店長は過去を語る ー2ー
「次にゼータ学園女子寮を襲ったロボットだが、機人殺しの被害者の一部を組み合わした物だった。機人殺しは技術者、もしくはその仲間がいる事になる。メジーナはそれに当てはめる事が出来る」
オメガはメジーナを犯人の一人にしたいような言い方をする。
「はっ! メジーナを何がなんでも犯人にしたいわけ? パートナーなら庇ったりすると思うんだけど。実はアンタが犯人で、メジーナを身代わりにしたいんじゃないの。メジーナが狙われたのはどう説明するのよ」
サイガが黙った事で、オメガの話が終わらないままにエリスが反論した。カテジナが狙われたように、メジーナも襲われたのだ。それをサイガが撃退したのだが、違和感がなかったわけではなかった。
「確かにな。だが、それは別の理由という可能性はある。それに本当にメジーナを狙っていたのか。メジーナはこいつの力を調べていた。それを実戦で見るためかもしれない。側にあった壊れたロボットがそれだったという可能性もある」
確かにサイガと黒マントの戦闘で、メジーナは観察するだけで終わった。最後に狙ったのも共犯だと思わせないためという形にもなっている。もしくはロボットと入れ替わるために破壊し、本当にメジーナを狙ったのか。どちらにしても少しの間だが、メジーナはサイガの魔力を使用した。その武器はオメガに回収されてしまったが、その武器があった事でメジーナの偽者という可能性は無くなった。
「それと……名家のある物が盗まれていってるのは聞いてるんだろ。その相手がメジーナを襲ったとも思ってる。残っているのはマミルトン家だけだとでもな。だが、それはすでに奪われている。マミルトン家は黙っていたわけだが、メジーナも知らなかったのだろう」
「……聞きたい事がある。メジーナが腕を失い、機械の腕をしていた。その手術をしたのはオメガ……お前か」
店長は口を開き、オメガに聞いたのはメジーナの腕。腕の交換はメジーナ本人がやっていた。そのための土台は本人では無理である事を店長は分かっていた。それをしたのは誰でもなく、オメガを疑った。
「その場で出来たのは私だけだった。そうしなければ死んでいた。適合した物があったのが救いだったが、それに何の問題がある。メジーナにしたのはそれだけだ」
メジーナの生死に関わっていたのであれば、手術は必要な事であり、マミルトン家のパートナーであるオメガがするのはおかしくない。だが、『メジーナにしたのは』という言葉には、別の誰かにも似たような事をした口ぶりであった。
「適合した物だと……それは……」
「ちょっと! 抜け出すなら私も一緒に行くって」
店長は何かを察し、会議室から出ていくと、その後をエリスは追いかけた。
「二人がいなくなったのであれば、会議はここで終わりだな」
「その前に聞きたい事がある。名家にあった、ある物とはどういうのだ? 盗まれたのであれば教えてくれてもいいだろ」
オメガも会議室から離れようとしたが、サイガは名家に守られた物、盗まれる必要がある物なのか聞いた。
「暴走したマザーシステムの破片だ。それを集めたところでマザーシステムが復活するわけでもない。すでに第二のマザーシステムが起動しているが、それを暴走させる力もない。名家と象徴させるためだけに持っていたのかもしれんな」




