表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/31

24.女王様に「聖女」だとバレました

 ホブゴブリンたちを、やっつけちゃった! リダケンさん達がね! リダケンさん達の手柄ね!

 私は何もしてませんからっ!(責任逃れ)


 で、だ。

 私たちは、ネログーマのエヴァシマってところにいた。


 で、エヴァシマって、どうやら王都だったらしいの。


 で、エヴァシマの王城に、私たちは登城させられてた。


 あ、アイエエエエエエエエエエ!

 何で!? 王城なんで!?


『何をうろついてるのですか、人の子スミコよ』


 私の隣には、どでかいモフモフが座っている。

 名をテンコという。天狐だからテンコ。安直極まりない名前だが、しかし山の神からもらった素敵なお名前、ってことで、本人はちょー気に入ってるそーな。わは、わはは。


 はぁ。


『このわらわを無視するなんて、良い度胸です。友でなければ首をはねていたところでしょう』


 だーっとれ。ったくもぉ~。

 しかし、なーんで王城になんて、呼び出されちゃったんだろうか。


 私何かやっちゃいました?


「シュナウザー女王陛下のおーなーりー」


 女王陛下ぁ?

 入ってきたのは、可愛い、犬耳の美女だった。


 灰色の髪と瞳。愁いを帯びた表情。なんとも美人な獣人さんだ。


 この人が、シュナウザー様が、この国の女王。トップ。まじか。


 シュナウザー様が椅子に座る。

 え、え、な、なに、私、なにされるの?


「そうかしこまらないでください。今日はただ、貴方にお礼がしたいだけですなの。聖女スミコ・ノリクラ様」


「!?」


 え、え、えー!?

 なんで、この人、私が聖女だってわかっちゃったのっ!?


 あばばばっ。何かミスった!?


「すみません、スミコ様。ズルをしました」


「は、はぁ……? ズルとは……?」


「昔、貴方によく似た聖女と会ったことがあるのです」


「私に……?」


「はい。聖なる獣を引き連れ、見たことのない力を使う、そんな聖女が」


 おいいいいいいいい。

 だれだよっ! その聖なる獣を引き連れた聖女とやら!


 あんたのせいで、私が聖女だって、バレちゃったじゃあないかっ!


「貴方が聖女であること、そして、それを他者にバレたくないことは、承知しました。それを口外する気は毛頭ございませんし。国で利用しようなどとも考えておりません」


 まじかなぁ。


【ほんとですよ】


 と、テンコが脳内で話しかけてきた。


【どゆこと?】


【貴方はもう忘れたのですか? わらわ、テンコは風の神獣。敵の嘘を見破れるのです】


【! そ、そっか……心読めるんだったね】


【その通り。わらわは風を司る。嘘をついたものからは、嘘の風が噴くのです。わらわはそれを感じ取れる】


 す、すげえええええ。

 テンコさんまじすげええ!


 ごめんよ、今までただの、食いしん坊わがままガールもふもふだと思っていた。


【とんでもない侮辱……! スミコでなかったら首をはねておりましたよっ!】


 がるるるう、とうなるテンコさん。まじごめんって。

 それにしても、テンコってもしかして、ちょー凄い?


【そなたはっ、わらわが神獣であることを忘れすぎですっ!】


 さーせんって。

 それにしても、良かった。このシュナウザーっていう女王さん、私を利用したり、聖女であることを口外しないようだ。


 た、たすかったぁ~。それがバレたら、ちょーめんどくさいもんね。


「このたびは、二つの危機を、すくってくださり、ありがとうございました。聖女様」


「いやいや……って、二つ? ってなんです?」


「フェンリル・ゾンビ。そして……ホブゴブリンのモンスターパレード」


 ああ、なるほど。リダケンさんから、報告はあがってるのか。

 って、リダケンさんからの報告を受けてるのに、なんで私がやらかしたってわかるんだろう。


「そんな不思議な顔をなさらないで。聖女が起こす奇蹟がなければ、どれも解決困難な事態でした。そこに、聖女が居合わせ。それつまり、貴方様のおかげで救われた。そう考えるのが自然です」


「そ、そーゆーもんですか……」


「ええ。本当にありがとう、スミコ様」


 深々と、女王様が頭を下げてくる。悪い気はしない。まあそれも、裏がないってわかってるから、素直に受け止められるんだけどさ。

 うん、やっぱテンコが居て良かった。


【な、なんですかっ。わ、わらわがその程度の雑な賛辞で、喜ぶとでも思ってるのですかっ。見くびるんじゃあないですよ、人の子よ!】


 わっさわっさ、とテンコのおしっぽさま、嬉しそうに揺れていらっしゃった。かわよ。


「それで、謝礼金についてですか……」


「へ……? 謝礼金……?」


「ええ。フェンリル・ゾンビおよび聖域の件、そして、ホブゴブリン討伐。それらの謝礼を……」


「いやいや、大きな金は、国から貰えないっすよ!」


 ぜったい面倒なことになるしっ!


