店長は過去を語る ー4ー
「カトレアって人とメジーナが似てるからって、意味があるわけ? 話からして機人になったのはカテジナだけなんでしょ。適合した物がカトレアと関係してるとは思えないんだけど」
カテジナのようにカトレアも機人になっているのであれば、その体の一部がメジーナに取り付けられたのなら納得出来るが、店長はそんな事は言っていない。さらにメジーナとカトレアが似ており、マミルトン家が継続されているのはカトレアの血が色濃く残っているという事。
「確かにカトレアは私が知る限りでは人間のままであり、結婚もしている。だが、その仮定で確実に何かが起きたはず。カテジナ、カトレア、カイエン家のアズィールの三人は複雑な関係だった。今のアズとメジーナ、カテジナの関係に似ている。それによってカトレアはカテジナを恨んだ。カトレアはアズィールが好きになり、アズィールはカテジナを好きになった」
「それって……カトレアがカテジナを殺したって事?」
「いや、カテジナの死は事故……戦闘に巻き込まれた形だ。カトレアは関係していない。それによって、カトレアはアズィールが自分を見てくれると思ったのだが、アズィールはカトレアを見ようとはせず、カテジナを生き返らせようとした。それを私に教えたのがカトレアだった」
アズィールとカトレアの気持ちを店長は説明するが、カテジナの気持ちには何も触れていない。カテジナのアズィールの事が好きだったのか。
「しかし、再びアズィールを奪われたくないからじゃなかった。狂喜があるとすればアズィール。カテジナ対しての恨み、憎しみが何もなかったようになっていた。その時、別の誰かを好きになったわけではない。彼への憎しみに変わったわけでもない。カトレアだけでなく、アズィールも。カテジナの執着し、機人にしてでも甦らせようとする狂喜があったのが、手術を終えた時には想いが消えていた。二人のカテジナへの気持ちが消去されていた」
カイエン家が継続されているのは、アズィールもまた誰かと結婚した事になる。その相手はカトレアではない。カイエン家とマミルトン家は犬猿の仲。結婚していれば、有効な関係を築いているはず。
「そこにオメガが関係してると考えてるわけね。カテジナの手術をするため、アズィールと一緒にいた。それだけじゃなく、マミルトン家のパートナーになってるんだから」
マミルトン家とオメガが関係しているとすれば、その時代に何かがあった。力関係が同じでなくとも、因果に関係すればパートナーになれるからだ。




