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【完結】地味でも大冒険!『古の森の黒ドラちゃん』  作者: 古森 遊
10章☆黄金の落ち葉を手に入れるんだ!の巻
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13-お宝大集結

カミナリ玉と、それを追いかけるカーラスたちが作り出した二色の帯は、黒ドラちゃんたちのいる草原へどんどん近づいてきます。

そして、集まってきたカミナリ玉が、黒ドラちゃんの前に山となって積もりました。


「カ!?カカーーーーーーッ!」

「カア!カア!」

「カーーーーッ!?」


突然竜を前にして、カーラス達は驚きつつも頭上を飛び続けています。

カミナリ玉を取り返したい気持ちと、竜を恐れる気持ちで、グルグルしてしまっているようです。


「お願い!カーラスさんたち、降りてきて、ちょっとお話を聞いて!」

黒ドラちゃんが大きな声で話しかけると、カーラスの中から特別に大きな1羽が現れました。

ゆっくりと弧を描きながら黒ドラちゃんの方へ近づいてきます。

そして、ちょっと警戒しながらも、黒ドラちゃんの目の前に降りました。


「カア?」


「あのね、カーラスさんたちにお話があって、集まってもらったの」


黒ドラちゃんがそう言うと、大きなカーラスの後ろに、他のカーラス達も降りてきました。

ちらちらと山積みのカミナリ玉を物欲しそうに見ていますが、竜の手前ですから大人しくしています。

「このカミナリ玉は、ラキ様と言う女神様に用意してもらいました」

「カア」

「これから皆さんに、あるモノの行方を聞きます。それをこの場に持ってきてもらえたら、カミナリ玉は皆さんのものです」

「カアカアッ!!」

言ってみな、早く言ってみなよ!って感じで一斉に鳴いています。


「実は、ここにいるダンゴロムシのダンゴローさんの金のスコップが無くなってしまいました」

黒ドラちゃんが、頭の上のダンゴローさんをカーラス達に見せながら話しだします。

無くなったって言った方が、返しやすくなるよってブランが教えてくれたんです。


「金のスコップはダンゴロムシさんの宝物、唯一の魔法のアイテムです!」

「カ!カカーッ!?」

すげえじゃん、なにそれ!?って、またまた一斉に騒いでいます。


「それが無いと、ダンゴローさんは故郷へ帰れません」

「カ、カカア~」

え、それ可哀そうじゃんか、みたいな鳴き方です。


「金のスコップはピカピカです。ひょっとして、皆さんの中で見たことあるって方いませんか?」

「……カ、カア?」

さ、さあな、みたいな感じです。

でも、ソワソワしている感じが伝わってきます。

きっと、光りモノを勝手に持って来ちゃったことに、どのカーラスも心当たりがあるんでしょう。

もうひと押しです!


「えっと、ここでラキ様から皆さんにお知らせです」

黒ドラちゃんがちょっと後ろへ下がると、入れ違いに絢爛豪華なキモノ姿のラキ様が前に出ました。

キラキラ光るその姿に、カーラス達が浮足立ってます。


「カーラスども、良く聞け」

途端にピッ!として、カーラスは一羽残らずラキ様の言葉を待っています。

「ここに特大のカミナリ玉がある」

ラキ様がすっと右手を前に出すと、その手の平には握りこぶしよりも大きなカミナリ玉が光っていました。


「カ!?カカーッ!」

「カア!カア!」

「カーー!?」

もう一斉に大騒ぎです。


「我は、この特大カミナリ玉を、ダンゴローの金のスコップを見つけた者に与え……」


ラキ様は最後までしゃべれませんでした。

何しろ、集まっていたカーラスが1羽残らずものすごい勢いで巣に飛んで帰ってしまったからです。

「わかりやすい奴らじゃな」

ラキ様がちょっとあきれながらつぶやきました。


草の陰で見守っていたゲルードたちが戻ってきました。

「さて、これで後は金のスコップが持ち込まれるのを待つだけですな」

「うまく見つかると良いけど」

ブランが少し心配そうです。

見つかったら見つかったで、今度は黒ドラちゃんが地下に潜ることになります。

ブランは色々と複雑な気持ちなのかもしれません。


黒ドラちゃんの頭の上から草の上に降ろしてもらって、ダンゴローさんは心配そうに背中を丸めています。

「ぶぶいん!」

モッチが元気良く羽音を立てました。

「そうだよ、きっと見つかるよ、大丈夫!」

ドンちゃんも一緒になって、ダンゴローさんを励ましました。


ラウザーは相変わらずラキ様を見つめてボーっとしています。

尻尾はすっかりくたくたになっています。

リュングが横で、一生懸命何か呪文を唱えて、尻尾を綺麗にピンとさせようとしています。


黒ドラちゃんはぐるりとまわりを見回して、カーラスが戻るのを待っていました。


その時、黒い点があちこちに現れました。

どれもカーラスです。

それぞれキラッと光るものを咥えています。


「戻ってきた!!」

黒ドラちゃんの声に、みんなが一斉に空を見上げました。


見ると、カーラス達は自分の巣に飾っていた、とびっきりの光りモノを咥えていました。

金のスコップを持っているのは1羽だけのはずですが、もうそんなことは関係なくなってしまっているようでした。

とにかくラキ様の見せた特大カミナリ玉が欲しい!

カーラス達の頭にはそれしかないようです。

「カアアアアーーーーーッ!?」

「カカーーーーッ!?」

「カアッ!カアーーーーッ!?」

見てくれ、これこれ、これだろ?決まりだろ?

みたいな感じで次々に黒ドラちゃんとラキ様の前に光りモノのお宝を見せに来ます。

けれど、ダンゴローさんの金のスコップは見当たりません。


「あ、あれは数年前に王宮から行方不明になったブローチです!」

ゲルードが小声で訴えてきますが、今は金のスコップ探しが優先です。

とりあえず、今回はブローチについては諦めてもらうことにしました。


「金のスコップ見当たらないね」

ドンちゃんが不安そうにつぶやきます。

その言葉にうなずきながら、黒ドラちゃんは、あの特別に大きな1羽が、まだ戻っていないことに気付きました。

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