魔王は専用武器を、勇者は商品の作成に勤しむ ー17ー
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「それで……カテジナはどこにいる? 一緒にいたのはその武器で明白だ」
「そんなの知らないわよ。理由は分からないけど、アンタが来た事に気付いて、逃げたんじゃないの」
店長が変質者だというのは、連れのオメガによって解決した。だが、オメガの登場に女子寮に緊張感が増したのをエリスは感じた。メジーナのパートナーだとしても、女子達はオメガを良く思っていないのかもしれない。
そのオメガは女子寮にカテジナがいる事を察知した。それはロボットが女子寮に侵入した事で捕まえに来たのか。誰かの情報なのか。エリスが持つトンファーが、カテジナの武器だとオメガには分かり、メジーナの部屋でオメガから尋問を受ける羽目になったのだ。
「……ふん。まぁ、今回は役目を果たしたと認識しようか。ロボットはカテジナを狙ってきたのだろ? これが連続機人殺しの犯人とは思えないが、手がかりにはなる」
エリスが倒したロボットはオメガの指示により、後から訪れた研究者らしき集団に回収された。それは城の兵士ではなく、白衣を着ていた。
「それなら用は済んだんじゃないの? ここにカテジナはいないわけだしさ。この武器はカテジナから貰った物だから返さないわよ」
カテジナから貰ったわけではないが、エリスはオメガに渡すのも癪だと思い、自分の物だと答えた。
「まともな武器を持ってきてなかったようだからな。カテジナが渡したとなれば、所有を認めよう。警護するのにも必要となるわけだからな。それと……今は引き上げるとしようか。勇者の目の届くところにいれば安全。問題が起きれば、お前のせいになるが」
オメガはエリスに警告した後、メジーナの部屋から出ていった。
「嫌な感じ……カテジナが逃げるのも分かる気がするわ。店長も何で一緒にいるわけ?」
店長はオメガに付いて行かず、メジーナの部屋に留まった。下着を漁るためではない。
「昔馴染みと言うべきか……アイツの事はよく知っている。警戒のために一緒にいる。別にお前のためじゃない」
店長がお前といったのはエリスにではなく、カテジナ。カテジナはまだメジーナの部屋の中にいた。透明化はエリスだけでなく、オメガや店長にも見破る事は可能だった。それを店長がカテジナの盾となり、ジャミングを発生された事によって発見させないようにしたのだった。
「ありがとうございます。オメガから逃げてるというよりも、私自身が調べないといけない問題が発生したからで……下手に動けば周囲に迷惑をかけてしまうのは分かりました。だから、エリスの頼みを終えたら、戻る事にします。それをオメガに伝えてください」
エリスの頼みというのは、メジーナと三人で写真を撮る事。それを終えれば、カテジナはオメガの元に戻るつもりなのだ。




