本編-0054 武技と命素と副職業(サブクラス)
【77日目】
ぜぇぜぇと肩で息をしながら、俺は金属槍を杖代わりに両膝をついていた。
目の前では俺の回復を待つ間、螺旋獣2体……アルファとデルタを相手に模擬戦で大立ち回りを繰り広げる竜人ソルファイド。
【心眼】による補助があるとはいえ、両目が失われていながらその磨き上げられた感性と感覚は大したものだ。というか、【竜の憤怒】に頼らない分攻撃性が激減している代わりに――むしろ彼生来の冷静さが前面に出ており、立ち回りの緩急たるや、かつて俺の迷宮に侵入してきた時の比ではない。
ソルファイド曰く、【心眼】の感覚は言葉では非常に説明しづらいらしい。
面倒なので手っ取り早く【眷属心話付与】で直接イメージとして伝えてもらったが――なるほど。
第六の感覚とも言うべきか、波紋のような気配が【心眼】の正体だった。
それでも無理矢理喩えるとすれば、暗闇の視界の中で音とも色とも違う、いくつもの波長の異なる"揺らぎ"があって、その"揺らぎ"の一つ一つが、視覚で言う「形」だったり「色」だったりに対応している。
つまりソルファイドの【心眼】からは、俺は出来の悪いCGの下書きポリゴンみたいな風に見えているということだ。
何が面白いかというと、これ、探知に非常に役立つ。
目で見えず音も立てず、匂いすらしない存在であってもその「気配」は【心眼】の世界では浮き彫りになってしまうのである。
今のソルファイドには、もはや以前に倒した時のような隠身蛇による不意討ちは、効きづらいというわけだ。心"眼"とは言いつつ、これは「視覚」とは全く異なる感覚である。
喩えるならば自分自身がレーダーにでもなったような感覚だが。
そんなことを反芻しているうちに、体力も回復してきた。
「そろそろ休憩も、終えようかな?」
剣舞と言うに相応しいソルファイドの殺陣だって、何日も見ていたら飽きてくる。
俺は【命素操作】に意識を巡らせ、体内にある『迷宮核』に蓄えられた命素を心臓へ送るようイメージした。
赤血球が酸素を全身に運ぶような感覚で、頭の天辺からつま先まで、俺の体そのものに命素を馴染ませる感覚が重要である。手指の先の毛細血管の一本一本、俺を構成する細胞の一個一個にまで命素を染み渡らせるのだ。
するとそれだけで疲れがすうっと引いていく。
それはHPの回復とはまた異なる感覚だった。あれは命素が直接傷ついた部位へ集まって、文字通り再生するイメージだからだ。
そしてこの命素に己を漬ける感覚こそが、俺に新たな可能性を拓いた。
「オラァッ!」
気炎と共に前のめりにクラウチングスタートし、勢いと共に金属槍をソルファイドに直突きに繰り出す。
アルファ、デルタと相対し俺に背を向けていたソルファイドが驚いたようにこちらを"視る"――が、それも一瞬のことで、即座に体を捻って対処されてしまう。
槍をつかもうと伸ばされた腕をはたき落とすが……チクショウ! 体捌きがまだ上手くいかなくて、身体が追いつかない。
前のめりの勢いを戻しきれず、俺は必要以上に踏み込んでしまった。
空を切る音、と共に脇から鋭い蹴りを放たれ、かろうじて槍を縦に構えて盾代わりにするが、問答無用で蹴っ飛ばされて転がる俺。
城壁獣のガンマがちょうどその方向におり、受け止めてくれたが、衝撃に口の中に血が滲んでいる。
「まだまだ……だな、主殿」
外套の襟を直しながらソルファイドが近づいてくる。
「だがコツはつかめてきたぜ」
口の端を歪めて笑いかけてやる。
強がりというわけでもない。
"修行"を開始してから一週間……初めてこいつの驚く顔を拝見できたのだ。
「迷宮領主とは皆こうなのか? 主殿。疲労からの回復が少し早すぎるな」
「だから言ったろ。"コツ"を掴んだ、ってな」
初めのうちはソルファイドに投げられ、あるいは手刀で打たれを繰り返したが、その中で発見があった。
まず「痛み」とHPの減少が必ずしも比例関係には無いことだ。
同様に「疲労」もまたそうだ。
そしてこれが重要だが――いずれも【命素操作】によって対応が可能であり、今ソルファイドを呆れさせたような動きができている、というわけだ。
ん? たった一週間でそれだけ上達するなんてオーマさん才能の塊ステキ! 抱いて! だって?
