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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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27.女王陛下から「私を運んで」と依頼されました

 さぁて、朝ご飯も食べた。とっとと、女王様から、お金を受け取って、旅に出発しんこーしますかぁ。


 そのときだった。


『ふむ……人の子よ。客ですよ』


「……はぁ? 客?」


 何言ってるんだろう?

 こんな朝っぱら、しかも、街の外だよここ?


 客なんてくるわけがない。

 私はテンコの見てる先を見やる。


 たしかに、フードを目深にかぶった女が、居た。

 しかも、スライムに囲まれてる。


「魔物に襲われてるやんけ」


『そのようですね』


「そのようですねってあーた……助けようとしないわけ? 神獣なのに」


『神獣を正義の味方や英雄と同一視されても困ります』


 そらそーだ。でも。


「客なら、私と無関係な人じゃあないでしょ」


『ふむ、それもそうですね。蹴散らしますか?』


「お願い。で、客とやらを連れてきて」


『しょーがないですねっ。人の子の言うことなど本来は……』


「あー、いけいけ、さっさと」


『ふふん、まあ見ていなさい。わらわが……神獣であることを!』


 くわっ! とテンコが目を見開く。なにやってんのこいつ?

 すると、スライム達がぎょっ、体をこわばらせる。


 ぴょんぴょんぴょん、と凄い速さで逃げていった。


『どーですっ。これが、神威!』


「だいじょうぶですかー」


『褒めなさい! わらわを褒めるのです!』


 それより客人の安否確認のほーが、大事だっつーの。

 私は客人(仮)のもとへ行く。


「ええ、大丈夫です……スミコさん」


「そりゃよかった……って、名前知ってる……?」


 私の名前を知ってる人物は限られている。

 でも、このフードの人物は、女の声をしていた。ってことは。


「あ! しゅ、シュナウザー様!?」


 なんと、女王陛下さんだったっ。

 な、なんでっ? なんで女王がここにっ!?


「突然訪問して、申し訳ありません」


「ああ、いや、気にしてないですけど……でも……なんで?」


 シュナウザー様は周囲を気にしてる様子だった。

 なんか、お忍びなんだろうか。


「キャンピー、ちぇーんじ」


 カッ! とキャンピーが光り輝くと、野外活動車キャンピングカーへと変化した。


「ま、こんなとこじゃあれなんで、中で……って、はっ!」


 し、しまった! この人、キャンピーおよび野外活動車キャンピングカーをしらないんだったっ。


「ああ、えっと……その……」


「聖女様の力ですね。凄いです」


 あ、そういえば、この人私が聖女って知ってるんだったっけ。


「ま、まあそうっすけど……驚かないんですか?」


「ええ。かつて、聖女様と一時旅したことがありまして。その際に、聖女様の凄いお力は見てますので」


 なるほど。人がキャンピングカーになったくらいじゃ、驚かないのか。


 驚かないのか? いや驚くべ。おおらかな子なんだろうか。

 まあ、こっちとして都合がいいけどさ。


 ややあって。

 私たちはキャンピーの中にいる。


 テンコは私の隣にて、寝そべっている。

 シュナウザー様は私の前に座って、床に触れていた。


「なんと不思議な……! 床が暖かいだなんてっ。すごい……眠くなる……」


 とろん、とした目のシュナウザー様。


「あのぉ、そろそろ訳を話していただけますとー」


「あ、そうですわね。まずは……こちらを」


 シュナウザーさんが、腰からかけていたポシェットに手をいれる。

 そして、めちゃでっかい革袋を、どさっ、とテーブルにのっけた。


 そのちっちゃなポシェットの中に、そんなでっかいの入るの?

 あ、もしかしてアイテムボックス機能がついてるのかも。なるほど。


「これは、オークを買い取ったお金ですわ」


「おー! わざわざありがとうございますっ」


 前に倒したオークとかの魔物の換金を、彼女に頼んでいたのだ。

 そのお金をとどけにきてくれたのかぁ、なるほどねぇ~!


