表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたを忘れる方法を、私は知らない  作者: 長岡更紗
光の剣と神の盾〜オルト軍学校編〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/390

29.思った以上に曲者だな

 ルナリアの件はすぐに公表され、翌日の新聞記事にも載った。

 一緒に亡くなった護衛騎士とルナリアの体には注射痕があり、毒を直接体に流されたということだ。

 自殺か他殺かは調査中とあり、それ以外に詳しいことは書かれていなかった。

 が、注射と毒と聞き、トラヴァスはザーラが実行犯の一人であるという確信を強めていた。


 前日にルナリアが亡くなっても、トラヴァスのいるデゴラ隊はいつも通りの勤務となっている。

 トラヴァスが自分の班員と今後の打ち合わせをしていると、扉を開けて筆頭大将アリシアがやってきた。

 そこにいた騎士たちが一斉に彼女に向かって肩口に手を当てる敬礼をする。


「ああ、いいのよ、気にせず自分の仕事をしてちょうだいな」

「どうした、アリシア。わしの隊になにかあったか?」


 最年長の将で、唯一アリシアに敬称をつけないデゴラが部屋の奥からやってくる。


「デゴラ。ちょっと悪いんだけど、トラヴァスを貸してもらえるかしら?」

「それは構わんが……まさか、ルナリア様の件でトラヴァスが……?」

「いやぁね、違うわよ。ちょっと私の部下じゃ、人手が足らなくてね。優秀な彼の意見を聞かせてもらいたいだけよ」

「そうか、なら使ってやってくれ。だがわしの隊から引き抜いてくれるなよ」

「気をつけるわ!」


 引き抜かないと約束をしないアリシアに、デゴラはひとつ息を吐くと、トラヴァスへと目を向けた。


「行ってこい、トラヴァス。ちゃんと戻ってくるんだぞ」

「は」


 デゴラに送られて、トラヴァスは颯爽と歩くアリシアの後ろを着いていく。

 筆頭大将専用の執務室に入ると、トラヴァスはなにを言われるのかと緊張を含みながら疑問を口にした。


「筆頭大将自らが私を呼びにおいでとは、いかがなさったのですか?」


 何度かアリシアに呼ばれたことのあるトラヴァスだが、いつも彼女の部下からの呼び出しだったのだ。

 軍のトップが自らの足で目下の者を呼びにくることは、まずない。


「今、私の直属の部下たちは忙しいのよね」

「ああ……ルナリア様の件でしょうか」

「そうよ。まぁ座ってちょうだい。紅茶でも淹れてあげるわ」

「アリシア筆頭にそんなことはさせられません。私が……」

「いいから座ってなさいな。それとも私の淹れるお茶が飲めないとでも?」

「いえ、そういうわけではありませんが……それでは失礼いたします」


 本当を言うと、飲めない。

 しかし飲めない理由を問われても困るので、トラヴァスはそう答えながら来客用のソファに座る。

 アリシアは慣れた手つきで紅茶を淹れ、トラヴァスの前へと出した。


「どうぞ。お砂糖いる? それともジャムかしら?」

「いえ、そのままストレートでいただきます」


 なにかを入れられるなど、たまったものではない。

 飲めるだろうかと唇をカップに当てるも、やはり飲むことはできなかった。

 なにも入れられていないと頭ではわかっていても、体がどうあっても拒絶している。

 このままではいけないと思っていながら、トラヴァスは飲めずにそのままカップをソーサーに戻した。


「一応クッキーも出しておくわね」

「お構いなく」

「私が食べたいのよ。あなたは食べそうにないけど」


 その言葉で、飲んでいないことがバレていると悟る。アリシアを信用していないと言っているのと同じようなものだ。


(あまりアリシア筆頭を敵に回したくはないのだが……)


