8−8 アンダーグラウンドfeat. 絵画回収したり①
小競り合いが始まりブリジットが双眼鏡を持って楽しそうにしている。彼女の指が銃の形をしてたまに動かしているので狙撃でもしているつもりなんだろう。妄想で何人射殺したんだい? 全員、と返すブリジット。今回の彼女の服装はわりと本気である。軍用のブーツ、ジャケット、ナイフも通さないパンツ。お気楽そうな雰囲気に対して彼女は絶対に油断しない。そしてブリジットは榊に言った。
「ボス、串カツ始末屋が動くよ」そう言って双眼鏡を渡してくれるので、赤松の指示で従業の二人が動いた。
ゆかりは車に残り、撤退準備、赤松と宋でラインを上げて大谷記念美術館に突入するらしい。連中の仕事が六麓HSでもあの民間軍事会社でもないなら「狙いはひまわりか」
「……じゃあウチ等の出番やん」
「おーけー、相棒。出来る限り無駄な怪我人は出さない事」
こんな実弾こみの銃撃戦の中甘いなぁと思うブリジット。自分と同等の戦闘能力を有する自分の雇用主は続けてこういった。「厄介だが、仕事を依頼する間柄だからね」
「第三勢力側も撤退か」
「じゃあ串カツ始末屋に続くで! 後ろはボスお願いやで」ゆっくりと介入したブリジット、散歩でもするように慌てずに、至って冷静だ。
「ブリジットと二人掛けというのも久しぶりだね。まぁ、俺が死ぬほど楽できるからいいんだけどさ。赤松さん、まだ脇も腕も完全じゃないね」
ブリジットにやられた方ね。と言われてブリジットは自分の腕をパンパンと叩いて見せる。自分の腕がいいという事を伝えた上で、片手でゴム弾の入った銃を向けながらゆっくり、ゆっくりと美術館に入る。
「ここは美術館やから、走るなんて無粋な事はしたらあかんわな、従業員の男の子を先に行かせて赤松のアホが残るみたいや。ほんま、アホやな、ウチらが狙っとる時点で終わりやっちゅーねん」
ブリジットの日本語は大衆居酒屋にいる常連達に学んだ物。大阪訛りが強い。
「……BB、もう少し綺麗な日本語を使いなさいな。宮水ASSの品位がねー」
そう言って直っているなら既に直っているだろう。意外な事にきつい関西訛りを嫌う関西人もわりと多い。
しかし、ブリジットの返答は「それは、ボス達日本人の英語がクソみたいなのを直せてから言わなあかんで、できひんやろ?」
「俺は英語なんてしゃべれんよ」それにブリジットはクククと笑う。赤松が壁を障害物にゴム弾を撃ってくるのを鋼鉄の義手で受けながら「ウチは意思疎通できるレベルで喋れるやん。努力がちゃう」
「まぁ、考えようやね。さて、手負いの赤松さん、どう仕留める?」
「ウチとボス二人やで?」
「赤松さんを舐めちゃだめだろう。あの人は化物級だよ」
「ふっ」とブリジットは笑う。「舐めてかからひんから、ウチとボスの二人がかりで仕留めにいこうとしとんやろ?」
それもそうか、榊は頷く。「そいじゃあ、本気で赤松さんとやりあおうか、コンビネーションかけるで」
普段は基本標準語に徹している榊が関西弁を使った。
「ほんま、阪神間はおもろいで」
と、化け物揃いのこの地域にブリジットがつぶやくと、赤松に大声で挑発する。ゆかりを守ったせいで受ける必要もなかった怪我をした事、その挑発に乗る事もなく赤松は対処してくる「ほんまやるなぁあいつ」ブリジットをして満足する赤松という男。
ブリジットの知る限りタイマンで勝てない可能性のある三人の内の一人。




