23.とんかつを食べた冒険者が、ホブゴブリンを一撃で粉砕した件
キキーッ!
「あら、キャンピーどうしたんだろ?」
急に、キャンピーが停止したのだ。
「ねえ、テンコ。キャンピーなんて?」
『むにゃ……もうたべられない……むにゃにゃ……』
ね、寝てる。
食っちゃ寝ってあんた。神獣なんじゃあないの? 神聖っぽさが行方不明よー?
キャンピー本人に聞いてみるか。
「おーい、キャンピーどうしたの?」
運転席へ向かう。
カーナビのモニタに、映る。
【敵】
という文字。あらまあ。マジか。
フロントガラスから、向こう側を見る。
「ほんとだ、魔物。あれは……ゴブリン?」
~~~~~~
ホブゴブリン
亜人型モンスター。
【レベル】45
~~~~~~
「しかも……げぇ、マジか。めっちゃいるし」
ホブゴブリンの群れが、同じ方向を向いて、歩いている。
「あっちは……ネログーマのエヴァシマって街あります」
とリダケンさんがやってきて、言う。
「ホブゴブリンの群れがエヴァシマに向かって侵攻してる! これは……モンスターパレードかもしれませんっ」
「もんぱ?」
なに、楽しいの?
「魔物が群れとなって、人里に降りる現象です。よく、森での食糧不足などの影響で、起きると言われてます」
森での食糧不足か。
あ、まさか。
「聖域に、フェンリル・ゾンビが現れたから?」
そんな気がする。フェンリル・ゾンビが森に現れる→森が死滅する→木の実などの食料が失われる→魔物が人里に降りる。
フェンリル・ゾンビの影響が、こんなところにも!
これって、私たちに責任追及されるってことは、ないよね?
いやでも、フェンリル・ゾンビの後始末、ちゃんとやってなかったとか言われそぉ~。
「ってことで、やっちゃえキャンピー! 久々に魔物ぶっ殺し光線だ!」
私はレバーを手前に引く。
魔物をぶっ殺すスキル、魔物ぶっ殺し光線を使用。
ビゴオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
キャンピーのライトから、光線が発射される。
一直線上に居た、ホブゴブリンたちが、一瞬で塵と化した。
「何度見てもすげえ」
「! 取りこぼしたホブゴブリンたちが、こちらにやってきます!」
「なぬっ?」
今のビームで、だいたいのホブたちは片付いた。しかしこの攻撃、一直線にしか出せないせいか、打ち漏らしが結構いた。
残っているホブたちは、攻撃を加えてきた元凶、すなわち私たちめがけて襲いかかってきた。
「二発目!」
【(乂д´)】
え、キャンピー? なにそれ?
手をクロスさせて……って駄目ってこと!?
なんで? と思ったら。
「ガソリンが切れてる!」
なるほど、今ので燃料けっこーもってかれたのねっ。って、どうしよう、ホブたちはもうすぐそこまできてるっ。
「こんな時こそ、テンコ! あんたの出番でしょ!」
『ふが~……しゅぴ~……おなかいっぱい~……♡』
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛寝てるしぃいいいいい!」
肝心なとこで役に立たないんだからっ、もー! あの毛玉!
「スミーさんっ、おれらに任せてくださいよ!」
「リダケンさん」
忘れてたけど、彼らはS級冒険者だった。
ホブゴブリンくらいだったら、大丈夫か。
キャンピー燃料切れ。レベル90000はねむってる。私は、か弱い元OL。
あれ? 思った以上に、戦えるメンツいないな。
結界があるから、こっちの身は守れ……いや待て! ガソリンきれてるから、結界も使えないんじゃあない!?
やばっ!
「お願いします、リダケンさん!」
「はいっ! いくぞおまえらっ! 普段スミーさんに世話になってる分、恩を返すぞ!」
「「「おー!」」」
リダケンさん達が武器を持って、降りていった。うはぁ、やばぁ。
今のうちにKAmizonで燃料をかっとこ。KAmizon、キャンピー燃料切れでも使える? あ、使えた。良かった。
私はいったんキャンピーの外に出る。
給油口に、ノズルをつっこんでおく。早くキャンピー復活してぇ~。
あの人達だけで、この数相手にするの、ちょっと難しそうだし。
ドガンッ!
