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10−3 アンダーグラウンドfeat.パニッシャーズin西宮

 クロが戻ってきた時、エリック達が乗ってきた車はトランクにエリックを乗せたまま既に見知らぬだれかがやってきて冬雪からキーを預かるとそのままどこかに走り去ってしまった。クロ達の社用車の中でレベッカは驚きはしていてもクロと冬雪に対して怯えるどころか、興味津々、むしろより二人を愛おしそうな目で見つめる。

「とても強いのね。驚いたわ。元軍人の二人なのよ」とレベッカは二人に自分がこの国に麻薬売買のマーケットに参入しにきた事を普通に語った。ワイン用のブドウ畑で普通に新種の麻薬を栽培してそれを日本に持ち込む依頼を二人にしたのだと。

 その話を聞いて冬雪は心底ショックだった。こんな明るくて前向き、常に笑顔が絶えない優しい人から麻薬なんて物は全く連想しなかった。そして、冬雪はそういう物に関わる道を選んでしまっていたという事をいまさらながらに気づいた。

「次はどこに行くの? それともここのフードコートにく?」

「それはまた今度ね。車を出して頂戴」

 どこに向かうのか、それをクロは聞きもせずに車のエンジンをかけた。そして最上階駐車場から出口に向かう。

 地上一階に戻ってくると、尼崎方面と伊丹方面と書かれた出口に対してレベッカは尼崎方面を指さす。クロは頷くとそのまま山手幹線や国道2号線方面に向かってアクセルを踏む。車のメーターが60キロを超え、遠くに警察車両が見えるや否やクロは速度を40キロにとどめる。山手幹線が見えてきたので、クロはレベッカを見るとまだ真っすぐと頷く。冬雪はどこに向かっているのか皆目見当もつかないが、レベッカの行きたいところをクロは知っているのだろうか?

「宮水ASS、気が付かなかったけど、クロはあれね?パニッシャーね?」

「何それ? 聞いたことない」冬雪もなんの事か分からない顔をしていると、レベッカは微笑んだ。「昔ドラマがあったのよ。大量殺害者。貴女有名よクロ」

 クロの事を知っている。いや、冬雪ですら少しばかり彼女の噂は聞いた事があった。だが都市伝説だと思っていただけに現実感がない。

「これから甲子園球場に向かってほしいの」あの高校野球の本戦会場である甲子園球場。

「知らない。どこそれ? 冬雪分かる?」

 と、ついこの前まで福岡にいた冬雪でも知っている事をクロは知らないという。それにレベッカが驚くが冬雪がクロにつたえる。

スマホの地図アプリを見せナビに連携「このナビに沿って走ってくれればそれでいいですよ。よろしくお願いします」

「分かった、宜しくお願いされた」

「そうそう、さっき車の中で連絡があったのよ」とこれまた世間話でもするようにレベッカは二人に大事な話をした。

「貴方達のお仲間、宮水ASS数名、エリックの残りの部隊に捕まってるわよ」

「榊さんやブリジットさん達がですか? 二人は僕らより凄い。まさかそんな! 何かの間違いじゃないんですか? レベッカさん」

 そう聞く冬雪にレベッカは自分のスマホを渡した。「白亜からよ」

 電話先の依頼主は、甲子園にレベッカを連れてきてそこに来る連中に引き渡しをするように言って電話を切った。

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