 しかし、飲めないものはどうしようもない。

 ふと気づくと、アリシアがじっとトラヴァスを見ていた。

 その瞳にヒルデのようないやらしさは感じないものの、自分を精査されているような居心地の悪さに、トラヴァスは言葉を発した。


「なんでしょうか、アリシア筆頭」

「あなたって無表情だけど、顔は整ってるわね。中々の男前よ!」

「はぁ……ありがとうございます」

「モテるでしょ?」

「根がクソ真面目なのでそんなには。まずまずです」

「ローズと付き合っているって聞いたけど?」

「はい」

「うまくいってるの?」


 ここでいいえと言ってしまえば、ローズにも伝わってしまいそうだと、トラヴァスは平然とした顔を崩さず答えた。


「それなりに」

「結婚しちゃいなさいな」

「時が来たらそうします」


 当たり障りのない答えを選ぶも、どうしてアリシアがこんなことを聞いてくるのかが理解できない。


「筆頭は、そんなことを言うためにわざわざ私を呼んだのですか?」

「いいえ?」

「では、一体どんな話でしょうか」

「そうねぇ。あなたにとっては理不尽な話、でしょうね」


 ニッコリ笑うアリシア。

 トラヴァスはこれまでアリシアのことを、腹の黒さなどないさっぱりとした正義の人だと思っていた。


(天然に見えて、意外に抜け目のない人かもしれん。そうでなくては筆頭大将など務まらんのだろうが)


 トラヴァスがほんの少し眉を寄せると、アリシアは半眼で薄く笑った。


「トラヴァス。あなたは騎士であり続けるためには、なんでもするつもりがあるんでしょう?」


 探りを入れられている。

 そうだと言えば、足元を見られかねない。

 トラヴァスは無表情に戻り、大したことないという態度で語る。


「それはどうでしょうか。私は軍学校では優秀だと言われ続けてきましたが、無表情でも心のある人間です。なにがきっかけで騎士を辞めるかはわかりません」

「あら、あなたはなにをしてでも騎士にしがみつくかと思っていたわ」


 アリシアから送られる、不敵な視線。それをトラヴァスはアイスブルーで防御する。それでもアリシアの視線は、そのガードを貫いてきそうな強さがあった。

 たまらず声を出したのは、トラヴァスである。


「私は筆頭の気に触ることでもしてしまったのでしょうか」

「いいえぇ、まさか。どうしてそう思うの?」

「今のはまるで、騎士職を剥奪されたくないならば言うことを聞けという脅しに聞こえたものですから」

「あら、よくわかったわね。その通りよ」


 なんでもないことのように言っておきながら、トラヴァスの言葉に驚いた様子を見せるアリシア。


(思った以上に曲者だな、この方は。素直な分、逆に底がわからん……)


 ルナリアの件がどうなっているか探りを入れたくはあったが、なにもしないことが最良だと決めたばかりである。

 余計なことをして、自分の首が飛ぶような事態になることだけは、なにがあっても避けたい。


「私は筆頭大将だから、たかだか一騎士の進退くらい自由に決められるわ。少々理不尽な理由でも、でっち上げればどうにだってできちゃうのよね」


 悠々と言い放ったアリシアの言葉に、本心だろうかとトラヴァスは訝る。

 もしも本心であれば、やっていることはヒルデと変わらないではないか、と。


「……まさか、尊敬するアリシア筆頭大将までもがそのような考えをされるとは、思ってもおりませんでした」


 その瞬間、アリシアの眉が下がった。すぐにグッと眉尻を戻したが。


(……演技か。本心ではないな……よかった)


「トラヴァス。今、『筆頭大将までもが』って言ったわね?」


 ほっとした顔をしないように、トラヴァスはぐっと口元に力を入れた。

 失言であったことは間違いない。しかし、アリシアは味方だと確信できた。


「確かに隊長や将もそれなりに権限はあるものね。まぁ筆頭大将()ほどではないけど。そうね、私以上というと……王族、かしら?」


 ヒルデに脅されて言いなりになっているトラヴァスのことを、アリシアはわかっていると言外に知らせているのだ。

 だがこれ幸いと、なにもかも話すわけにはいかない。


(話すには、王族の……シウリス様の特権による保護が欲しい。今のままではどう転がるかわからないからな)


 そのためには、アリシアを信用するということを示さなければならない。

 トラヴァスはカップを手にして紅茶を口元へ持っていくが──


(……だめだ……飲めん……っ)


