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捨てられ聖女は万能チート【キャンピングカー】で快適な一人旅を楽しんでる  作者: 茨木野


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11/31

11.冒険者登録で、私のレベルがヤバいことが判明

 冒険者ギルドへ、冒険者登録にやってきた私。

 木製の台でできた、受付カウンター。その奥に……なんとも美人さんが立っていた。


「おかえりなさいませ、リダケン様。それに、黄昏の竜の皆様」


 受付嬢が丁寧に、リダケンさん達にお辞儀する。やっぱこの人ら、凄い冒険者だったんだなぁ。


「ただいま。まずは、今回の調査クエの結果だ」


 魔女さんがポシェットから、羊皮紙の巻物を取り出して、何個もカウンターに乗っける。

 奈落の森(アビス・ウッド)で見つけたものとか、出会った魔物の詳細とかが、書かれてるんだってさ。


「続いて、調査で倒した魔物、そして魔物から採れた素材も買い取りをお願いしたい」


 とリダケンさん。

 受付嬢さんがうなずくと、周囲をキョロキョロと見やる。


「それはどこに?」


 私はうなずいて、アイテムボックスから、彼らが狩った魔物の死骸、および魔物から採取できるアイテムを取り出す。


 ドサッ……!


「え、ええええええええええええええ!?」


 受付嬢さんが声を張り上げる。まあ想定内。

 きっとアイテムボックスを持ってることに驚いてるんだろう。


「彼らに頼まれて、私のボックスいっぱいになるまでモンスターやらなんやらを詰めておいたんです。これが限界量で……」


「し、信じられない……! なんですか、この綺麗な素材アイテムの数々は……!」


 ……あれ、そっち……?

 私が素材化を使って、アイテムにした素材達を見て、受付嬢が目をむいてる。


「これ……大灰狼グレート・ハウンドの最上質皮。こっちは女王殺蜂キラークイーン・ビーの長針……! どれも、採取が超超超難しいものばかりですよ!」


「へ、へえ……」


 まじか、そうだったのかっ。


「それに……なんですかこのSランクモンスターの数々! さすがに、リダケンさんたちが強いってことは知ってましたけどっ、この数倒してきたのは異常ですよ! 一体全体、何がどうなってるんですか!? 貴女なにをしたんですかっ!」


 リダケンさんたちが、いつも以上に魔物を狩れていたのは、多分私が作った料理バフのおかげだ。

 素材アイテムを大量にゲットできたのも、私の持つ素材化スキルのおかげ。


 ……ようするに、どれも、私のせいだったりする。

 し、しまった……目立ちたくないのにぃ~。


「受付嬢さんよ、いろいろツッコみたいだろうけど、スミーさんに問いただすのは間違ってるぜ?」


 リダケンさんが私の前に立って言う。


「この魔物を倒したのは、おれら【黄昏の竜】。そんで、素材アイテムを回収したのも、おれら。この嬢ちゃんは単に、荷物を運ぶの手伝ってもらっただけさ」


「え、ええー……でも……」


「アイテムボックス持ちは、数は少ないけど珍しくはない。この嬢ちゃんは商人志望なんだ。持っててもヘンじゃあないだろ」


「いやまあ……」


「それとも、なにか? ギルドに【多大なる貢献をしてきた】、おれたち【黄昏の竜】が、不正な報告をしてるっていうのかな?」


「し、失礼しました!」


 受付嬢さんが慌てて頭を下げる。

 り、リダケンさん……もしかして、私のこと、かばってくれた……?


 ……どう見ても、怪しい私のことを?

 え、いい人……。


「魔物を倒したのも、素材化したのも、おれたちだ。いいな?」


「無論です……はい……」


 とりあえず、騒ぎは収まった。良かったぁ……。

 てゆーか……もしかしてじゃあなく、素材化ってだいぶチートスキル……?