 とは、ならない。いや、ならこんな早朝に、ひとりで、街に来ることなんてないだろうから。


「……で、私に何かご用で?」


「……さすが、S級商人さん。察しが良いですね」


 テンコが首をかしげる。


『S級商人とは誰のことです?』


「私よ、私」


 忘れそうになるけど、いちおう、私はS級だったりする。いちおう。


『まるで威厳を感じませんが』


「うるさい、黙ってて。で? なにか欲しいものでも?」


 シュナウザー様は居住まいを正して言う。


「実は、運んで欲しい荷がありまして」


「ほぅ……荷物を運ぶ感じですか」


 クロネコヤ●トや、佐●みたいなもんか。

 それ商人の仕事? と思ったけど、こっちの世界に、運送業者なんてないもんなぁ。


 となると、馬車であちこち回る商人に、荷物運びを頼むのかも。

 まー、今金には正直困っていない。受けなくてもいい。


 でもなぁ。この人は聖女だって事を黙っててもらったし、換金もやってもらったしなぁ。

 もらいっぱなしは、性に合わない。


「OKです」


「ありがとうございますっ! 助かります……!」


 ほぉ、とシュナウザーさんが安堵の息をつく。


「それで荷物っていうのは?」


「わたくしです」


「…………はい?」


 い、今なんと?


「わたくしを、運んで欲しいのです。蒼銀竜山まで」


「そーぎんりゅーざん……?」


 どこじゃそれ。って、てゆーかっ。

 女王の輸送、というか、護衛が依頼!?


 いやいやいや!


「た、ただの商人に、それはちょっと……荷が重いような……」


「S級商人は、聖女様の他におりません」


 そ、そっか。分類上、ただの商人じゃあないのね、私。


「護衛なら冒険者でも雇えば……」


「ギルドを介すると、わたくしが遠出したことがバレてしまいます」


 あくまで、お忍びで、その蒼銀竜山ってところに行きたいらしい。


 お忍び、かつ、急ぎで。それが可能な商人は、私だけ。だから、私にお鉢が回ってきたってことか。


 め、めんどくさそう。

 なんというか、危険なアロマが今回の依頼から、プンプンするぜえ!


 でも、でもなぁ~。OKしちゃったしなぁ~。

 それに困ってそうだし。や、別に困ってる人みんなを助けるような、正義の味方じゃあないよ? 私は。


 でも、手の届く範囲。知り合いが、困ってる。そんな状況を、見過ごせないぜ。


「わかりました。では、蒼銀竜山へ、シュナウザー様をお届けするということで」


「助かりますわっ」


「出発は早い方がいいですよね」


「ええっ」


 OK。んじゃ、さくっと依頼こなしちゃおう。


「キャンピー! 行き先は蒼銀竜山。自動運転開始!」


 ぷっぷー♪


 キャンピーが軽快なクラクションを鳴らすと、野外活動車キャンピングカーが動き出す。

 移動しながら、くつろげる。だから、野外活動車キャンピングカーってちょー楽~。


「て、鉄馬車が動いたっ!」


 もう最近キャンピーのことは、野外活動車キャンピングカーではなく、鉄馬車っていうようにしてる(異世界人相手の場合)。


「す、すごいです! 自動運転できる馬車なんて聞いたことありませんっ! 御者もなく動かせるだなんて……さすが聖女さまっ」


「いやいや、私が凄いんじゃあなくて、キャンピー……この鉄馬車がすごいんすよ」


「それでも、それを所有し、自在に操ることは、誰でもできるわけじゃあないですっ!」


 きゃっきゃ、とはしゃぐ女王様。

 もしかして、あんまシリアスな依頼じゃあないの?


 もしかしてもしかして、ただ単に、お忍びで旅行したいだけじゃあないの? って思ってしまう私であった。


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