兵器対魔法 機械少女対魔王 ー3ー
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「ここが男子寮になります。女子寮に比べると設備は劣るんですけど」
男子寮はゼータ学園から離れて山道を一キロほどにあり、女子寮とは正反対の方向に位置する。外観は可愛げなどない十階建ての鉄の箱。監視カメラなども設置され、ミクス国で見た研究所をサイガは思い出した。
「中も凄いな。入口は自動だし、上の階に行くのも階段を使わないんだな。これで設備が女子寮に劣るなんて」
サイガとアズが寮内に入る時、ドアノブなど触らず、サイガ達を感知して自動的に開いたのだ。さらに十階ほどある建物なのに階段がなく、エレベーターと呼ばれる箱が上へと運んでくれるのだった。
「女子寮の設備の良さも警備システムとか入浴とかだけですけど。食堂は自動調理になっているので、飛空艇のような事はありませんから」
アズは車でサイガが言った事を思い出したのか、食事は楽できる教えたのだが、それよりも気になる事がサイガにはあった。
寮内には多くの生徒、人間や機人、魔族もいる。ラキアス学園のように単位制であり、時間割によって授業がない時もあるのだろう。問題なのは寮内にいる生徒の、アズへの態度。誰も挨拶する素振りも見せないどころか、避けているようにも見えるのだ。カテジナを目覚めさせた有名人という事で嫉妬という感じではなく、恐れ。サイガも魔王だった時に、感じた疎外感。
「そういえば、何でアズは一人部屋なんだ? 相手がいなくなったってメジーナが言ってたんだが」
アズと寮内の生徒の距離感を考えると、いなくなったというよりも離れていった感じがある。何か原因があるとすれば、サイガは協力しようかと思ったのだ。
「メジーナが……いつかはバレる事ですね。僕が皆から距離を取られてるから、気になったんですよね。それは僕と一緒の部屋だった人達が亡くなっているから。それも一度だけじゃなくて……どれもが奇妙というか……一人は部屋で殺されもしたんです」
アズと一緒の部屋にいたのは機人ばかり。それが何者かに破壊されたのだ。部屋で起きたという事でアズが犯人ではないかとも疑われた事もあったらしい。そういう事が起きた事で、アズに関わる者は不幸になると周囲に思われているらしいのだ。
「ちょっと待て……そんな場所に泊めるって……アズが原因じゃなくて、呪われた部屋とかじゃないのか?」
「いえ……僕には何の問題もないし、呪いとかそういう類の事件はなかったと思います。人や魔族とかならまだしも、機人に効くかは分かりませんし」
確かに呪いの部屋であるなら、アズだけが無事なのはおかしい。機人だけというのも気になる。機械類に関してはアズや機人が詳しく、部屋に何かあれば気付くはず。魔力が関係するのであればと、サイガはアズの部屋に入る際に警戒する事にした。
アズの部屋は最上階の一番奥。場所としては不気味なのは確かだ。寮内にも監視カメラは幾つか設置されており、一人の機人が部屋で殺されたとすれば犯人が映っていてもおかしくはないはず。それが誰だか判明していない事で、アズが疑われたのだ。




