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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
最終章 黙示録編

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陰鬱な南の森

 翌日、ややどんよりとした曇り空だが冒険するには差し支えのない空模様だった。

「よ〜し、それじゃ南の森に出発すんぞ! いくぞ野郎共ぉ!」

「おぉ〜!」

「とっとと終わらせて帰ろうぜ!」

「気を抜くなよ〜!」

 一応のリーダーのファングの掛け声の元、フィーナ達は宿から程近い南の森にあるソーマの拠点に向け出立を始めた。

「昨日の内に上空から見て回ったが大した障害は無かった。あまり心配は要らないだろう」

 昨日、いつの間にか居なくなっていた赤竜ヴェルは朝にはフィーナの元に帰ってきていた。

 なぜ昨日居なかったのかフィーナが尋ねてみたところ

「女達で風呂に入るというのに、我が一緒に居る訳にはいかんだろう?」

 気を使って、邪魔しない様に単独で威力偵察をしていたそうだ。

「そ、そうですね。色々気を使わせてしまってすみません……」

 南の森へ歩きながらヴェルに謝るフィーナと、それを全く意に介さずヴェルはフィーナの肩に留まるのだった。

 場に似つかわしくない森中の石畳の街道を歩いていると、以前に王国の慰霊行事の縁でレアが設置した慰霊碑が見えてきた。

「ああ、これが女神様が建てたっつー慰霊碑か」

「そうっすね」

「なんでもよく分からない石で作られてるって話だぜ」

「盗もうとしたら天罰食らうって話だ。くわばらくわばら……」

白銀の群狼古参メンバーを始め、皆が慰霊碑を通り過ぎていく中、ただ一人立ち止まり膝を付いて祈りを捧げだしたのは

「全能なる女神様、どうか戦地に赴く勇者達に神のご加護と幸運をお与え下さい……」

 神官のシンシアだった。彼女はこの時代では少数派となる女神を自身の目で確認した数少ない聖職者である。

 自分の目で確かに垣間見た女神の奇跡は彼女に揺るぎない信仰心を植え付けていた。

(犠牲になられた皆様、どうか安らかに……)

 それを見たフィーナも手を合わせ会釈気味に頭を下げて、この街道で死霊術師の犠牲になった魂達の鎮魂を願うのだった。

 この辺りに漂っていた魂の多くは天界に還りくつろぎスペースで魂を癒しているはずだ。

 非業の死を遂げた者などは、次に転生するまで一時の安らぎの時間が与えられるのだ。

 だが、前回の慰霊式典で威霊されなかった魂が残っていないとは限らない。

 フィーナはそんな不幸な魂が居ない事を願いながらも、不幸な者達の為に祈りを捧げ安らぎを願わずには居られなかった。

「ほら、急ぐわよ。もう少し進んだら森の中に入っていかなきゃならないんだからね」

 祈りを捧げるフィーナとシンシアにエルフィーネから隊列に戻る様、指示が飛んできた。

「あ、は〜い! シンシアさん、行きましょう」

 エルフィーネの声に反応したフィーナはシンシアの祈りが一段落したのを見計らって彼女に移動を促す。

「は、はい。すみません……」

 立ち上がったシンシアは錫杖を手に皆の後を追いかけ始め、フィーナもまた彼女の後に続くのだった。

 フィーナ達はグレースの部下から死霊術師が拠点としていた地下遺跡の所在は確認していた。

 後はただその地点を目指して森の中を草木を掻き分けて進むだけだったのだが……フィーナ達が街道から森に入って二時間が過ぎた頃……

「な、なんだこいつら!」

「周りを囲まれてるぞ!」

「土塊の化け物だ!」

「円陣を組め! フィーナ、シンシアも早く来い!」

 先頭を歩いていたファング達から敵の待ち伏せを知らせる声が上がった。

 進行方向の森の奥で土で出来たゴーレムの様な何かに囲まれているのが見える。

 今の伸び切った隊列のまま戦うより円陣防御を組んで魔術師であるプロージットやフィーナ、神官のシンシアを囲んで守りながら戦った方が良いという判断だろう。

(この敵は……!)

 フィーナはかつて自身を襲ってきた地中から伸びてきた手の化け物との共通点を思い起こしていた。

「皆さん! 足元に気を付けて下さい! この敵は地中から出てきます!」

 最後尾を急ぐフィーナが皆に声を掛けて注意を促す。

「ここで、ブレスを吐いて火の海にする訳にはいかんな。上から警戒に入る」


ーバサッバサッバサッー


 フィーナの肩の上から赤竜ヴェルが、森の中を監視する為器用に飛び上がった。

「こいつら剣が効かねぇぞ!」

「剣が土に埋まって刃が立たねぇ!」

「奴らドンドン増えてきやがるぞ!」

「狼狽えんな! どうにかしてぶった切れ!」

 白銀の群狼古参メンバーの面々は土塊人形に押されていた。だがその時

「あんな奴等は大質量でぶん殴りゃ良いんだよ、おりゃあ!」


ーゴシャアッ! グシャァッ!ー


 シルバーベアが大剣を振るうと土塊人形はボロ雑巾の様にひしゃげて吹き飛んでいった。

 しかし、優位に立てているのはシルバーベアだけでしかなく、他の面々は土塊人形相手に手を焼いていた。

 その時、上空に飛び上がっていた赤竜ヴェルが手当たり次第に土塊に火球を吐き出していき


ーゴオオオオッ!ー


 土塊の外殻を焼き尽くし砂へと変化させていく。そんな土塊の中から現れたのは


ーサアアァァァ……ー


 ただのスケルトンだった。

「外殻は剥がした! お前達は中身を叩け!」

 上空のヴェルから、激が飛ばされる。普通のスケルトンであれぱ白銀の群狼の敵では無い。

「おらあっ!」


ーバキッ!ー


「うらゃあ!」


ードガッ!ー


「このヤロゥ!」


ーズガッ!ー


「くたばりやがれ!」


ードゴッ!ー


 フィーナとシンシアがパーティーの円陣の中に到着する頃には土塊人形の数も狼達によって大分減らされていた。

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