『そんなこと言ってないきゅぴ』
コラ待て。
俺の俺による俺のためのボケにまで割り込むな。
『きゅぴぃ?』
……調子を戻そう。
無論、俺の上達が速いのには――カラクリがある。
【精密計測】と【高速思考】と【並列思考】、あとウーヌスどもを駆り出して演算機能を使わせてもらい、最適な修行法を計算させてもらったんだよ。
どうやれば効率良く「槍」捌きに練達できるのか。
ソルファイドという基本的な戦闘技術の師匠のシゴキから得られた情報を元に、まさに「1を聞いて10」を知るを地で行くような検討を行ったというところだ。
そこに加えて、上記の、迷宮領主でもない存在からしたら"ズル"とも言われそうな【命素操作】による強引な疲労回復である。
日々の基本的な迷宮運営や、【人界】へ派遣中の寄生小虫からのフィードバック情報を副脳蟲達から受け取る作業は【並列思考】で行いつつ、ぶっ続けで俺は基本的な「突き」「払い」「守り」「回避」といった運動を何百何千とソルファイドとの"修行"の中で繰り返してきたのである。
その結果が……ようやく実を結びつつあった。
「命素は生命エネルギーが様々な要素に分化する前の、生の状態のエネルギーの塊だ……ってのが今の俺の推測だ。だから、疲れにも、痛みにも、空腹にも、体調の異常にだってある程度は対応してしまえる」
「なるほど、『命素』にはそのような使い方もあるというわけだな? ……つくづく、魔界は人界とは仕組みが異なるわけだ」
ソルファイド自身も、テルミト伯から"命素"に関するさわりのようなことは聞かされていたらしい。それが彼の武技をより研ぎ澄ませていたわけでもあるが――巡り巡ってその情報を俺が受け取ったわけだ。
「……魔石はあっても命石は聞いたことが無い、って話もそこに繋がるんだろうよ。迷宮領主だけが"魔素"と"命素"を操ることができるからなのか、は知らんが」
「魔力を快復するのに『魔石』を使うこともある、とは聞いたことがある。それと同じというわけか」
その最たる者は、魔素と命素によって生まれ基本魔素と命素によって維持される『迷宮の眷属』達であろう。
ちなみに、エイリアン達で現在一番の大飯喰らいは、魔素ならば炎舞ホタル、命素ならば城壁獣、両方ならば巣窟花である。
「これがどれだけ恐ろしい事実か分かるか? もし本当に【人界】で『命石』が全く未存在の物資だとしたら――『魔石』以上の軍需物資に化けるぞ。疲れない軍隊、多少の怪我や空腹や病気はものともしない軍隊……くわばらくわばら」
無論、俺だけが命石を作り出せるとまで考えてはいない。
【命素操作】は迷宮領主の基本的な職業技能であり、それぞれのやり方はあるだろうが、魔石と命石は生み出せないと考える方がおかしい。
……いや、あくまで魔素と命素に依存した迷宮経済の奴もいるかもしれないが、まぁ、やはり俺だけのものであるとは考えるべきではない。
そして【人界】でその存在が知られていない様子を見るに――他の迷宮領主達もやっぱり秘匿しているのだろう。
あるいは単に【人界】へ積極的に関わっていないため、広まる契機が無かったとも言えるだろうが。
――『魔石』は食い詰め者どもが迷宮へ挑む理由の一つであるらしいからな。
その上に『命石』の存在が知れたら、どうなる?
