兄弟機、姉妹機対決 ー10ー
「ふん……それを知ったところで無意味。私はエルナのパートナーであるお前を完全に破壊しに来たのだからな。その後にワーエンドを……あの御方の命令だ。何よりも優先される」
「あの御方? 一体誰の事を言っている。マザーシステムの復活はお前だけの意志ではないのか……っと、それを聞いても無意味か」
確かにサイガやエリスよりも警戒しなければならないのはアイシャや店長。サイガ本来の力と同等の力をアイシャは持ち、パートナーである店長もそう。何よりもオメガが告げた二人が勇者エルナのパートナーであった事。サイガ達を守る障害としてではなく、エルナのパートナーである事が理由にも聞こえる。
オメガと店長は同じタイプ。機人は換装する事が出来、それによって戦況が変化する。二人は日常生活の時と同じ姿。だが、いつの間にか上空に飛空艇が待機しており、そこからオメガの換装パーツが送り込まれた。それは銃やドリル、振動ナイフが仕組まれているわけではない。
「今だ!」
「何を……換装時に狙うのは危険なんだぞ」
王妃は店長の指示に従い、城の中に戻ったのだが、兵士達はオメガの隙を待っていた。機人である事から換装する事を察し、そこを狙うつもりで離れた場所で待機し、先程と同じ一斉射撃ではなく、低級であるが魔法を放った。だが、換装する事で隙が出来るのではない。機人自身、一番警戒すべき時だと分かっている。それによる対策を取るのは当然。電磁バリアで消滅させるのではなく、魔力であるはずなのに体内へ補充したのだ。
「魔力によるエネルギーは凄い物なのはアンドが一番理解しているな。それを自らの体へ取り込む事を可能としたのだ」
オメガはデウスカイザーの事を言っているのだろう。聖鍵が必要であり、店長も合体したが、それを動かしたのはエルナ達、エリス達の魔力。マザーシステムを倒す力が、魔力にあったと考えてもおかしくない。




