12.商業ギルドで胡椒売ったら、大騒ぎになった
なんかレベル515とかになっていた……。
どうやら私のスキル、野外活動を持っていると、外に居るだけでレベルアップするみたい。
野外活動車という、外に居ながら安心安全に生活できる相棒がいるおかげで、外で移動・寝るだけで強くなれる。
……まあ、強くなった、だから何って感じだけども。
ネット小説とか見てると、主人公がもの凄い力で、敵をぼかーん! と吹っ飛ばしてるシーンを多々見る。
でも……私はそれを見ても、うらやましいとは思わない。
暴力って普通に嫌だし。
それに、強くなりたいって気持ちにも、共感できない。孫○空の気持ちもさっぱり理解できないんだよね。
まあ、ようは、強くなって何かを成し遂げたいって気はないってこと。
ましてや、冒険者としてガンガンガシガシ魔物を倒していくぜーヒャッハー! とはならないってこと。
だからといって、お金が要らないわけじゃあない。そこは勘違いしないでほしい。
あくまで、バトルに興味が無いってだけ。
「さて……ここが商業ギルドね」
リダケンさん達とは、いったん分かれた。明日、彼らから代金をもらう予定。
それまで解散し、各自したいことをする。
私のしたいことは、こっち。商業ギルドだ。
「ちょっと人と会うから、おとなしくそばにいてくれる?」
「…………」
こくんっ。
良い子……。私はキャンピーをハグした後、ギルドの中に入る。
こっちも、冒険者ギルドと同じく、レンガ造りのまあまあ立派な建物だ。
ただ、商業ギルドのほうが、建物が横にも縦にも広い。
あっちこっちで、商人が受付カウンターでしゃべっている。
入り口も、冒険者ギルドより大きい。
まあ、デカい荷物を持って、中に入るからだろう。
さて……。
私は適当に、空いてるカウンターへと向かう。
「すみません」
「ようこそ、商業ギルド・ケミスト支部へ、にゃん!」
にゃん……?
受付嬢さんは、猫耳をしていた。おお、じゅ、獣人だ。ファンタジーだ。凄い……。
いやまあ、町中で獣人を見かけてはいたけども。
こうしてちゃんと、コミュニケーションを取るのは初だ。まじまじ見てしまう。猫耳が可愛い……。
「どうしたですにゃん?」
「あ、いえ。商業ギルドに登録したいんすけど」
話を聞くと、冒険者と商業ギルドは、別に兼任しても大丈夫だそうだ。
冒険者ギルドは、主に、クエストの受注・魔物の買い取りを行ってる。
商業ギルドは、それ以外のアイテムだったり、米やら塩などの調味料を、売り買いしているという。
で、商業ギルドで物を売り買いしたり、街で物を売りたい場合は、商業ギルドに登録する必要があるんだそうだ (リダケンさん情報) 。
「冒険者さんですかにゃん?」
「あ、はい。兼任OKなんですよね」
「はいですにゃー。じゃあ、用紙に必要事項記入くださいにゃーん」
羊皮紙が、私の前にお出しされる。こっちも冒険者ギルド同様に、名前くらいの簡単なものでよかった。
で、こっちはステータス確認って作業は、ない。その代わり……。
「では、登録料に、金貨5枚ですにゃー」
……そう、登録料が、こっちは必要なのだ。
金貨5枚、つまり五万円だ。
そして私は所持金3万の女……。登録料は、当然……ない!
でも大丈夫。
「ハイ、これでお願いします」
リダケンさん達から、前借りしていたのだ。登録料については聞いていたからね。
彼らの調査クエに対する報酬、その一部を、いただいたのである。
「はいたしかに。では、商業ギルド初のおねえさんに、ギルドランクの説明をしますにゃー」
「え、ランクなんてあるんですか?」
「ありますにゃーん。冒険者ギルドのランクよりも、ちょっといろいろ複雑ですにゃん」
冒険者ギルドでも、簡単な説明は受けていた。といっても、最低ランクFで始まり、依頼をこなしていくと、E、D……と上がっていく。最高ランクはSと聞いた。まあこれはネット小説ではテンプレなので、聞き流していた。
問題は、こっちだ。商業ギルドに、まさかランクがあるとは思わなかった。
「商業ギルドの場合も、冒険者同様、最低がFで、最高はSですにゃ」
「商業ギルドって、ランクってどう分かれるんですか?」
「お店、事業の規模でわかれてますにゃー」
ランクが低いと小さな店舗、ランクが上がれば上がるほど規模を大きくしたり、複数店舗を出せるようになるんだそうだ。
「Fラン商人なら、行商OK。小規模な店舗を構えたい場合は、Dランクに成る必要があるってかんじです?」
「そーですにゃーん。最初はみんなFではじめますにゃん」
「ふぅん……なるほど……」
とりあえず行商人 (Fランク) であれば、どの街へ行っても、ギルドとの商売はできる。
別に、今は店を構える気はないから、それでいいや。
……なんで店を構えないかって?
ヒント、その1! キャンピー!
ヒント、その2! 私召喚者 (横☆ピース) !
……とまあ、旅のメンバー全員が、訳ありだからですね。
だから、あんま長居できない。一カ所にとどまると、正体がばれちゃうからね。
だから、行商人が一番いい。
「登録完了ですにゃーん。はいこれギルド証」
受付嬢がカードを渡してくる。
名前とランクが書かれてる、簡素なものだ。
冒険者ギルドでも、同じようなものもらったな。
「そんで、おねえさんは今日は他に何かギルドにご用事あるにゃん?」
「はい。実は……売りたいものがありまして」
「ほうほう、何を売りたいんですにゃん?」
私はアイテムボックスから、革袋を取り出す。
「くんくん……香辛料ですにゃん?」
「はい。胡椒です」
「! こ、胡椒……ですか……にゃん……。な、中を見ても?」
「ええ、どうぞ」
キャンピーの中に常備されている、ホムセンで買ったやっすい胡椒。
それを、小分けしたものを、提出したのだ。
馬鹿正直に、大量に出して、目立ちたくありませんのでね。
ちゃんと小分けしたわけですわ。
猫受付嬢は袋を開けて、まじまじと中身を見る。
ふっふっふ……これぞ、『現実世界のものを、異世界で高く売って儲けよう』作戦ですよ。
こっちは、現実世界よりも科学技術で劣る。
だから、向こうで安く大量に作れるものでも、こっちはかなりの価値が見込める……!
ってことで胡椒を手始めに売ろうとした次第ですわ。
こっちでも胡椒は売ってるし、それが高級品ってことは承知してる。
ちゃんと騒ぎにならないように、小分けしておいたのだ。
大量な胡椒を出して、一体こんな凄いたくさんの胡椒をどこで!? って騒ぎになるのが目に見えていたしね。
「ちょ、ちょっと待っててくださいにゃ!」
「はい……?」
あれ、受付嬢さんが、奥に引っ込んでいったぞ……?
一体なんだろう……。
「ちょ、ちょっとおねえさん……いや、スミー様!」
……様?
「奥の、VIPルームにご案内しますにゃ! ギルマスが、貴方様とお話ししたいと!」
び、VIPルームぅ……?
ぎ、ギルマスぅ……?
え、嘘。そんな大事になったわけ……?
い、一体どうして……?
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