楽しいだろうなぁ。
この知見を、俺が【人界】で活動拠点と表の身分を築いていくのに、どう利用してくれようか。
「……ウヴルス里は"人間"の国との関わりを絶っていた。だから絶対とは、言えないぞ?」
「まぁ、そこら辺を調べるのも人界探索の小目的の一つ――隙有りッ!」
会話の途中で気合とともに金属槍を突き出す。
今度は【並列思考】の補助を借りて、体を動かしながら同時に命素を筋肉と神経に張り巡らせる細かい操作を同時に行った。
これによって放たれたるは武技【疾風突き】。
今度こそソルファイドの胴体に風穴を開け、不可抗力的に『命石』による治療実験の材料にしてくれるつもりだったのだが――。
やはり驚愕の雰囲気は伝わってきたが、そこは歴戦の戦士。
かなり本気の動きで避けられ、返す刀で当て身を食らってしまった。
うぐぐ、おのれ。
"奥の手"を披露したのだが、まだまだ、この無茶な動きに体がついていかない……というよりは慣れていなかったというわけか。
「驚いたな……真似た、のか?」
「くっくっく。成長が早いこの体は、まぁまぁ便利なもんだよ」
種明かしをすれば、こうだ。
修行の中で試しにソルファイドに【武技】を何度か空撃ちさせる機会があったのだが、俺はその時の魔素や命素の動きを観察していたのだ。
それで半分は予想通りで、【武技】を放つ時にソルファイドの全身から確かな『命素』のほとばしりが観察されたのである。
まぁ、もう半分は予想外で、同時に魔素の流れもわずかばかり観察されたんだが。
で、その後ステータスを確認すると、やはり消費されていたのはHPではなくMPだった。
人界と魔界のシステムの違いは置いておいて、少なくとも命素に相当するものは人界にもあるということだ。
思うにだが【武技】を放つそのキッカケ自体は精神力みたいなものに依存しており、一度発動されれば後は内なる"命素"を消費する形となる、と。
そしてその消費のされ方こそが、これだ。単に大気中に霧散するのではなくて……生命エネルギーを放つような形で発揮される。
無論、内なる命素を消耗するわけだから、反動は「疲労」や「痛み」としてHPでは表示されない形で返ってくる。まぁあまりに無理をすれば、目に見える形でHPにも影響を与えるだろうが。
と、ソルファイドの猛烈な蹴りが迫ったので、全力で飛び退く。
痛烈な反撃を受けた直後こそ追撃の機会であり、故にそれへの対応もまた学ばなければならない、という理論。
容赦なく「主殿」へ蹴りを食らわせてくるソルファイドが、『命素』に関する俺の仮定を聞いて疑問を返してくる。
「主殿の仮説によれば、人界に"命素"は満ちてはいない、ということか? ……あくまで個々人の体内にある力であり――ううむ」
「話としてはそういう方向性だ、が。むしろ"満ち方"の違いだろうな――魔界じゃこんなだが、」
辺りの岩壁から染み出す白い淡光を適当にいくつか指差す。
「人界じゃ、ここからしか出てこないんだろうよ」
心臓のあたりをトントンと叩いてみせる。
「……それでか、得心がいった」
と言いつつも、ソルファイドは微妙な表情を浮かべていた。
ただし、本人の申告を信じるならば、対ヒュドラ戦などで意識が研ぎ澄まされ、テルミト伯からのヒントであった"命素"なる感覚自体を感じてはいたとのこと。
で、だ。
見よう見まねでソルファイドの武技【疾風斬り】を俺もやってみた。
無論、槍でだから型とか体捌きは「演算」によって適当に組み上げた超我流の動きだが、"命素"の流れそれ自体に関しては、完全にソルファイドの【武技】を参考にしてみたんだよ。
……自分自身の体を動かすのと、その動きに命素を的確に纏わせるというわけのわからん作業が必要だから、これは【並列思考】を持つ俺でなきゃなかなかできるものじゃないだろうが。
まぁ、そんなんで【疾風斬り】の槍版とも言える【疾風突き】を不格好ながらも会得した、というわけだ。
修行も一区切りがついてきたところで、ソルファイドに土をつけてやろうとずっと機会をうかがっていたんだが……会話中の不意討ちでもまだまだ対応されてしまうかぁ。汚い戦い方への忌避感は無いが、当たり前のように対応されてしまうと、なんだか腹立つね。
それはそうと、俺が初めて【槍の武技】を成功させた時の事だ。
例のシステム音が、こんなことを告げたんだよ。
『――『槍術』による武技の発動を確認――』
『――爵位条件の確認……達成――』
『――副職業獲得条件を達成。【槍戦士】を取得――』
はい?
