魔王と勇者はデートを企画する ー1ー
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「サイガ!」
「ごふっ! お前……いい加減俺に頼るのを止めろよ。飯ぐらい食堂で我慢してくれ」
サイガは寮に戻り、次の朝になった。そこに昨日と同様エリスが乗り込んできた。大方朝飯の催促のために来たのだろう。
「違うわよ! それもあるけど、メジーナはどうしたのよ。寮に戻って来なかったんだけど。アンタが何かしたんじゃないの? 一緒にいたんのよね」
サイガは寮に戻ったが、メジーナは実家に泊まった。武器開発継続のために泊まるように言われたが、エリスが今のように激昂すると思い、拒否したのだ。メジーナには他に理由があった。家宝を持ち出すためもの許可を得るためというのもあるが、メジーナが銃弾を受けたのが一番の理由だろう。機械の腕が盾となったとしても精神的な問題もある。それよりも服に貫通したような不明な穴が空いていた。それも銃弾と同じ大きさ。だが、メジーナには血の一滴も流れていない。服も血に染まっていなかった。
「メジーナは実家に戻ってるんだよ。アズから何も聞いてないのか? 一緒にいたんだよな」
アズも寮に戻ってきていない。メジーナはエリスが一緒にアズの家に行っていると考えていた。アズならエリスに説明しているはず。
「そんなの聞いてないわよ。途中で抜け出して、カテジナに会いに行ったから。そこで色々とあったんだけどね」
「エリス! 私の事は内緒にしてもらわないと」
「こいつに言っても問題ないでしょ。誤魔化すのは全然出来たのに、姿を見せた時点でアウトだから」
カテジナはエリスに注意するために姿を晒してしまった。エリスと一緒に透明化で男子寮に忍び込んだのだろう。いつの間にかカテジナはエリスと普通に呼び、仲良くなっていた。
「で、メジーナとアズの両方いないって事は……もしかして、お互いの家に紹介……カテジナには残念だけど」
エリスは金にしか興味がないわけではなく、恋愛脳が発動し、変な想像をしたようだ。
「お前……馬鹿だろ。アズも実家に泊まっているのか、それとも……」
実家に泊まっている可能性もあるが、メジーナが襲われたのなら、アズも狙われたと考えるべき。
「なるほど……メジーナとアズがいない理由が分かりました。ですが、アズの家は」
「ただいま戻りました……何でカテジナまで」
カテジナが何かを言おうとしたが、アズはそれを遮るように部屋に戻ってきた。部屋にカテジナがいる事に驚いたようだが、エリスがいる事には何の驚きもない。昨日の事で、何度もあると予想していたのだろう。




