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ショートショート5月~

血筋

作者: たかさば
掲載日:2020/05/01

あれは小学三年生のとき。


図画工作で、お友達の絵を描きましょう、というテーマをもらったあの時。


仲良しのマキちゃんと私は、向かい合って絵を描き始めた。


お互い、じっくり、観察をして。


目の前のお友達を、描いてゆく。


絵を描くことに夢中になっていた私。


絵が得意だったので、そっくりに、描けた。


マキちゃんは、形を描くことは苦手だったけれど、観察力と、丁寧な描写が得意だった。


うん、私に、よく似てる。


ふと、私の似顔絵の髪の毛を見てみると。


白い筋が、一本。


「高ちゃん、白髪があるよ。」


私の若白髪が発見された、記念すべき日となった。


1本見つかったら1本抜いて。


5本見つかったら5本抜いて。


だんだん白髪が増えてゆく。


抜いても抜いても、増えてゆく。


増える白髪に、茶色い地毛。


明らかに、日本人離れをした、毛並み。


明らかに、人と違う、毛並み。


自分の血筋を、疑った。


黒い髪に、巻き毛の母親。


白い髪に、直毛の父親。


私は色の抜けた茶色に、白髪が混じる、直毛。


白髪は父親からの遺伝だろうか。


父親も、若いころから白髪が多かった。


好奇心から、自分の血筋を、父親に尋ねる。


「俺のひいじいさんは、怪しいんだ。」


…なんだか、不安になる言葉が出てきて、怯む。


「小さいころに一度会ったきりだけど、真っ白で、目玉が薄い色で、よく分からん言葉を話していて、恐ろしかった。」


真っ白?


よく分からん言葉?


そういえば、父親の瞳は、グレーだ。


もしかして、外国の血が、混じっていたり、するのかも?


調べたら、分かるかもしれない。


そう思いつつ、早○○年。


結局真実は、分からないまま。




私の髪は、ずいぶん白髪が増えて、ごく普通のおばあちゃんになった。


あんなにも、目立っていた、色が抜けた薄い茶色の髪。


白髪のほうが多くなって、茶色が濃く、見えるようになった。


今では、普通の年配者に紛れるように、なった。


ごくごく普通の、おばあちゃんになれた私。


血筋の確認は、もう、必要ない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 日本の文化を感じました。文化というか気質というか。 [気になる点] まさか、白髪のおばあちゃんからここまで閃いた?
2020/05/01 20:34 退会済み
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