待て、待て。
また、迷宮核さんが何かをしでかしてくれたようだった。
だが幸か不幸か、俺は既にその『翻訳』の傾向を理解しており……何が起きたのかを、大体悟ってしまったのだ。
そうか、そうか。
副職業ねぇ――?
【基本情報】
名称:オーマ
種族:魔人族
職業:迷宮領主(融合型)
爵位:上級男爵
副職:槍戦士 ← New!!!
位階:29〈技能点:残り12点〉 ← Up!!!
HP:350/350
MP:470/470
まぁ、考えてもみれば、職業【迷宮領主】はその性質からして半永久的に「転職」なんてできっこない。実質的には職業というよりも第二の"種族"とも言うべき強制的なもので、それに対する救済措置……というよりは調整措置として、【副職業】というシステムがあるのだ、と解釈することにした。
んで、「爵位条件」とか言っているわけだから、なるほど、これが俺がその存在を予測していた『特典』の一つということだろう。
――だが、自動的に与えられるものでは無さそうだ。
知性種の子供……グウィースなんかを例に取れば、少なくとも最初から『職業』を会得した状態で生まれてくるわけではない。何らかのキッカケが必要になるのだろうが――それも、当人の『経験』に影響されているのかな?
それと同じことが『副職業』にも言えるようで。
「『槍戦士』ねぇ」
槍を選んだ理由自体は、そこまで深いものではない。この島で手に入れた中で比較的まともな武器だからである――素材たる謎金属はソルファイドの剣と違って【情報閲覧】できないため、由来はよくわからないが、相当な業物であることは確か。
間合いのある武器は悪くない。文字通り俺が「脳」となる我が迷宮においては、どれだけ配下達が精強でも、俺を倒されればそこでジ・エンドだ。
ならば可能な限り「最初の一撃」を防げるような、長射程の武器を扱う武術は、多少は生存を高めるのかもしれない。二撃目? ソルファイドかアルファが防ぐだろ、ゼータでも良い。
というわけで、新たに得た【槍戦士】のスキルテーブルに合わせて、リッケル子爵戦までの位階上昇を反映した今のスキル状況を説明しておく。
迷宮領主としての技能の優先順位はどいつも高いが、全てを極める必要はない。点がもったいないのもそうだが――【地点記憶】系統と、これ以上の【眷属心話】は切って良い。
というのも、主にウーヌスとかぷるきゅぴとか副脳蟲達の構築した「エイリアンネットワーク」がその代替になるからである。冷静に考えれば【地図記憶】とかとんでもなく強力……前の世界では方向音痴で知られたこの俺には特にな!
