兵器対魔法 機械少女対魔王 ー6ー
そして、サイガは気付けば地面に顔をつけて倒されていた。
「これで終わったはずです。すぐに担架の用意を……」
カテジナはサイガの背後に立っていて、勝負が決した事をオメガに伝えようとした。
「痛っ……首に一撃かよ。全く見えてなかったぞ。スピードならエリスを超えてるんじゃないのか?」
サイガは首を擦りながら、ふらつく事もなく立ち上がった。それはカテジナが手加減したという可能性はある。だが、カテジナの攻撃には何の反応も出来なかった事が、サイガはに驚異に感じたのだ。
「……頑丈なのですね。出来れば気絶してもらったほうが、痛い目に合わさずに済んだのですが」
カテジナは首への一撃で倒せないのであればと、威力を上げるつもりなのだろう。またもやカテジナの姿はサイガの目には消えた。先程の攻撃によって、カテジナにはスピードがある。少しの動きにもサイガは反応する準備をしていたはずだった。
(何をぼっ~としておる! 左から顎を狙ってきとるぞ)
それがアイシャの声によって反射的にカテジナの攻撃を避ける事が出来たのだった。それでも側に近付かれながらも、サイガはまるで分かっていなかった。そして、カテジナは避けられた事に一瞬戸惑いを見せながら、同じ様に姿を消していく。
(おい……お前にはカテジナのスピードが見えてるのか?エリスよりスピードがあるぞ。今の俺だと捕まえるどころか、全く見えないんだけど)
(何を言っておる。こちらの映像で、お前は挙動不審にあちこちを見ておるようじゃが、カテジナはゆっくり近付いてるだけじゃぞ。見えぬほうがおかしい……と、なるほどな。次は正面じゃ。後方へ飛べ)
アイシャは蝙蝠ではなく、カメラ映像からサイガ達の戦闘を確認し、カテジナの動きを把握していた。その動きにサイガが見えていないのがおかしいと言うのだ。その証拠にアイシャの言葉によって、カテジナの攻撃を再度避ける事に成功した。正面からの攻撃であればすぐに分かるはずなのに、攻撃モーション時にようやくサイガはカテジナを視認する事が出来たのだ。
(一人ので納得してないで説明してくれ。こんな状態で勝つなんて不可能だぞ)
(お前の知らない技術。この場はカテジナの有利になるよう造られておるようじゃな。速さなどではなく、この部屋がカテジナを光学迷彩というもので透明化させておるんじゃよ)
(透明化って……機界の技術はそんな事も出来るのかよ。覗きとかし放題……じゃない。どうするんだよ。ゆっくり動いていたのなら、今度はスピードを上げてくる。アイシャの声に反応出来なくなるぞ)
その言葉のように、サイガは連続してカテジナの打撃を受けた。威力は弱いのは、武器を使用していないのにこの展開なのだというのをカテジナは示し、戦意を削ぐように仕向けたのだろう。
(オメガの相手もしなくてはならないからな。何も話さなければ怪しまれる。お前が透明化を破るしかないな。方法はいくらでもある。カテジナがいる場所を把握すればいいだけじゃからな。補助魔法など使えずとも、攻撃魔法でも可能じゃろ)




