しい。


「昨日はよく眠れましたか?」


「ええ……ぐっすりと。森の中で、ここまで熟睡できたのは、初めてです」


「そりゃよかったです」


「それと……すみませんでした!」


 え……? 何をいきなり謝ってるんだろう……。


「昨晩は、泊めてもらってる分際で、夜の番もせずに全員寝てしまって……!」


「? えっと……別に気にしてないですよ。皆さん疲れてましたし。それに見張りなんて必要ないですよ。馬車の中にいれば安全ですし」


 キャンピーには結界が張られてるしね。


「それでも……。迷惑かけっぱなしで、すみません」


「いえ、気にしないでください。これはビジネス。ちゃんと代金はいただく約束になってますし」


 対価に対するサービスを提供してるだけだ。

 そこまで恐縮される必要はない。


「いま朝食作っちゃうんで、お仲間さんを起こして……って、どうしたんですか、リダケンさん?」


 彼が、なんだか目をめっちゃくちゃ大きく見開いていた。


「あ、あの……スミさん……。お、おれの、多分見間違いだと思うんですが……」


「見間違い……?」


 すっ……とリダケンさんが、目の前の……草原を指さす。


「奈落の森……抜けて、ないですか……?」


 リダケンさんは声を震わせながら、私に問うてくる。

 え……?

 そんな……。


「何かおかしいですか?」


 昨日、19時から車を飛ばして、今は6時くらい。

 約十二時間も車を飛ばしたのだ。


 奈落の森がいくら広かろうと、さすがに、12時間も走れば走破できる。

 あ、ちなみにずっと私が運転したわけじゃあない。


 途中で眠くなったので、自動運転に切り替えたのだ。いやぁ、異世界キャンピングカー、さすがよね。

 自動で目的地まで、私たちを運んでくれるんだから。しかも、運転手や客が寝てても、送り届けてくれるんだもん。


 我が相棒は優秀優秀。


「…………」


 リダケンさんは、大きくため息をついて、しゃがみ込む……。


「え、ど、どうしたんですか?」


「いや……なんというか、スミさんの規格外っぷりに、驚かされてしまって……」


「規格外……?」


「……なんでもありません。仲間達を起こしてきます」


「あ、はい。お願いします……」


 しかしなんだったんだろうね、彼。あんな驚いて……。



《リダケンSide》



 ……おれは、リダケン。Sランク冒険者パーティ、【黄昏の竜】のリーダーだ。

 おれらは、奈落の森の調査依頼にいった。だが、途中で迷子になってしまった。

 

 死を覚悟したとき……見るからに怪しい女と遭遇。

 そして……その女の力を借りて、おれたちは、森を抜けることができたのだ。


 ……仲間達を起こし、おれは、現状を伝える。


「は……?」


「うそでしょ……?」


「しんじらんない……」


 仲間達は、窓の外を見て、絶句していた。

 奈落の森を、突破していたからだ。おかしい……。


「あたしたちって、奈落の森の中腹にたどり着くのに、半月以上かかったわよね……?」


 仲間のひとりがおれに尋ねてくる。


「ああ……あの森は人を迷わす。さらに、途中で魔物と戦闘になったり、トラップにひっかかったりして、全然思うように進まなかった……」


 でも、スミさんは、おれらが半月かかった距離を、一晩で突破してしまったのである。


「この馬車……やばすぎない? 寝ながら移動できるって……」


「ああ……しかも、ここに出てくる強い魔物たちの攻撃を受けても、全然びくともしなかった……」


「これがあれば移動はかなり楽になるし、たとえば今回みたいな調査に、スミさんが同行していれば、依頼も超絶楽に進められる……」


 おれらは、みなスミさん、そして彼女が持つ馬車に……驚きを禁じ得なかった。そして……言う。


「「「「あの人、だいぶ……おかしいぞ」」」」


 ……悪い人ではない。決して。でも、やっぱり変だ。おかしすぎるだろっ。

【作者からお願いがあります】


少しでも、

「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新がんばれ、応援してる!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして、

【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!


皆様の応援が、作品を書く最高の原動力になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
女性キャラだったら、ナビがイケボで話し始めるなんてアルアルだと思います。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