『きゅぴ! お絵かき頑張るよ!』×6
というわけだ。
最近ではウーヌスが自分の補佐として2体の新たなブレインを産むことを許可しており、エリイアンネットワークは文字通り俺の脳の外付けブースター度合いを増しているのである。名前はラテン語で2と3を意味するドゥオとトレースだ。
次に伸ばす技能は【領域】系統に定め、とりあえず【領域制御】と【領域変動】までは取った。先々を見据えた【領域拡大】もそうだが、リッケル子爵がかなり本格的な「領域戦」を仕掛けてきたことへの対抗的な意味も強い。
だが、最終的な目当てはこの系統最上位の【領域転移】だろう。
取得してないためどんな制約があるかとかの不確定要素はあるが……技能名から効果を予想する限り、かなり強力なものであることに違いない。
それと、ソルファイドによる「稽古」を通して【命素】と【武技】の関係性に気づいたため、【魔素操作】と【命素操作】へ振った。奇しくも【人界】への探索行を計画している現在、個人の戦闘力を底上げすることはもう少し評価し直しておくべきかと考えていたタイミングでもある。
それに、迷宮経済の改善に少しずつだが効果がある――とも思いたい。
俺自身の【保有魔素】と【保有命素】も、いざという時のために有効活用すべきだからな。
せっかく手に入れた【副職技能】についてだが、今気になるのは、こいつを今後さらに"転職"させられるかどうか、だ。仮に可能だとして、点を振った技能については『継承技能』に移ることが予想される。
となれば、今焦って【槍戦士】に振ることもないだろう。
ゼロスキルでも一定の効果を発揮する技能が多いことは既に知っているところ。なので、将来的に『継承技能』化したいような、そんな目ぼしい技能が無いかの確認に留めておこうかね。
――んで、スキルテーブルをざっと見回した感じ、そうだな、槍戦士のビルドは大きく分けて2パターン。
一つは【一番槍】【先駆けの誉れ】などに代表される先陣切り込み系で、敵陣に突っ込んでかき乱すという技能。これは【名乗り】系統と組み合わせることで、個人の武勇を高めて敵を混乱させる技能と組み合わせれば、1対1はもとより少数対少数~中規模戦闘を意識したビルドにもできる。
この辺りはいらんな。護身向けの戦闘技能はもっと良いのが絶対他にあるだろうし、俺が斃れたら詰みなのに突っ込んでどーする。
もう一つは【集中の号令】に始まる防御寄りの技能達で、こちらは中規模~大規模戦闘向けを意識したイメージだ。戦術指揮官としてはあって損は無い。
だが、俺のエイリアン達が正攻法のぶつかり合いよりはゲリラ戦に向いていることがリッケル子爵戦で分かった以上、魅力が半減する。それにそもそも、これは下士官や隊長クラスの人材に向いた能力に過ぎないため――点を振るほど心は動かされない。
うむ。
やはり【槍戦士】への点振りは保留で良いか。
このように、技能的には俺のニーズからは外れているが――【武技】の仕組みを理解するキッカケにはなった。
……まぁ、考えてもみれば盲点だったんだがね。
魔界ではそこらから命素や魔素が染み出してくるのが普通で、しかも「融合型」の迷宮領主である俺の場合、それらが体内の迷宮核に【保有命素】として蓄えられてしまうことが、逆に灯台の下になっていた。
また、いつもの"蛇口"で喩えようか?
知性種を含む一般通行生物達もまた、自分自身の体内に魔素と命素を生み出す"蛇口"を持っているのである。
んで、おそらくだが『迷宮の眷属』はそうした"蛇口"を持たないが故に、常時それを供給し続ける必要がある、と。これが多分、最大の違いだろうな、同じ「魔物」であっても、普通の生物が魔物化するパターンと"異界の裂け目"から迷宮の眷属が這い出してくるパターンとの。
んで、だ。
それならば迷宮領主はどうか?
俺も含めて――迷宮領主である以前に、生身の生物だろうよ。
当然に、魔素命素を蓄える機能とは別口で、そうした"蛇口"を持っているはずなのだ。ソルファイドもまた、【人界】ではそれを無意識か経験的に使用しているに過ぎなかった。
だから、それを真似て『内なる命素』に気づいて意識を向ける。【保有命素】に蓄えられないように注意しながら、全身を巡るように【命素操作】した結果――俺は【武技】を会得して可能性を拓いたのである。
んで。
"本題"はここからだ。
同じことを『魔素』でやれば、どうなると思う?