 結局カップに口をつけただけで、そのまま戻しただけになった。

 それをじっと見ていたアリシアが、自分の紅茶へと手を伸ばす。


「ネタは上がってるのよね」


 アリシアはフウッと紅茶を冷まし、コクリと紅茶を飲む。


「……ネタ?」

「ヒルデ様との蜜事よ。無理やりさせられているんでしょう?」

「なにをおっしゃっているのかわかりかねます」


 やはり、アリシアは見抜いていたのだ。だがまだ、認めるわけにはいかなかった。


「信じてもらえないかもしれないけど、私はあなたの味方よ。絶対にトラヴァスを死なせたりはしないわ」

「先ほど筆頭は、私を脅すと発言していましたが。そんなあなたをどう信用しろと?」

「そうしなければいけないほど、私も切羽詰まっているのよ。話だけでも聞いてちょうだい。トラヴァスにとって、悪い話ではないはずよ」


 筆頭大将ほどの人物が、切羽詰まっている。

 その言葉に嘘はなさそうだとトラヴァスは判断した。トラヴァスの首が危ういように、アリシアも似た状況になっているのかもしれないと。


「蜜事がどうという話は私にはわかりませんが、聞くだけというなら聞きましょう」


 あくまでわからないという姿勢を崩さず、トラヴァスは促した。


「ここから先は、あなたがヒルデ様に無理やり蜜事をさせられていると断定して話すわ」

仮定(・・)としての話なら、いくらでもどうぞ」


 今はまだ話すわけにはいかず、トラヴァスはシラを切る。

 アリシアはそんなトラヴァスを見て奥歯をぐっと噛んだ後、話し始めた。


「私の調査では、あなたの他にも二人、同じようなことをさせられていた騎士がいたわ。もう二人とも、騎士を辞めているけど」

「そうですか」


 ヒルデに不貞の相手が他にいたことは、フリッツから聞いてトラヴァスも知っている。二人もいたとは知らなかったが。そのうちの一人が、フリッツの父親に当たる人物ということだ。


「その二人には、マックスが交渉中よ。ヒルデ様の浮気相手だと証言してもらうようにね」


 つまりはそれは、トラヴァスにもヒルデの浮気相手である証言をしろという、打診であると理解する。


「もしそれが事実だとしても、彼らが言うことはないでしょう。もう四代も前の王妃様の話ですが、関係を持った相手の男は斬首されていますし」

「そうね、現在でも恐らくは斬首となるでしょう」

「諦めた方がよろしいのでは?」

「もしも王族の特権によってあなたの命は保証されると言われれば、どうかしら?」


 トラヴァスは一瞬だけ、息が止まった。

 そうなるように画策はしていたが、まったく動きがなかったので不安があったのは確かである。

 自分に落ち着けと言い聞かせ、喜びを押し隠す。トラヴァスは今初めて特権に気づいたという風を装いながら続けた。


「王族の特権……いくつかありますが、この場合は罪人の保護ということですか」

「ええ」

「無理でしょう。過去にこれを行使した王族は少ない。罪人を保護するということは、民衆からの支持を落とすことと同意義。どのお方と約束を取り付ける気かは存じませんが、誰であってもその特権を行使する可能性はないに等しいものです」

「でももし、すでにその約束を取りつけていると言ったら?」


 さすが、アリシア筆頭大将である。

 トラヴァスの望むように事が運び始めた。


「……どなたです」

「シウリス様よ」

「……」


 よし、という言葉を発してしまいそうになり、トラヴァスは口を噤む。


(まだ、まだ成っていない。喜ぶな。不利になることは極力減らせ!)