 魔物を一切傷つけず、素材を回収できるんだから、そりゃチートか。覚えとこ……。


 受付嬢さんは、職員を呼び、提出した死骸やらアイテムやらを回収していった。


「換金はおそらく一日かかると思われます」


 リダケンさんがこっちをチラ見してくる。

 ここまでの料理代など、払うのは明日で良いか、と聞いているのだろう。


 ……どうせ一泊くらいはするつもりだった。ギルド登録×2があるし。

 私は、こくんとうなずいておく。


「では……次は貴方様の番ですね。冒険者ギルドに登録するんでしたね」


「あ、はい。そうです」


「では、こちらの用紙に名前をご記入ください」


 予習通りだ。羊皮紙に私は、置いてあったペンで名前を書く。

 ここは、偽名でも大丈夫。


『スミー』と書いておいた。もう異世界ではこの名前で通していこう。

 召喚者ってバレたくないし。


「スミーさまですね。テイマーとのことですが……従魔等は?」

「今は連れて無いです」

「わかりました。従魔登録はどこの街の冒険者ギルドでもできますので、ご利用くださいね


 受付嬢がさらさらと書類の、特記事項のところに、従魔アリと書く。よし……。


「では、最後に、指をお出しください」


「え? あ、はい……」


 人差し指を受付嬢に向ける。

 彼女は小さなまち針をとりだすと、私の指に突き刺してきた。


 いた……くなかった。不思議……。

 指の腹の部分から、血がにじむ。


 ぽた……と羊皮紙に血が一滴たれる。

 羊皮紙に、じわぁ……とインクがにじんできた。


 これ、あれだ。職業ジョブを調べているんだ。

 大丈夫、ちゃんとキャンピーのスキルを使って、職業ジョブ欄を隠蔽しておいた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【名前】スミー

【種族】人間

【レベル】515

【HP】51500

【MP】51500

【攻撃】515

【防御】515

【知性】515

職業ジョブ調教師テイマー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ……ん?

 んんんんぅ!?

 あれぇ……!? ステータスでてるじゃん!


 調べるの職業ジョブだけじゃあなかったの!?

 てゆーか、レベル……え!? レベル、515ぉ!?


「れ、レベル515ぉおお……!?!?!?」


 受付嬢さんが、声を張り上げる。リダケンさんも「な、なにぃい!?」と驚いてるしっ。

 え、え、嘘でしょ……?

 なんで!?

 私……前にレベル見たら、レベル1だったよね?


 なんでいつの間に500オーバー!?


「Sランカーのリダケン様でもレベル65とかなのに、三桁って……信じられない……!」


 ひぃい、どうなってるのっ。

 レベル上がりすぎでしょっ。


 私、全然魔物とか倒してないんですけどっ。どうなってるのよっ。

 とりあえず、レベルのところに、鑑定!


~~~~~~~

職業ジョブレベル

職業ジョブ、そしてそれに付随するスキルを使用することによるレベル

~~~~~~~~

……なるほど。

私の職業ジョブ野外活動アウトドア聖女。

 スキル、野外活動アウトドア

 効果は、野外での活動が、安全安心でできるようになる。


 ……裏を返すと、私のこのスキルって、外にいるときは常時発動することになる。


 え、つまり……。

 私、野外にいるだけで、野外活動アウトドアスキルが、自動で使われた判定されて……。


 結果、職業ジョブレベルが上がったってこと?


 そうか! おそらく、主は外で野外活動アウトドアしてるだけで、レベルが上がるんだ!

 なんだよそれ、外に居るだけレベルアップって。


 しかも、キャンピーがいるから、外に居ても、街の中にいるときみたいに快適に生活できるからっ。

 実質、何もしなくても、外でならレベル上がりまくるじゃんっ。


 なにそれチートやチーターやん!


「魔道具の故障かなぁ……」


 そ、それだっ!


「そうですよ、故障ですよきっと! 私こんなレベル高いわけないですしっ! やり直しを要求します!」


「あ、あ、ですよねー! ちょっとお待ちくださいねー!」


 受付嬢がいったん、カウンターの奥へと帰っていく。よし!


「……キャンピー!」


「…………」


 こくっ。

 言いたいことはわかってる、とばかりに、キャンピーがうなずく。

 アホ毛が、またみょんみょんみょん、と動く。


 さすキャン (さすがキャンピーの略) 、ちゃんと私の言いたいこと、わかってるぅ!


 ややあって、受付嬢が帰ってきた。

 もう一度、血を、羊皮紙 (多分ステータスを計る魔道具) に垂らす。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【名前】スミー

【種族】人間

【レベル】15

【HP】1500

【MP】1500

【攻撃】15

【防御】15

【知性】15

職業ジョブ調教師テイマー

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ほ、ほらぁ……! やっぱり故障でしたよっ」


「そ、そうですね……すみません、お騒がせして……」


 ほぉ……と受付嬢、および私も内心で安堵の息をつく。

 キャンピーの隠蔽スキルで、ステータスの数字をいじったのだ。


 マジで、大事にならなくてよかった……。


 それにしても、野外活動アウトドアと、野外活動車キャンピングカーのコンビ、ヤバすぎる。

 外に居るだけでレベルアップするし、外に居ても中に居るのと同じくらい安全だし……。



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