波乱の生徒会選挙 銀髪眼鏡VS魔王 ー5ー
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「サイガ!」
エリスはバイトから帰ってくるなり、サイガの部屋に乗り込んできた。
「何だよ……晩飯は温めればいいだけの状態にしておいただろ」
「そうなの?いい心掛けね……じゃないわよ!私に何の恨みがあるわけ。私は生徒会には入らないって言ったわよね」
エリスはサイガに生徒手帳を見せ、そこにはエリスが会計に登録したという報告が載せられていた。
「な、な、何で俺が推薦したって言い切れるんだよ。他に推薦した奴がいるかもしれないだろ」
「アンタと話をした直後じゃない!声が震えて、動揺してるのが丸わかりだし。どう責任取ってくれるのよ。選挙中は学園をサボって、バイトに行けなくなるんだから」
エリス曰く、選挙期間は学園をサボる事が出来ないだけでなく、バイトも休日しか許されない。よほどの事がなければ、破った時点で退学となってしまう。
それもエリスが特待生という立場からであり、選挙に参加していなければバイトをしても問題はなかった。もし、何らかの行事に参加した場合、それを途中で放棄する事は許されていないのだ。
「それだけじゃないわ。私を会計に推薦するもんだから、マキナが会長に立候補せず、会計に立候補してしまったのよ。そのおかげで明日の学園は大騒ぎになるわ。私にとって色々面倒だけど、アンタもだからね。私を推薦したのもアンタだと皆は思うだろうし、恨みを買ってるわよ」
エリスは生徒手帳の画面を切り替え、登録者の欄にすると、エリスだけでなくマキナも会計に登録されているのが分かった。写真も載っている事から冗談ではない。
マキナはエリスに対抗して、勝負するためにも会計に立候補してしまったのだ。それをキャンセルする事も出来ない事から、会計はエリスとマキナの二人に絞られる。マキナが出る時点で誰も立候補するとは思えないからだ。
しかも、問題になるのは会長に誰がなるかという事。生徒達はマキナが会長になると思っており、キースも副会長に立候補している。会長となれば、王女もしくは勇者に命令する権利を与える事になる。




