#020. マイ島の魔物と釣り
もう少し島を見て回るか。
「お、いたいた。スライム」
普通の種類のスライムだ。
ばしばし攻撃して倒して、屑魔石をゲットする。
ここは個人フィールドなどで、横取りの心配もない。
経験値は最低限だけど、他の人がいると気になる人には便利かもしれない。
ひたすら歩き回り、次々とスライムを倒していく。
「お、ウサギだ。モンスターじゃない奴」
動物などもいて、ウサギ、タヌキ、キツネ、イノシシなどが生息しているという。
これらは経験値は貰えないが、倒すとお肉をドロップしたりする。
「さて、んじゃ、釣りでもしますかね」
一度町に戻って、釣りスキルを購入してくる。
釣り竿に仕掛けも購入して、準備はオッケー。
「では、俺は釣りをします」
誰も聞いていないがいいんだ。
島の海岸に出て、桟橋を探す。
デフォルトで一応、桟橋らしきものが設置されていた。
そこの上から釣竿を垂らす。
海はかなりの透明度で、よく見れば魚たちの背中も見える。
空と海。
雲がゆっくりと流れていき、波が上下に揺れている。
なんとも平和だ。
ゲームの中だけど、これは癒し要素かもしれない。
「ほーほほほ、釣れた、釣れた」
>ルルがアジ★1を釣った!
アジか、まぁまだ小さい。
うし、この調子でバンバン釣るぞ。
竿が引っ張られビクンビクンと反応する。
この引きが面白いのだ。
リールを巻いて、魚を釣り上げる。
>ルルがアジ★2を釣った!
やった★2だぞ。この調子だ。
>ルルがゴミ★0を釣った!
くそ、こんなのも釣れるのか。
ちくしょー、もっと釣ってやる……。
こうして気が付いたら夕方になっていた。
アジ、サバ、クサフグが釣れた。
最初にしては上出来ではないだろうか。
こういうのんびりプレイをいいかもしれない。
いったん王都ミルシーダへ戻る。
魚を売ってしまおう。
NPCと会話をして、売却する。
思ったより高値でかってくれてホクホクだ。
次の日。
「お兄ちゃん~」
「琉亜君~」
ウタカとタピオカさんと合流する。
「どう? 島開発進んでる?」
「いや全然。魚釣りずっとしてたわ」
「お兄ちゃんらしい矢。さすがルア君」
「まあなっ」
さてまたミルシーダ平原に行くか。
この辺りにはゴブリンがたくさんいる。
「えいやー」
「おりゃー」
「てーい」
みんなしてゴブリンを囲んでボコる。
チュートリアル以来だが、まぁまぁ戦えている。
そしてウルフだ。
「がるるるる」
「うぉぉお、ていやー」
「お兄ちゃん、頑張って、えいっ」
ウルフにはちょっと苦手意識があったがなんとか倒せた。
「ふぅ、ギリ勝てたな」
「そうね」
ポーションを飲んで小休止だ。
草原のど真ん中だけれど、エアポケットみたいに敵が出ない時があるのだ。
それからウルフの集団戦だった。
こちらも連携を強化して、ことに当たる。
右から左からとウルフが攻撃してきて、突出した個体を狙って攻撃を仕掛ける。
そうするとだいたいダメージを与えられて、じわじわと削っていく。
なかなかに神経をすり減らす作業だった。
「ほーい、勝」
「おつかれ」
「お疲れ様です」
みんなでハイタッチを交わす。
ドロップは普通の肉とか皮だ。
これらも素材になるので、ないよりはいいだろう。
それからレアドロップ「力の種」。
「どう?」
「やったじゃん」
「でも、そのままじゃ使えないんですね」
「みたいだね」
どうやら種アイテムという種類で、畑に上て育てるものらしい。
レベルも一つ上がった。
そうしてドロップの稼ぎを売っぱらって現金化してしまう。
「戻ってまいりました、マイ島」
「ぱふぱふ」
「いえーい」
三人で俺の島に来ている。
「特に代わり映えしないね、お兄ちゃん」
「まあな、まだ何もしてないし」
「そっか」
適当に区分けして、畑を耕す。
するとシステム機能の畑ウィンドウが出てくるので、そこに適当に採取してきた薬草の小さいのを植えていく。
「それから、これ、力の種」
「だね」
さっきの力の種を植える。
水をかけてやると、さっそく目が出てくる。
さすがゲーム早い。
薬草畑と力の種が植えられた。
「で、どうすればいいの?」
「ちからの種は二十四時間かかるみたいだよ」
「ほんとだ」
そっか、すぐには育たないんだ。
じゃあ、今日はログアウトしちゃうか。
「ログアウト!」
ベッドから起き上がる。
そして、隣の部屋から出てきた詠と合流する。
「こんばんはハンバーグだって」
「やった! ハンバーグ♪ ハンバーグ♪ うれしいなぁ♪」
詠がハンバーグの歌を歌っていた。
なかなか自分の妹だが、声がかわいいので、さまになっている。
しばらくテレビを見ているうちに、母親によるハンバーグがテーブルに運ばれてくる。
「それじゃあ、食べましょうか?」
「はーい。いただきます」
「いただきます」
三人でもぐもぐとハンバーグとライス、付け合わせのフライドポテトとサラダをだべる。
高いっては何だが、けっこう豪華だと思う。
家によっては合成食料なんかを食べているうちもあるらしいし。
あれは不味くはないんだけど、見た目が完全にディストピアなんだよな。
赤、緑、茶色なんかのペースト状の何かで。
母親が料理する人でよかった。




