兄弟機、姉妹機対決 ー2ー
「……分かった。カテジナの死刑は取り止める。だが、代わりに国から追放させてもらう。明日にでもと思ったが、勇者達がミクス国に戻る時に実行しよう。その間にオメガ及び、メジーナ=マミルトン、アズラエル=カイエンの誰か一人でも捕縛、もしくは倒せば、行く場所を選ばせてやろう」
王子は刑を死刑ではなく、国の追放に軽減させた。そして、オメガ達、誰か一人を倒せば国の選択権が与えられる。カテジナが狙われているのであれば、国が違っても変わる事はない。国に被害が出るのであれば、どこも受け入れない。それを黙ってやるつもりなのだろう。だが、王子の言葉は手で隠した物を見ながらで、隠しきれていない。
サイガは王子や王妃でなく、アイシャを睨むと顔を反らした。ゼフォード王の弱味だけでなく、二人のを握ってないわけがなかった。エリス達には分かってないようだが、サイガはそれを察知した。王妃や王子は演技をしただけ。王子はアイシャが用意したカンペを読んだだけ。もしくは弱味の写真か何かだろう。
「奴等はそう言うが、わし達の国に来ればいい。エリスはミクス国の姫と仲が良いからな。受け入れる体制を整える事は出来るし、学園に通えるようにもしよう」
「アイツはアイシャが説得してよね。マキナならカテジナの境遇から許すだろうし。ここよりも自由に行動出来るかもよ。学園に通えるのもいいと思う」
アイツとは大人版のアイシャの事だ。本人がそう言うのだから問題はない。王に進言も可能であり、マキナが許すだろう事はサイガも予想出来た。それに加え、エリスは学園に通えるという事を強調した。カテジナはゼータ学園の学生であり、ラキアス学園で同じ環境を与えるという事ではない。エリスはそんな立場ではない。カテジナはサイガが魔王である事を知った事で、SS学の仲間に引き入れようとしている。アイシャの言葉に、エリスはその意図を汲んだ。
「……二人の厚意には感謝します。王子の刑も受け入れようと思うのですが……アズとメジーナを助けるまでは……私は二人を追いかけるつもりです」
オメガがカテジナを狙うとしても、二人を使うかは判断出来ない。カテジナだけでなく、二人も部品となる可能性があるからだ。その場合、カテジナが別の国に移動する事になっても、二人はゼフォード国に留まっているかもしれない。過去の関係だけでなく、カテジナは現在の関係を大切にしたいのだ。助ける事が倒す事になっても、自らの手でと思っているのだ。メジーナ一人だけでなく、アズ一人でもない。二人を助ける事を優先する。それが違反になろうとも。




