魔王と勇者はデートを企画する ー13ー
「メジーナ!」
カテジナは戦意を喪失しており、動くどころか叫ぶ気力も無くしていた。店長でもなければ、サイガやエリスでもない。
「お前もそんな姿になって……相変わらず甘いままなのか」
この場に駆けつけたのはアズとオメガ。アズはメジーナの家に向かっていた。居なくなれば捜すのは分かっていた。オメガはカテジナがいる場所だと踏んだのだろう。透明化になっていなれば居場所を把握出来る。
アズは店長の代わりにカテジナを守るように前に立った。オメガは上半身になった店長の頭を足で踏み、見下した。メジーナの行動に警戒する様子はない。
「何で……カテジナを守ろうとするのよ……私は……ジーナじゃない……貴方を救うのは」
サイガの魔力だけでなく、アズに姿を見られた罪悪感から意識が混濁し、何をアズに伝えたいのか意味も分からないまま、逃亡するために風の魔法か飛空装置を使い、空へ逃亡した。
「おい! 何故捕まえようとしない。アズやカテジナが無理でも、お前なら出来るはずだ。罪を被るのが嫌なのか」
「何を言っている。罪になるのはメジーナだけだ。今はメジーナのパートナーだが、ここは機界ではない。自分の世界で起こした罪に関しては効力はない。それに警備の人間達の数人が追いかける。共犯を突き止めるためにもそれがいい」
パートナーの罪は共有。それは他の世界での犯罪で、その世界のパートナーが共犯とされる。自分の世界での犯罪では無効となる。それでもオメガはメジーナの行動に気付かなかったのか。メジーナ一人の行動ではなく、共犯がいる事が分かっているのもおかしい。店長達の会話時にオメガ達の姿はまだ無かった。
アズも店長やオメガがいるのにも関わらず、カテジナを心配するように側にいるだけで、メジーナを追いかける事をしなかった。




