兵器対魔法 機械少女対魔王 ー7ー
(……ああ。何となく意味が分かった。こっちの動きも制限されるのもな……良い方法は……そういえば機械は水に弱いイメージがあるか)
日常生活や機学の授業内容で全てではないが、水に弱いというの一面があった。それならば使う魔法は水。サイガの属性ではなく、今の状態では強力な魔法は放つ事は出来ないが、その方が都合がいい。
「弾くのは水の球体、スプラッシュ!」
サイガの手から大きな水の固まりが生み出された。それはカテジナに直撃させるための魔法ではなく、上に放ったのだ。
「どこを攻撃しているのですか? 攻撃を何度か避けられたのも偶然だったわけですね」
カテジナは詠唱を妨害する事は可能だったが、サイガを分析するために動きを止めたのだ。
「だが、これからは偶然じゃない。本当の勝負はここからだ」
上に放った水の球体は、部屋である事から天井があり、それがぶつかった事で飛沫になり、全体に一時的に雨を降られた。それがカテジナの光学迷彩を破った。水がカテジナの体には当たるのもそうだが、光の反射が変化したのも大きい。
(何で水の魔法なんじゃ。部屋全体に闇魔法を撒き散らす方がダメージを与えられたじゃろ)
アイシャが言うように、スプラッシュではカテジナの透明化を無効にしただけ。闇魔法でシャボン玉のような球を無数に散らばらせる事でカテジナの居場所を見つける事が出来、尚且つダメージも与えられた。だが、サイガが移動した場合も本人がダメージを受ける可能性もあるのだ。
(いや……出来るだけ傷付けたくないなと思って。五分経過すれば俺の勝ちなんだよな。攻撃しなくても、避けてれば時間は過ぎる。残り二分もないだろ)
カテジナがエリスと戦うためには、サイガを五分以内に倒さなければならない。それも三分経過している。サイガから攻撃を仕掛けなくとも終了する事は可能。そのためにサイガは強気な発言をカテジナに向けたのだ。
「……面白いですね。貴方の戦闘に興味が沸きました。オメガ、残り時間は」
「五分だ。スイッチを入れ忘れていたからな。勝負はここから……相手もそう言っているが」
オメガはサイガの言葉の揚げ足を取り、今までの時間を無効にしようとした。
「本人が言ったのだから仕方あるまい。カテジナも肩慣らし程度のようであったからな」
(お前が言った事じゃ。口は災いの元。責任を取るしかあるまい。避けるだけでは済まないと思うぞ)
(そこは止めろよ! エリスとカテジナを戦わせたくなかったんだろ。ニヤニヤと笑いやがって……自分の趣旨を変えたな)
オメガやアイシャの映像は雨に打たれても消える事はなく、五分の延長の決定がサイガに伝えられた。それをアイシャは断るはずなのだが、カテジナの戦闘を確認するのは建前で、サイガをいたぶるというアイシャの悪い癖、S心が出てしまったのだ。




