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9-5 アンダーグラウンドfeat. ボーイミーツソルジャー②

分断させられた。夕方で人も多い。こんなところでやりあうのか? いや、やりあうんだろうなとクロは既にジャラジャラと鍵を取り出した。

 そしてクロは店内入口にゆっくりと入り、少年を誘い出す。楽しそうな顔でクロを追いかける少年、去り際にクロは、

「冬雪、ここは尼崎」と意味深な言葉を残していく。目の前の巨漢エリックは「ガキが遊びで邪魔をするな。今なら許してやる」

 勝てるのか? こんな奴に……

「なんだ? 震えて声もでないのか?」

「――悪いけど、仕事なんでお断りします」

 それを聞いて眉間にしわを寄せたエリック。

 動きは巨漢からは想像できない程に速かった。冬雪の胸倉をつかむ。それを返し技で……力が強すぎて技がかからない。そのまま、エリックは冬雪を冬雪達の車のボンネットめがけて叩き落した。一瞬意識が飛ぶ。

 あっ、これダメな奴だ。死ぬ。

 一瞬で冬雪の戦闘能力は奪われ、まだ意識があると分かるや否や、冬雪の首を絞める。こいつ、殺す事に躊躇がない。笑うわけでも蔑むわけでもなく淡々と命を奪える側の人間だ。自分はこんな世界に入るべきではなかったのだ。狭い範囲で恐ろしい殺しの技を持って人を殺してしまった悲劇のヒーローのつもりで生きておけば良かったんだ。

「ぐ、ぐぅう……」抵抗しようにも万力のように冬雪の首から手を放そうとしない。凶器ではやくこいつのどこでもいいから傷つけて腕の力を……

「抵抗はやめろ。楽になれば苦しまずに逝ける。死ぬ時は楽だぞ」エリックが最後に冬雪を憐れむ目でそう言った。

 そして冬雪は目を閉じる。「そうだ、いい子だ」

「ダメじゃないか、おじさん」

 エリックは冬雪が落ちたと手を緩めた瞬間、冬雪が目を開けて笑っている事に驚いた。確かに殺した。殺してなくても失神はしたハズだった。その冬雪が秒で目を覚ました。それもとても面白そうに頭を抱えて笑う。一緒に連れてきた元少年兵ブラックと同じ嫌な感じがする。

「少し手加減をしていたか……次は確実に殺す。気絶したフリをしておけばよかったものを」

 エリックは腰からナイフを抜くとそれを手に隠すようにゆっくりと距離を縮める。買い物客達は大柄なエリックが気になりながらも飛び火を恐れて無視していく。

「手加減をしてたのはオジサンの方じゃないかな? 最初からそれ使えばよかったのに」

 ゆっくりと冬雪はポケットから手裏剣を取り出した。それに今まで無表情だったエリックが笑う。何を持ち出してくるかと思ったら忍者ごっこかと、そしてその瞬間。エリックの肩に手裏剣が刺さる。それを抜くと同時に激しい激痛。毒か? エリックは自分のナイフで傷口をえぐり血を出すと、ホルスターから銃も抜いた。こいつはヤバい、そうエリックの本能がそう叫ぶ。


「ねぇ?」冬雪はエリックに話しかける。「今、狩る側が狩られる側になったの、どんな気持ち? ねぇ? どんな気持ち?」

 こいつ、本当にさっきのガキか?

 エリックは観察する。力を隠していただけか? いや、下手すれば先ほどの絞殺で決まっていたハズ、なんだコイツは?

 殺す殺されるの世界にいれば不思議な事の一つや二つは経験済みだ。「今から確実に処理すればいい。大した問題ではない。今の気持ちは嗚呼、面倒だ。だ」余裕を見せるかのように冬雪にエリックはそう語った。現状でも大した問題じゃない。もう一度殺してしまえばいいだけなのだから。

少しばかり気が抜けていた。 

殺される心配がない国だからか。

「次は楽には殺せんぞ?」

 巨漢でありながら、素早い。そして訓練された動きだ。

 力で抑え込まれたら冬雪にはひとたまりもない。そんな怪物みたいな男がとんでもない速度で襲い掛かってくる。それを冬雪は笑いながら避けていると、急所狙いのフェントに反応したところ。

 冬雪は再びエリックに捕まった。

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