魔王と勇者はデートを企画する ー4ー
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「はぁ……私は構わないけど。メジーナも学園に来れないんでしょ。家に行こうにもオメガって奴がいたらカテジナを連れてかれるだろうし。それに……アンタには盾になってもらうから」
朝のHR、アズとカテジナはエリスの側にいない。教室が違うのもある。カテジナがゼータ学園を訪問するのも何度かあり、いる事に何の問題もない。二人で行動しているのだろう。エリスは疲れきったように、椅子にもたれ掛かっている。机に突っ伏したいのだろうが、多くの箱や袋がそれを許さない。
「盾って……ああ……女子寮での活躍で人気が向上したのか」
女子学生が遠目でサイガとエリスを見ている。盾というのは女子達を遠ざける役目なのだろう。机に置かれてるのもプレゼント。甘い香りも漂ってきてるからお菓子もある。昨日と今日で手のひらが返って、また元に戻った感じだ。サイガが作ってきた弁当にも手をつけていない。プレゼントの一つのクッキーを口に放り込んでいた。
「それでも珍しいな。いつもなら逃げるなりしてるだろ? 貰ったクッキーにも口にしてるし」
「売り上げアップのための下準備。食べたところを見せた方が喜ばれるでしょ。カテジナと一緒にいないのも写真を撮られないようにするためもあるんだから」
エリスは声を掛けられるのが面倒で、いつも逃げてばかりなのが、今回はきちんと対応したのだ。だからこそ、この疲れよう。それもエリスとカテジナのツーショット写真、メジーナとの三人の写真を売るための工作らしい。
「けど、ずっとこの状態も面倒なのよね。女子寮に戻ってもそうだし、放課後に気晴らししないと。それとサイガには写真を撮ってもらわないと。それでもカテジナがOKするか。何でアズじゃなくて、店長なのよ。店長がカテジナの事気になっていても…………待てよ」
エリスも店長とカテジナの組み合わせに疑問を持っていた。機人に年の差は関係ない。カテジナに関しては年齢が不明。人間と機人のカップルよりも機人同士がいいとアイシャは思っているのもあるかもしれない。
「店長とカテジナが結ばれたら変態行為も自重するだろうし、メジーナとアズの関係も……カテジナは国の重要な人物だから店長も残り……あの店は私が譲ってもらう……これだわ!」
エリスは頭の中で考えてる事の殆どが口に出ていた。エリスは店長の店を乗っ取るつもりでいるらしい。
「店長とカテジナのデートを成功させる。そのためにもカテジナから許可を取るのはアンタよ。私が学園内でカテジナと一緒に行動するのは駄目だから」