「しかしお礼をしなければ、こちらは気が済みません」


「え~……」


 どうしようかなぁ。

 あ。


「そうだ。じゃあ、買い取りお願いできますか?」


「買い取り?」


「ええ。そこの神獣が、はりきって魔物を倒しまくってしまったんです。でもそれを換金するとなると目立つし……。だから、魔物を引き取ってほしくって」


 お礼として(※ただで)、金を貰うと角が立つ。

 でも、こうしてこっちの素材を提供し、その金を貰うのであれば、余計な恨みを買わずに済むって寸法。


「その程度のことでよろしいのですか?」


「はい。それ以上を望みません」


 てゆーか、それでもけっこーなお金手に入るだろうし。

 普通には売れなかっただろうし。アイテムボックスに塩漬けになるくらいなら、売って金にした方が良い。


「……やはり、聖女様は素晴らしいです」


「いやそんな素晴らしい存在じゃあないっすよ」


 私が考えてるのは自己保身だけだ。全く素晴らしくはない。


「わたくしの知ってる聖女様も、心清らかで、トテモ優しいおかたでした。貴方様も」


「い、いやぁ……やめてくださいよぉ~……」


 照れちゃうじゃあないかぁ。


「承知しました。では、魔物はこちらで売っておきます」


「助かります」


「他に何か望みは?」


「ないない! もう十分ですって!」


 あんま良くして貰いすぎると、また恨みを買いそうだしなぁ、いらんとこから。


「わかりました。話は以上です。本当に、ありがとうございました。そして……良き旅を」


 女王様はそういって、退出していった。ふぅい~。つかれたぁ~。


『何を緊張してたのですか』


「そらするでしょ……。相手王族なんだし」


『なれば、わらわに対しても、もう少しかしこまった態度をとるといいです。なにせ、わらわは神獣……王より上の神なのですからっ』


「へいへい。それにしても……助かったよ、テンコ」


『む? なんです急に』


「相手の心を読んでくれたじゃん? 助かったよ」


 風を読む力を持ったテンコがいなかったら、私はもっと、相手のない腹を読もうとしていただろう。

 もっと、ビクビクしていたと思う。


『ふ、ふふっ♡ 人の子スミコよぉ~。そうそう、それですよ~♡ そういう態度をとってくれないと~♡ 普段から~♡』


 ぶぉんぶぉん、と九尾が揺れる。

 まー、よろこんでやんの。しっぽが広がってますし~。


「さ、帰ろっか。キャンピーも」


「…………」こくんっ。


 あ、ずっと描写されてなかったけど、ちゃんとキャンピーも人間姿で、一緒にいますよ。

 無口だから、描写カットされていただけ。


「一仕事終えて、臨時収入も入ってきそうだし。買い物したら次の街へいこーか」


『思ったのですが、人の子スミコ。ネログーマに移住もよいのではないですか?』


「ほぉん……なんで?」


『ここの女王は、スミコが聖女であること、そしてそれを隠そうとしてることを、ちゃんとわかっているのでしょう? なら、ここは住みやすいのでは?』


 なるほど。王家が後ろ盾になってくれるから、いろいろと楽できそう。

 テンコはそう言いたいらしい。が。


「駄目」


『むぅ、どうしてですか?』


「トラブルの火だねが3つもあるからね」


 1つ! 召喚聖女。

 2つ! 神獣狐。

 3つ! なぞの車。


 どれもヤバいもんだし、これらを巡ってトラブルが絶対に起きる。

 私が困るだけならまだしも、他の人に迷惑掛かっちゃうのはね。よろしくないざんす。


「だから、まあ、一カ所に移住しないほうがいいのよ」


 最終的に、どういう選択を取るのかはわからないけど、私が(永住するか、帰還するか)。

 でも、当面はふらふら旅していたい。


「私には、最強の移動要塞があるし。ずっと野宿でも大丈夫だからね」


 メイド姿のキャンピーの頭を、よしよしとなでる。

 

「…………♡」えへへっ。


 あら可愛い。はにかむ君もまた可愛い。


『まあわらわはご飯が食べられるのであれば、永住だろうが野営だろうがどうでもいいです。スミコの選択に従ってあげましょう。友ですからね』


【作者からお願いがあります】


少しでも、

「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新がんばれ、応援してる!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして、

【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!


皆様の応援が、作品を書く最高の原動力になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