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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
第一章 アルフレッド編

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地下の化け物

 長いハシゴを降り終え、フィーナとミレットのふたりはようやく最深部に辿り着いた。

 二人が降り立った空間はかなりの奥行きがあり、相当な広がりがある事を感じさせる。

 対象的に空気は淀んでおり、植物の臭いの様な生臭い臭いが辺りに漂っている。

 地面も壁も完全な岩場だが自然に出来た洞穴などではなく、人為的に作られた空間である事は壁や地面の整い方から見れば明白であった。

(…………)

 なんとなく、底に降りれば敵がすぐに見つかると思っていたフィーナだが、近くに敵の気配は感じられない。

 フィーナの暗視能力を付与した目にも、敵らしい存在も女の子らしい人影も見つける事は出来ていない。

 それにしても、王都の地下にこんな空間が広がっているとはとても信じられなかった。

 もしかしたら王都が建設される前に造られた遺跡か何かの名残かもしれない。

 床の一部には窪んだところもあり水が溜まっている。

 ミレットは何かを探しているのか耳を立ててキョロキョロしたり鼻をスンスンさせて周囲を探っている様だ。

「せんぱ〜い、何がありませんか? 手がかりになりそうな何か」

 周囲はホーリーライトの光で照らされているのみで、気になる様なモノは見当たらず広いスペースに柱が何本か立っているのが見えるだけだ。

「あれ……?」

 フィーナが何の気無しにの柱を見ているとその内の一本が何やら細くなっていくのが見えた。細くなった柱はゆらゆらと揺れ始めたかと思うとフィーナ達目掛けて倒れてきた。

「先輩、危ない!」

「え?」


ードン!ー


「うっ!」

 ミレットに突き飛ばされフィーナは地面に倒れた。次の瞬間フィーナがいた場所に柱が倒れてきていた。


ーバシィン!ー


 倒れてきた柱はムチのようにしなっており柱は先端のみが地面に付いており今度は少し浮き上がったかと思うと


ーブォン!ー


 地面スレスレを払う様にフィーナに迫ってきた。

(く……!)

 地面に倒れたフィーナには立ち上がる暇も無く、地面に座って手で防御の体勢を取るくらいの事しか出来なかった。

「先輩!」


ーバシッ!バシッ!ー


 ミレットはフィーナと柱の間に割って入って猫パンチを繰り出した。ミレットの猫パンチの攻撃に柱は全体を持ち上げる様に起き上がり今度はミレット目掛けて倒れてきた。


ーゴォォッ!ー


「先輩! 早く立って!」

 倒れてきた柱に猫パンチを繰り出しつつ、フィーナに向かってミレットが叫ぶ。

「あ、あれは柱じゃない……?」

 立ち上がったフィーナの視界に周囲の柱が次々と細くなっていく様子が飛び込んできた。

(……!)

 よく見ると、最初の柱もそうだが周囲の柱もただの柱ではなく緑濃色の触手だった。それらの一部はミレットを攻撃し始め残った触手がフィーナ目掛けて倒れる様に先端を地面に叩きつけてきた。

「くっ!」

 フィーナは飛び退いてなんとか触手の叩き付け攻撃を回避しつつ反撃を試みる。

 狙いやすい長い触手の先端と根元の中間点にセイクリッドアローを放つ。

「はぁっ!」


ーバシュウッ!ー


 今度の光の矢は十本分の威力を持つものを打ってみた。さっきの地下室で撃った通常のものでは致命傷を与えられなかったからだ。

 きちんと狙いを定められる余裕もあったので十倍の威力の光の矢は正確無比に触手に命中し、軽々とその中央を抉り取った。

「やった……?」

 中央から先を落とされた触手は痛がる様にうねうねと動いている。

 また、地面に落ちた先端部は陸に打ち上げられた魚の様にピチピチと跳ねていた。

 今攻撃した触手は長さが半分程度になりフィーナのいる場所までは攻撃が届かなくなった。その事を確認したフィーナは触手の攻撃を避けつつ次の光の矢の為に残りの触手に狙いを付ける。

「はあぁっ!」


ーバババババシュッ!ー


 通常の十倍の威力の光の矢を確認出来る触手の本数分、およそ二十の光の矢を撃ち出した。

 普通の人間には到底真似が出来ない芸当だが彼女は女神だからこの位は普通である。

 ここ数日はレアから必要経費として神力をフルで支給されているので、この世界の指標で百万以上は確実な信仰心を保有している事になる。

 そんなフィーナからすればセイクリッドアローを何本も撃った所で些事に過ぎない。

 こんな事をグレースにでも見られたらどうなるか……信仰の対象として崇められるのはまず間違い無い。

(こんな事、人前ではとても出来ないですね……。)

 一応ミレットに見られているが、彼女からは信仰の対象として見られる事にはならない様な気がする。

 今回撃ち出した光の矢は触手の根本を狙って撃った為、触手達は根こそぎ根本から刈り取られる事となり、大量の触手の切れ端が地面の上でビタンビタンと跳ねている。

「ニャニャニャニャニャーッ!」


ーズバッズバッズバッ!ー


 ミレットは地面でビタンビタンと跳ねている触手の切れ端は彼女の猫パンチで更に細切れにされていった。

 彼女のその行動は敵を念入りに止めを差しておくというよりは、本能的に動いているモノに反応してじゃれついている様に見えなくも無い。

(猫……ですね)

 フィーナがミレットの行動に妙に納得していると、触手を細切れにし終えたミレットがスッキリとした表情で近付いてきた。

「ふぅ〜、やっぱり先輩すごいですね。ズババババってやってドッカーンですもん」

 身振り手振りを加えながらミレットはフィーナを見た感想を語った。

 一から十まで褒められてる様でフィーナはなんだかこそばゆい気がしてならなかった。その時


ーザザアアアァ!ー


 水が溜まっている場所から何かが盛り上がってきた。緑濃色をしたまっすぐ伸びた太い円柱状の胴体の上の方には、赤い色をした植物の蕾の様なモノが付いている。そして、胴体が上がってくると共に多数の触手もうねうねと上がってきた。

「ミレットさん、この化け物って一体……?」

 こんな化け物を見た事も無いフィーナが思わずミレットにたずねてみるが……

「わ、私も知らないですよ! こんなの見た事も無いですって!」

 二人がこんなやり取りをしている間に化け物は赤い蕾の部分をもたげフィーナ達の方を向くようにして動きを止めた。そして開かれる花びらの様な頂上部……

「そ、そんな……!」

 開かれた蕾の中を見たフィーナは驚きの声を上げた。蕾の中……中央部には雄しべの様なモノがありそこには数人の捕らえられた女の子達が居たからだ。

 実のところフィーナは敵の頭を吹き飛ばせば倒せるだろうと単純に考えていたところだったので、人質となっている少女の所在が確認できたのが実行に移す前で良かったと少しほっとしていた。

 もっともあの化け物に頭部という概念があるかどうかは分からない。見た目は植物の化け物といった感じだが、地下深くのこの場所では光合成が出来ているとは思えない。

(…………)

 フィーナは無駄な事を考えるのは止めにした。異世界の生態系に自分の中の常識を当てはめて考えたところで意味は無い。

 いま重要なのは女の子達の救出と地下からの脱出である。可能であれば化け物も駆除しておきたいところだが……

(とにかく人質の女の子達を助けなきゃ……)

 大きな化け物を相手にフィーナは自身の行動方針を考えるのであった。

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