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9-4 アンダーグラウンドfeat. ボーイミーツソルジャー①

 クロの運転する車は国道171号線を抜けて、山手幹線に向かう。冬雪でも感じるこのレベッカの知り合いという連中がまともじゃない事を感じ取る。

「次はどこに連れて行ってくれるのかしら?」この道はコストコ尼崎倉庫だろうかと冬雪が思っているとクロが後ろをついてくるレベッカの知り合いだという二人の乗った車をみながら「つかしん」

「ふーん、元西武デパートね」スマホでレベッカは調べると冬雪でもあまり知らない名称を口にする。不思議そうにしている冬雪に「昔の西武社長は世界一のお金持ちになった事があるのよ」


 お金持ちはお金持ちの事を知っているんだろうかとふと思う。だから成功する事はすぐに真似て危険だと思う事は手を出さないか出していれば損切するのだろう。クロは後方確認をするふりをして冬雪になんどかアイコンタクトをする。何を言っているのか口は動かないので分からないが、臨戦態勢でいろという事なんだろう。同じ距離と速度を保ち、ついてくる黒いセダン。車の事を知らない冬雪でもかなり上手な運転だなと真顔で運転している巨漢の白人の男性をサイドミラー越しに見る。

 ここを越えたらコストコ尼崎倉庫だなと思った時、クロの運転する車は左折する。今回は“つかしん”というレベッカ曰く元西武デパート。その名の通りデパートにいくのだろう。いまや死語となりつつあるので、やはりショッピングモールのような所だろうかと冬雪は思う。

 見えてきた。本当に“つかしん”って大きく書いてある。


「到着した。ここ、駐車場の入り口が最初分かりにくい」そうクロが言って窓から手を出して後ろの車についてこいとジェスチャーする。すると白人の巨漢の男は軽く手を上げて、もう一人の中東系の少年はクロに笑顔で手を振り返す。


 屋上に車を停車させると二人が近寄ってくる。二人とも明らかに普通の人間じゃない。冬雪はポケットの中に手を入れようとしてその手をクロに止められる。

 だが、クロも二人に警戒しながら見つめる。

 レベッカだけが全員を見てとても笑顔で白人の巨漢に手を振る。

 どういう関係か?


「レベッカさん、絵の回収は完了」何を言っているんだ?

 するとレベッカは「ご苦労様、この二人。私のボディガードよ。可愛いでしょ?」

 巨漢の男性は軽く会釈、そして中東系の少年はクロに笑顔で近づくとはぐしてほっぺにキス。なんだコイツ、それともこれが普通なのか?

 クロは表情一つ変えない。

 次はクロの胸に当然のように触れる少年にクロは視線だけを動かす。そんな少年の手を掴んだのは白人の巨漢。クロに謝罪し、そして財布を取り出すと、そこから一万円札を10枚。冬雪とクロに差し出してきた。一体なんだ?

 受け取らない冬雪とクロに白人の巨漢が「レベッカさんのボディガードはこちらで引き受ける。これは駄賃だ」

「なにをーー」冬雪はこういう状態どうすべきなのか、クロを見るとポケットに手をいれていた。

「それはダメ、クロ達は宮水ASSの仕事として白亜から依頼を受けた。白亜達にレベッカを引き渡すまで誰にもレベッカを渡せない」


 それを聞いた白人の巨漢はレベッカを見る。とても面倒くさそうにそれを見て中東系の少年はヤレヤレというジェスチャーを見せる。

「二人とも、エリックの言うとおりよ。今から少し急な仕事なの」と護衛対象に言われた場合、どうしたらいいのか冬雪には分からないがクロの思考に関しては分かる事がある。彼女は受けた仕事は絶対に忠実にこなすのである。依頼主はレベッカではない。

 白亜にはいかなる者からも守れと言われた「それはできない。クロは仕事を優先する」

「だそうですけど?」中東系の少年が流暢な日本語でそう言った。それにレベッカは、

「二人ともとてもいい子だから、あまり怪我させないようにしてもらえる? 二人とも大丈夫。お仕事を失敗しても白亜にはちゃんとお支払いするように伝えておくわね」

 やる気だ。レベッカは冬雪とクロの事を本当にただの素人か何かだと思っているようで、仕事仲間と言う二人が乗ってきた黒いセダンの後部座席に入るとノートパソコンを開いた。

「抵抗すると痛いぞ」とエリックと呼ばれた巨漢の男が脅す。屈強な身体だ。しかもこの男、相当にこういう状況に慣れている。腕なんてクロのウェストくらいあるんじゃないだろうかと冬雪は思う。

「エリック、じゃあ俺はこの女の子もーらい」

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