04.目的地をカーナビに入れ出発進行!
私の名前は乗鞍 澄子。
ひょんなことから異世界に聖女召喚されるも、「聖女スキルを持ってないから」という理由で、森の中にポイ捨てされた。
しかし私には【野外活動聖女】、および【野外活動車】というダブルチートがあったのだ……!
「ふぅ……」
水を飲んで、ほっとひと息つく。
「さて……これからどうしますかね」
とりあえず、チートスキル&キャンピングカーのおかげで、異世界でも問題なく暮らしていけそうだ。
魔物が出てきても、魔物ぶっ殺し光線でなんとかなるし。それに住むところも、飲み水も確保できてる。
問題は……。
「お金……か」
魔物を楽勝で倒せる。しかしドラ○エやF○のように、魔物を倒してもお金はドロップしない。
KAmizonでの買い物にも、野外活動車の燃料にも、お金が必要だ。
「お金ってどうやって稼ぐ……? 定番だと、街へ行って冒険者や、商人になるとか……かな……」
いずれにせよ、チート持ちの召喚者であっても、生活していくためにはお金が必要なのだ。
お金は魔物からドロップしない。となると……。
「街を目指す。そこで冒険者なり、商人なりになって、お金を稼ぐ」
よし、とりあえずの方針は決めた。
……元の世界に帰りたい、という気持ちは、あんまりない。
なぜなら私の両親および祖父母はみんな死んでしまってるし。
カレシもペットもいないし。
向こうで私を待つ人もいないうえ、仕事も……辞めたばっかりだ。
相棒のキャンピー (※キャンピングカーの愛称) はこっちにあるし、向こうに帰る選択肢は……ない。
そもそも、こういう時のお決まりとして、魔王を倒さないと現実世界に帰れないだろうけど (いるか解らんけど)。
魔王なんて、倒さない。
それは本物の聖女である、きらりんがなんとかするだろうしね。
「はいじゃあ、さっそく街へ向かいますかな」
私は空のペットボトルを、アイテムボックスに収納する。
ゴミを森にポイ捨てするのは、なーんか躊躇われる。
「っと、気軽に入れちゃったけど、このアイテムボックスって容量とかどんなもんなんだろう……。まさか無限なんてことはないだろうし……」
~~~~~~
【アイテムボックス (最上級)】
→召喚者の特典スキルその1。
容量無限。質量を無視してなんでも入る。中の時間は凍結してるため、生ものでも腐らない。
~~~~~~
「無限なんかーい……!」
ま、まあ……無限で悪いことはない。とても都合が良すぎるけども。
~~~~~~
【召喚者】
→異世界召喚された者の総称。鑑定、アイテムボックスがボーナスとして与えられる。また、本人の才能や潜在能力に応じた固有スキルが与えられる。
~~~~~~
なるほど……。異世界に召喚された者、略して召喚者と。
私の場合の固有スキルは、【野外活動聖女】と【野外活動車】ってことか。
……ってあれ?
「きらりんは……? あいつ、固有スキルなんて与えられてなかったような……」
いや、いちおう【聖女】スキルがあったか。でも私みたいに二つもなかったし……。
才能や潜在能力に寄るって書いてあったし、固有スキルの数は人それぞれなんだろうな。
はい、思考おしまい。さくっと街に向かっちゃおう。
私はキャンピングカーの中に入る。
運転席へと移動する。
「街へレッツらゴー……って言いたいけど、私、異世界の地理なんて知らないしなぁ……」
ふと、私は気付いた。
「そうだ、カーナビついてるんだった」
カーナビ搭載のキャンピングカーを買っておいて正解だったわ!
……まあ。
「現実世界のカーナビが、異世界でも使えるわけないよねー……」
私はエンジンをかける。
カーナビが起動すると……。
「ん? んんん!? カーナビ……映ってる……?」
中央には、矢印マーク。そんで、周囲は緑色に塗りつぶされている。
『奈落の森』と、書いてあった。
「奈落の森……なんて、現実世界じゃあ聞いたことない……ってことは」
私は縮尺を変えてみる。ぴっぴっぴ、と。
森は、結構広範囲にまたがっていた。
縮尺を変えていって……気付く。
「村や街の名前……どう見ても、日本のそれじゃあないわね」
アインの村だの、ノォーエツだのと、聞いたことない名前が記載されていた。
うん……。
「現実世界のカーナビ、異世界でも使えるんかい……!」
~~~~~~
【異世界カーナビ】
→異世界の地理情報、およびGPS内蔵カーナビ。ルート検索も可能。
~~~~~~
……このキャンピングカー、やっぱ変。
だって中は別空間のように広いし、水も給排水管がついていないのに垂れ流しOKだし、カーナビは異世界でも使えるし。
私の買ったキャンピングカーがそのままこっちに来たっていうより……こっちに来る際に、特別な【野外活動車】へと転生したのかも……。
「キャンピー、ありがとう。君がいればほんと、異世界らくしょーそうだわ」
よしよし、とステアリングをなでる。
「そんじゃあ、まあ、近くの街まで……レッツらゴー!」
『目的地まで自動操縦します』
「え……!?」
ペダル踏んでないのに、なんか車が勝手に動き出した!
あ、あれェ……!?
~~~~~~
【野外活動車】
野外でのみ使用可能。森林、荒れ地、どんな場所も走破可能。
異世界カーナビと連動して、自動操縦可能。
また空間魔法が付与されている。中を自在にルームメイク可能。
また持ち主が離れると自動施錠され、持ち主が許可しない限り無断で中に人が入れない。
ガス・水道・電気は、大気中の火精霊、水精霊、雷を取り込み無限に使える。(燃料は別途購入)
その他、ポイントを消費することで、さまざまな特殊技能を付け加えたり、設備を拡充させることも可能。
~~~~~~
「……キャンピー……もしかして君、ちょーチート?」
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