 手を顎にし、トラヴァスはどうすべきかをもう一度考え直す。

 答えを出す前に、アリシアが先に口を開いた。


「トラヴァスが証言してくれれば、シウリス様の特権によって命は守られるわ。そうすれば、ヒルデ様の不貞が明るみに出て裁かれることになる。投獄されれば、二度とヒルデ様があなたに手を出すこともなくなるでしょう。それは、トラヴァスにとっても悪い話じゃないはずよ」


 確かにそれは、トラヴァスの望むことではある。しかしまだ足りない。


「……確かに、もし私が王妃様の不貞の相手だと仮定すると、好条件のように思いますが」

「なにか問題でも?」

「特権を行使するとシウリス様の口から語られていないことが、信用ならないのではないでしょうか。書面は偽造しようと思えばできなくはないかもしれない。仮に私が王妃様の不貞の相手ならば、シウリス様の口から公言してもらわぬ限り、証言をすることはないでしょう」


 トラヴァスのその言葉に、アリシアはニッと笑った。

 今トラヴァスは、身の安全さえ保証してくれれば、証言はするという意思表示をしたのだ。それをアリシアは理解したのだと、表情でわかった。


(迂遠に言ってもわかってくれる方で助かった。これで証言をせずに伝えられたのだからな)


 心の中でほっとするトラヴァスに、アリシアは笑顔を意思のある強い表情に変えて続けた。


「どちらにしても、あなたがヒルデ様から解放される〝時〟は来るわ。しばらくは耐え忍びなさい」

「私はヒルデ様に迷惑を(こうむ)っている事実などはありませんが……」


 そう言ってトラヴァスは、三度(みたび)紅茶に手を伸ばす。


(これは、アリシア筆頭に対する感謝と信頼の証になる。必ず、飲まねばなるまい)


 ほんの少し震えた手で、トラヴァスはゴクリと紅茶を飲み干した。

 体はぐらりともしない。なにも入っていないとわかってはいたが、ようやくトラヴァスは乗り越えられたのだ。

 あの悪夢が始まった紅茶を飲んだ時とは比べ物にならないほど、清々しい気分だった。


「ありがとうございます、アリシア筆頭。とても美味しい紅茶でした」


 アリシアはニッコリと太陽のように微笑み、トラヴァスは頭を下げて執務室を出る。

 フリッツが王になるための第一歩。

 それを手助けするための己の一歩を、踏み出せた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。

サビーナ

▼ 代表作 ▼


異世界恋愛 日間3位作品


若破棄
イラスト/志茂塚 ゆりさん

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
この国の王が結婚した、その時には……
侯爵令嬢のユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
政略ではあったが、二人はお互いを愛しみあって成長する。
しかし、ユリアーナの父親が謎の死を遂げ、横領の罪を着せられてしまった。
犯罪者の娘にされたユリアーナ。
王族に犯罪者の身内を迎え入れるわけにはいかず、ディートフリートは婚約破棄せねばならなくなったのだった。

王都を追放されたユリアーナは、『待っていてほしい』というディートフリートの言葉を胸に、国境沿いで働き続けるのだった。

キーワード: 身分差 婚約破棄 ラブラブ 全方位ハッピーエンド 純愛 一途 切ない 王子 長岡4月放出検索タグ ワケアリ不惑女の新恋 長岡更紗おすすめ作品


日間総合短編1位作品
▼ざまぁされた王子は反省します!▼

ポンコツ王子
イラスト/遥彼方さん
ざまぁされたポンコツ王子は、真実の愛を見つけられるか。
真実の愛だなんて、よく軽々しく言えたもんだ
エレシアに「真実の愛を見つけた」と、婚約破棄を言い渡した第一王子のクラッティ。
しかし父王の怒りを買ったクラッティは、紛争の前線へと平騎士として送り出され、愛したはずの女性にも逃げられてしまう。
戦場で元婚約者のエレシアに似た女性と知り合い、今までの自分の行いを後悔していくクラッティだが……
果たして彼は、本当の真実の愛を見つけることができるのか。
キーワード: R15 王子 聖女 騎士 ざまぁ/ざまあ 愛/友情/成長 婚約破棄 男主人公 真実の愛 ざまぁされた側 シリアス/反省 笑いあり涙あり ポンコツ王子 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼運命に抗え!▼

巻き戻り聖女
イラスト/堺むてっぽうさん
ロゴ/貴様 二太郎さん
巻き戻り聖女 〜命を削るタイムリープは誰がため〜
私だけ生き残っても、あなたたちがいないのならば……!
聖女ルナリーが結界を張る旅から戻ると、王都は魔女の瘴気が蔓延していた。

