店長は過去を語る ー10ー
「永遠の命って何よ? メジーナじゃなくて、親が求めてたみたいだけど」
「それには見当がつく。人間の命は短い。機人なら永遠の命に近い物を得られる。その成功例にカテジナがいる。オメガが関与しているのならば、この家の状況にも納得出来る」
メジーナの両親は機人化に失敗したのだろう。メイドは最初に実験され、失敗を元にしてメジーナの両親も改造を施した。それさえも失敗に終わった。永遠の命は得たかもしれないが、求めていた物とは違う形になったわけだ。
「何……改造人間なわけ? メイドってとばっちりじゃない。メジーナは永遠の命が欲しいなんて思うかしら? 好きな人と一緒にいられないじゃない」
誰も死ぬよりは生きたいと願う。オメガがメジーナを救ったのは正しい行動なのだろう。どちらの改造が先とかとなれば、両親が先と考えるべきか。それならば、メジーナは以前から両親の事を知っていた事になる。ここから逃げ出したくて女子寮に住んだのかもしれない。メジーナがオメガを嫌っているのもそのためか。
「メジーナが選択したわけではないのだろう。それにしても何故今だった? カテジナが目覚めたからとしても……アズとメジーナが二人に似ていたの偶然のはず」
タイミングとしては偶然が重なれば必然になる可能性が生まれてくる。勇者の再来、魔王だけでなく、残虐や死霊の復活。その中にカテジナの目覚めれば異常となる。オメガの行動もそれに含まれていてもおかしくない。
「ここにいたんですね。地下に行く階段を見つけたんです。隠された形なので、何か分かるかもしれません」
カテジナは探索の際に隠し階段を見つけたようで、一人で記憶を取り戻すのが怖いのか、それの報告に来た。
「隠し財宝があるかも! 早く案内して」
エリスはカテジナにメジーナの日記を見られないように、階段がある場所まで、すぐに案内させた。カテジナという存在のせいでメジーナ本人、両親が改造されたとなれば、傷付くのが目に見えているからだ。