「……は?」
なに、あれ?
ホブの群れが、宙に浮いてる!?
ドサドサドサッ!
倒れ伏すホブたちの、死体。山、山、山!
「「どうなってるの!?!」」
って、あれ? 何で私と、リダケンさん、同じセリフ吐いてるの?
私はともかく、どうして、ホブをぶっ飛ばしたあなたが驚いてるわけ?
「すげ……! リーダー! おれら……なんかやべえぞ!」
リダケンさんの仲間が、近距離からの物理攻撃をする。
ドゴォオオオン!
さっきと同じ光景。ぶっ飛んでいく、ホブの群れ。地上に落下し、死亡。動かなくなるモンスターたち。
「なんだか、魔力が体の底から沸いて出てくるの……! これなら……業火球!」
リダケンさんの仲間の魔女が、杖を掲げる。
でっけえ火の玉を、敵めがけて放った。
チュドオォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
圧倒的。そんな言葉が脳裏をよぎる。
この人ら、こんな強かったっけ?
ずばんっ! どごんっ! ちゅどおおおぉおおおおおおおおん!
リダケンさん達は、どんどんと魔物を倒していく。
レベル45の敵を易々と、いったいどうやって。
「って、そうだ。レベル。鑑定」
~~~~~~
【名前】リダケン
【種族】人間
【レベル】40
【HP】400(×100)
【MP】400
【攻撃】40(×100)
【防御】40(×100)
【知性】40
【素早さ】40
【状態】
超絶好調
~~~~~~
「はい……?」
ステータス表記が、なんかおかしい!
なんか×100とかついてるし!
しかも状態が超絶好調って!
状態のとこって、毒とか麻痺とか、そういうことを指し示すんじゃあないのっ?
「なんかわからないけど……パワーアップしてるの……? なんで……?」
『くあぁあ~……何をしてるのですか、人の子スミコ』
「テンコ!」
今頃起きてきてもー!
私は軽く状況を説明。
『ふむ……たしかに妾の調子も、いつもよりいい感じがしますね』
~~~~~~
【名前】テンコ
【種族】天狐
【レベル】90000
【HP】900000(×100)
【MP】900000(×100)
【攻撃】90000
【防御】90000
【知性】90000
【素早さ】90000(×100)
【状態】
超絶好調
~~~~~~
やっぱり、テンコも強くなってる!
テンコとリダケンさんたち。二組に共通してることっていえば。
「私の作ったとんかつ……?」
『それですね。山の神から聞いたことがあります。聖女の作るめしには、バフの効果があると』
「聖女めしに……バフ効果……!?」
『ええ。元来、聖女は人を癒やす力を持つ。癒やすとはすなわち、元気にする力。活力を与える力。そして料理は原初的な儀式。つまり……』
「聖女が料理を作って、振る舞うことが……他者に活力……バフを与える儀式だっていうの……?」
『そのとおり。さすが妾、説明上手でしょう?』
まじか。つまり、聖女が飯を作って与えるだけで、こんな風に超パワーを、食べた人達に付与できるってことなの。
『どれ、食後の運動でもしてきましょうか……と思ったのですが、なんだ、もう終わってしまったようですね』
リダケンさん達が笑顔で、手を振りながら、こちらへとやってくる。
「ありがとう、スミーさんっ。美味い飯のおかげで、戦いを頑張れたよ!」
「体の奥底から、力がわいてくるようだったわぁ~」
「いやぁ、スミーさんのとんかつはすごい……!」
みんな、単におなかいっぱい、美味しい物を食べて、体調が良くなった。
その影響で、戦闘がいつもより上手くいった、そう思ってるんだろう。
【ちなみに……】
テンコに、私は念話で話しかける。
【ステータスの鑑定って、誰でもできるもの?】
【いえ、鑑定スキル持ちは、ごく少数です。名高い商人くらいでしょうか。それでも、状態の閲覧ができるのは、鑑定(極)を持つ召喚者のみです】
なるほど~。つまり、召喚者以外では、彼らが、私の影響で強くなってるってわからないわけなー!
よし! だまっとこ!(めんどいから)
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