−ホットケーキの思い出−
油を塗ったホットプレートに、ホットケーキの生地を流し込み優しくそっと焼き上げる。
試行錯誤に彩られたホットケーキ作りは、まるでホットプレートをキャンバスにしたアートのよう。
フライ返しを手に、火の通り具合を見ながらワクワクして待っていた子供の頃の思い出。
緊張と共に生地をフライ返しで一気にひっくり返す、その手応えも堪らなくて。
ひっくり返し損ねた失敗もまたご愛嬌、生地を整えてどうにか取り繕って。
じっくり丹念に火を通し、丸く仄かに膨らんだ自己流ホットケーキの出来上がり。
出来栄え拙くとも、匂い立つ香ばしさが心を満たす程に満足感を掻き立ててくれる。
火加減に生地の作り方……どれが違っても味が変わり、作る度に完成度が違う。
卵の数に粉の量に牛乳の量に混ぜ方と、出来る事は奥深く自分なりの挑戦の連続。
パッケージのように上手くは出来なくても、作って食べて美味しくてだからこそ創意工夫の甲斐があって。
そのサイクルと楽しさの好循環に魅了され、来る日も来る日も焼き続け夢中になっていたホットケーキ。
バターにメープルにジャムと、味も気分に応じてアレンジして色々自由に変えられる。
焼き立てのホットケーキの香りの傍にはいつも素敵な笑顔。
失敗も成功も纏めて食べて愛してた、記憶に強く根差したあの懐かしい風味とひと時。
それは今も掛け替えのない大切な宝物。
子供の頃に、よくホットケーキを試行錯誤しつつ焼いて美味しく食べていた頃の思い出を元に書きました。最近は野菜中心の健康食がメインでホットケーキはご無沙汰なので、より一層恋しく感じてしまいます。




