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【完結】地味でも大冒険!『古の森の黒ドラちゃん』  作者: 古森 遊
7章☆離れていたって友だちなんだ!の巻
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20-再び王宮の森へ

モーデさんが戻ってきて、黒ドラちゃんはお城のバルコニーへ案内されました。

バルコニーは綺麗なお花がたくさん飾られています。

キラキラしたリボンも何本も飾られています。


そこへ、黒ドラちゃんが現れると、下の広場に集まった群衆から歓声があがりました。

モーデさんが花びらを撒いてくれます。

白やピンクの花びらの中、黒ドラちゃんがぼわん!と竜に戻りました。

「おおーっ!」大歓声です。

バサッと羽を広げると、さらに悲鳴に近いようなひときわ大きい歓声があがりました。


黒ドラちゃんは、モーデさんから花びらの入った箱を受け取ると、それを持って飛び立ちました。

右の方へ飛ぶと右の方の人々が、左の方へ回ると左の人々が、それぞれ手を振り声をあげて黒ドラちゃんを見上げています。

箱の中の花びらを少しづつ撒きながら、黒ドラちゃんはゆっくり広場を旋回した後、王都の街の上へと飛んで行きました。

来た時は夜だったのであまり良く見えませんでしたが、ノーランドの王都にもたくさんのお店がありました。

下から「古竜様ー!」と黒ドラちゃんを呼ぶ声があちらこちらから聞こえてきます。

黒ドラちゃんはそのたびに花びらを撒きました。

そして、一通り王都をぐるっと回って箱の花びらが空っぽになると、黒ドラちゃんは再び広場に戻ってきました。


そこで、バルコニーで「ふんぬっ!」と掛け声をかけて人間の姿に戻った黒ドラちゃんを見て、人々はまた歓声を上げるのでした。



その後はお土産選びです。

黒ドラちゃんはモーデさんと馬車に乗り、王宮から街へ出ました。

ノーランドにはバルデーシュには無い品物が多く売っていました。

多くは、ノーランド特有の堅い木を加工して作ったおもちゃや日用品です。


最初に目を引いたのが、木で出来た器や木で出来たテーブルに、黒い竜のマークが焼印されているものでした。

手作りなので、少しづつ違いはありますが、あちらこちらで売られています。

モーデさんから「今、ノーランドで人気急上昇の“古竜様シリーズ”です」と説明されて、黒ドラちゃんはちょっと照れちゃいました。


他にも、毛糸の帽子や手袋にオレンジ色の竜の姿が刺しゅうされているものもありました。

“陽竜様のポカポカシリーズ”と聞いて、ラウザーへの良いお土産になるからと1組買いました。


花屋の店先には白いマグノラの花が描かれた赤茶の花瓶が売られていて、しかも店員さんは同じデザインのエプロンをしています。

これもステキだったので、お願いしてエプロンを譲ってもらいました。

代わりに、お店にあった古竜様シリーズにサインをお願いされたので、丁寧に手形を押してきました。


一番人気があったのは“輝竜様シリーズ”です。

どこに行っても白いマントを着ている人が居るのです。

子どもも大人も女の人や男の人に関係なく、白いマントにエメラルドみたいなガラスの飾りボタンがついています。

これも手作りなので長さや形は様々ですが、通りを歩いている人の四人に一人は白いマントじゃないか?って感じです。

ブランが棲む北の山はノーランドに近いので、身近な竜No.1という不動の地位を築いているそうです。


「すごいねぇ、本当にバルデーシュブームなんだね」

黒ドラちゃんが感心していると、モーデさんが嬉しそうに答えました。

「カモミラ様は国民から人気が高く、スズロ王子との恋物語は吟遊詩人の人気演目ですから」

「なるほど!カモミラ王女の人気が、そのままブームの盛り上がりにつながってるんだ」


カモミラお王女はなかなか自分に自信が持てずにいましたが、周りで見守る人には、その魅力はちゃんと理解されていたようです。

黒ドラちゃんは自分のことのようにうれしくなりました。


お土産選びは楽しくて、つい時間を忘れそうになりましたが、モーデさんはしっかり者です。

「古竜様、それではいちど城に戻り、王宮の森へ参りましょう」


そうです。

グィンのおばあ様とお話ししなければなりません。

黒ドラちゃんは気持ちをきゅっと引き締めて、ドンちゃんと花嫁の冠のことを考えました。



午後のお茶の時間、黒ドラちゃんは王宮の森のノラウサギの木のお家の前に来ていました。

そこには、テーブルとイスが用意され、お茶の支度もしてあります。

初めてみる薄茶色のノラウサギさんが待っていました。


「初めまして、古竜様。わたくしはグィン・シーヴォ三世の母で、サヴィと申します」

丁寧にご挨拶をしてくれます。

「こんにちは。若草色のエプロンを持ってるサヴィさん?」

「あら、おばあ様ったらそんなお話もしたんですね。そうです。私がここに来たばかりの頃の話ですけどね」

そう言って、ニコニコしながら黒ドラちゃんにお茶を勧めてくれます。


見ると、テーブルも椅子も“古竜様シリーズ”でした。

茶器には大きな蜜蜂(多分モッチでしょうか?)の絵が描かれています。

なんと、クマン魔蜂さんシリーズまであるんですね。

黒ドラちゃんが感心していると、木の上の家から白いモフモフさんが現れました。

おばあ様です。

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