国を魔女から取り戻そうと奮闘するも、その途中で護衛騎士の二人が死んでしまう。
ルナリーは聖女の力を使って命を削り、時間を巻き戻すのだ。
二人の護衛騎士の命を助けるために、何度も、何度も。

「もう、時間を巻き戻さないでください」
「俺たちが死ぬたび、ルナリーの寿命が減っちまう……!」

気持ちを言葉をありがたく思いつつも、ルナリーは大切な二人のために時間を巻き戻し続け、どんどん命は削られていく。
その中でルナリーは、一人の騎士への恋心に気がついて──

最後に訪れるのは最高の幸せか、それとも……?!
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼行方知れずになりたい王子との、イチャラブ物語!▼

行方知れず王子
イラスト/雨音AKIRAさん
行方知れずを望んだ王子とその結末
なぜキスをするのですか!
双子が不吉だと言われる国で、王家に双子が生まれた。 兄であるイライジャは〝光の子〟として不自由なく暮らし、弟であるジョージは〝闇の子〟として荒地で暮らしていた。
弟をどうにか助けたいと思ったイライジャ。

「俺は行方不明になろうと思う!」
「イライジャ様ッ?!!」

側仕えのクラリスを巻き込んで、王都から姿を消してしまったのだった!
キーワード: R15 身分差 双子 吉凶 因習 王子 駆け落ち(偽装) ハッピーエンド 両片思い じれじれ いちゃいちゃ ラブラブ いちゃらぶ
この作品を読む


異世界恋愛 日間4位作品
▼頑張る人にはご褒美があるものです▼

第五王子
イラスト/こたかんさん
婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。
うちは貧乏領地ですが、本気ですか?
私の婚約者で第五王子のブライアン様が、別の女と子どもをなしていたですって?
そんな方はこちらから願い下げです!
でも、やっぱり幼い頃からずっと結婚すると思っていた人に裏切られたのは、ショックだわ……。
急いで帰ろうとしていたら、馬車が壊れて踏んだり蹴ったり。
そんなとき、通りがかった騎士様が優しく助けてくださったの。なのに私ったらろくにお礼も言えず、お名前も聞けなかった。いつかお会いできればいいのだけれど。

婚約を破棄した私には、誰からも縁談が来なくなってしまったけれど、それも仕方ないわね。
それなのに、副騎士団長であるベネディクトさんからの縁談が舞い込んできたの。
王命でいやいやお見合いされているのかと思っていたら、ベネディクトさんたっての願いだったって、それ本当ですか?
どうして私のところに? うちは驚くほどの貧乏領地ですよ!

これは、そんな私がベネディクトさんに溺愛されて、幸せになるまでのお話。
キーワード:R15 残酷な描写あり 聖女 騎士 タイムリープ 魔女 騎士コンビと恋愛企画
この作品を読む


▼決して貴方を見捨てない!! ▼

たとえ
イラスト/遥彼方さん
たとえ貴方が地に落ちようと
大事な人との、約束だから……!
貴族の屋敷で働くサビーナは、兄の無茶振りによって人生が変わっていく。
当主の息子セヴェリは、誰にでも分け隔てなく優しいサビーナの主人であると同時に、どこか屈折した闇を抱えている男だった。
そんなセヴェリを放っておけないサビーナは、誠心誠意、彼に尽くす事を誓う。

志を同じくする者との、甘く切ない恋心を抱えて。

そしてサビーナは、全てを切り捨ててセヴェリを救うのだ。
己の使命のために。
あの人との約束を違えぬために。

「たとえ貴方が地に落ちようと、私は決して貴方を見捨てたりはいたしません!!」

誰より孤独で悲しい男を。
誰より自由で、幸せにするために。

サビーナは、自己犠牲愛を……彼に捧げる。
キーワード: R15 身分差 NTR要素あり 微エロ表現あり 貴族 騎士 切ない 甘酸っぱい 逃避行 すれ違い 長岡お気に入り作品
この作品を読む


▼恋する気持ちは、戦時中であろうとも▼

失い嫌われ
バナー/秋の桜子さん




新着順 人気小説

おすすめ お気に入り 



また来てね
サビーナセヴェリ
↑二人をタッチすると?!↑
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