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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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31.キャンピングカーのエアコンで「一括治療」しました

 蒼銀竜山の麓の村にて。

 雪崩に巻き込まれてた人達を、雪の下から救出した。


 キャンピングカーの中にて。

 リビングスペースは現在、空間を拡張して、体育館のようになってる。


「うう……」「いてえよお……」「げほっ、げほっ……!」


 負傷者が多い。

 雪って結構重いからね。雪の下敷きになって、骨折などを起こしてるんだろう。


 また、凍傷の人もいるようだ。

 そりゃそうだ。こんな、極寒の中に、何時間もいたらね。


「どういたしましょう……」


「地道に治していきましょう。シュナウザー様は、治癒魔法などは?」


「……使えませんわ」


「テンコは?」


 ふるふる、とテンコが首を横に振る。風の神獣だから、治癒魔法は使えないんだろう。


 となると。


「頼れるのは、キャンピーだけか。なんかそういう機能ない?」


『ふむ。【ある!】って言ってますよ』


 あるんかいっ。すごいなキャンピー。

 なんでもありかよ。


「どうやって治療するの?」


『【エアコンの、空気清浄ボタンを押して】ですって……』


 はい? 

 エアコンの、空気清浄?


「テンコ。あんたふざけてるの?」


『聞いた内容そのままを伝えております。人の子よ、早くその【空気清浄】を押すのです』


 え、ええ~。まじで意味わからないんだけど。

 壁についてる、エアコンの操作パネル。


 【冷房】【暖房】【エコモード】など、ボタンがついてる。

 その中に、【空気清浄】ボタンもついていた。


 え? これって、あれじゃあないの?


「マイナスイオン的なものがでて、ホコリなどを消して、空気を綺麗にするっていう機能なんじゃ……」


 それでどうやって、けが人を治療しようっていうんだろう。

 知らん! が、キャンピーがやれっていうなら、やる!


 相棒を、信じるんや!

 

「ぽちっとな」


 エアコンが【空気清浄】モードとなった。

 シュゴォオオオオオ、とエアコンから、風が吹き出る。


 暖かい風が出てるだけ。

 で?


 え、終わり?

 そのときだった。


 シュォオオオオオオオオオオオオオン!


「けが人たちの、怪我が、治っていきますわ!」


「なにぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」


『人の子よ、どうして所有者が驚いてるのですか……?』


 ああそうねっ。ほんとそれねっ。

 なんでだろうねっ。


「な、なんで……? なんで治ってるの……? エアコンつけただけじゃん」


『人の子よ。鑑定スキルを使うのです』


 それだっ。


~~~~~~

空気清浄(野外活動車キャンピングカー

→聖なる力を使い、その場の大気中に漂う不浄なるものを浄化、高酸素濃度空間を作り出し、細胞を活性化させることで、空間内のけが人を治す

~~~~~~


 えーっと、えーっと?

 つまり、あれか。


 酸素カプセルか。

 あれも、カプセル内の酸素濃度をあげて、傷や疲労を治すって原理だった、よね?


 それの、ちょー凄いバージョンってことか。

 野外活動車キャンピングカー内の、空気をめちゃくちゃ綺麗にして、その空間内の傷を癒やす、か。


 う、ううん。く、苦しくない、それ?

 無理矢理キャンピングカーと、聖女の力を結びつけてる感が。


 ま、いっか!

 治ったしね!


「さ、さすがキャンピー! 万能チート野外活動車キャンピングカー!」


『そなたの世界の鉄馬車には、このような凄い機能がついてるのですか?』


 ついてねえよ!

 この子がヤバいだけだよ!


「う……! うううぅ~……」


 どさっ、と女王様がその場にしゃがみ込む。


「ど、どうしたんですか、女王様?」


「ありがとう……聖女様……本当に、ありがとうですわ……」


 どうやらけが人を治したことに、感謝しているんだろう。


「どういたしまして。あと、お礼はキャンピーにも言ってもらえますと」


「ありがとうございますわ、キャンピーさんっ。こんなたくさんのけが人を、一瞬で治癒してしまうなんて! 本当に凄いですわ……!」


 ほんとね。すっごいねキャンピー。

 あんたがNo.1だよ。てゆーか主人公はキャンピーさ。

 

【(〃'▽'〃)】


 キャンピーさん照れてる様子だった。うーん、可愛い。


「あったかい……」「けどおなかすいたよぉ……ままぁ~……」


 おっと、今度はみんな、空腹を訴えているようだ。

 そりゃそうだ。こんな寒いとこにいるんだから。エネルギーはどんどんと失われてしまうだろう。


「炊き出しだっ! テンコ、女王様、協力たのみます!」


「もちろんですわ!」


『フッ……仕方在りませんね。どれ……神獣の力、見せつけてやります』


 キッチンスペースへと移動。

 炊き出しだ。たくさんの料理を、一気に作る必要が、ある!


 KAmizonで、寸胴鍋を購入。

 また、白菜等のお野菜たっくさん、そして、鶏肉もたっくさん、購入!


 鍋の素を買うのではなく、調味料をボトルで購入。


「調理開始ぃいいいい!」


 まずテンコに、野菜をずばずば切ってもらう。

 どうやらテンコは、鎌鼬といって、真空の刃で物体を切り刻めるらしい。


『フッ……! 物体を切ることなど、この風の神獣には容易いこと……!』


 ずばばばって貰ってる間に、私は女王様と手分けして、お鍋に水と調味料をぶち込んでいく。


 KAmizonで購入した、たくさんのガスコンロ。

 そして、テーブルを、女王様に並べてもらう。


 鍋に、野菜と肉をぶち込み、そして火にかける!

 そしてしばし待つ!

 完成!


「寄せ鍋、完成です……!」


「よしぇ……なべ?」


 村人の子どもが首をかしげる。


 比較的元気そう。でも、おなか空いてそう。


「寄せ鍋だよ」


「ヨシェナベ……おいしそう……」


「あ、だから……まあいいや」


 名前なんてどうでもええやんね。

 私は、KAmizonで買った、使い捨ての器に、中身を注ぐ。


 たっぷりの野菜、お肉、そして魚介類など。

 栄養のつくもの、全部ぶち込んで、煮込んだ!


 子どもは、私の作った寄せ鍋を、ずず、とすする。


「あったかくって、おいしー!」


 子どもの、正直な感想が、一番効果的だ。

 周りに居た人達が、のろのろと、こちらに近付いてくる。


「みなさん、まずは……食事をとりましょう! たくさん用意していただきました!」


 シュナウザー様がそういうと、村人達は「もしかしてシュナウザー様?」「なんでこんなところに!?」


 とみんな驚愕している。そらそうだ。

 最果ての村に、急に王様がやってきたんだから。


 子どもが食べたこと、そして、女王パワーにより、村人達は警戒することなく、ご飯を食べていく。


「う、うめええ!」

「なんだこりゃ、ちょー美味しい!」

「ほふほふっ、こんな具だくさんのお鍋、初めてたべたぞぉお!」

「なんて美味しいのかしらぁ……!」


 みんな寄せ鍋を食べて、元気になっていく。よしよし。


『スミコぉおお! 人の子よぉおお! わらわは、もう限界ですよぉおおおお!』


 空腹の限界を迎えて、騒ぎ出した、我らが食いしん坊狐さんにも、お鍋をついでだしてあげる。


「手伝ってくれてあんがとね」


『うむ! 美味……! 暖かくて、美味! あちちで美味! 美味~~~~~~!』


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