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異世界転生係で神畜の女神やってます  作者: 大鳳
最終章 黙示録編

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必殺冒険者

「あの、大体はアルの学費ですし、私に何かあった時の貯金ですからあまり多くは……」

 まだ十歳のアルフレッドがこの王都で成人まで暮らしていくには非常にお金が掛かってしまう。

 その辺りを危惧したフィーナは二つ返事で大金を用意する事は出来ないでいた。

(あ……!)

 フィーナはその時、ヘソクリに似た存在が収納空間に入れてあるのを思い出した。

 フィーナはファング達のテーブルにまで移動すると収納空間から一つの小袋を取り出してファング達ののテーブルの上に置いた。

「これが私が自由に出来るお金ですが、この国のお金じゃなくて……それならお支払い出来ますが……」

 フィーナがテーブルに置いた小袋にファングが手を伸ばす。

「なんかすげー高そうな袋だな。えーと」

 紐を解いて小袋を逆さまにして中身をテーブルにぶちまけ始めた彼の前に


ーコトン……コトン……ー


 袋から数枚の銀色に輝くやや厚めの硬貨が落ちてきた。

「なんだ、銀貨じゃねぇか、大層なモンかと思ったらよぉ〜」

ファングはテーブルに散らばった硬貨にあまり興味を示さなかったが

「ちょっと、それ……!」

 真顔になったエルフィーネが硬貨の一枚を拾い上げると、自身の冒険者証と交互に凝視し始め

「これ、白金貨じゃない! あんた、こんなの何処で手に入れたのよ!」

 エルフィーネはちゃっかり白金貨を胸元に仕舞うと傍らに立っていたフィーナに掴みかかる。


ーギリギリギリギリー


「これは、その昔お世話になった方から……く、苦しい……」

 胸ぐらをエルフィーネに締め上げられたフィーナだが、異世界のバルドゥジアク卿から貰ったなどと馬鹿正直に話す訳にもいかず……

「でも、どうすんだよ? この硬貨が白金だとしても七枚しか無いんだぜ? 一人一枚にしたって数が……」

 ファングが辺りを見回すが、白銀の群狼のメンバーがファング、ラット、ダンク、ノッポ、ミレットにプロージット、メイプルにマリベルで既に八人。

 それに加えてエルフィーネとシルバーベアの二人も居る為、均等割では到底足りない枚数となるのだが……。

「そんなのパーティー別で分ければ良いじゃない? 私と大男とあんたらで三分割。残りはそっちの聖騎士さんに取っといて貰えば丸く収まるでしょ?」

 中々自分勝手な物言いのエルフィーネに

「ばっか! マジふざけんな! こっちは大所帯なんだ! どこが均等なんだよ!」

 ファングが噛み付いた。さらに

「そーだそーだ!」

「性女のくせに横暴だぞ!」

「引っ込め、まな板!」

 ラット、タンク、ノッポの三人からも援護射撃が飛んできた。

 同じテーブルのメイプルとマリベルの二人は笑って誤魔化してるが、彼等に同調する気は無い様だ。

「だまらっしゃい! モブ共! こういう時ぐらい年長者を立てなさいよ!」

 流石に罵倒されてはエルフィーネも引くつもりは無いらしい。このままでは収集が付かなくなるのを恐れたのか

「皆さん、ここは私に預けては頂けないでしょうか?」

 グレースから申し出が出てきた。彼女が言うには両替にも困りそうな白金貨よりも、同価値の金貨に換金して山分けした方が分かりやすいのでは?というものだった。

「わ、私はそれで大丈夫ですけど……」

 依頼主に当たるフィーナからすればグレースの提案に反対する理由は何も無い。

「まぁ、聖騎士様に言われちゃなぁ……」

「そっすね……」

「まぁ、白金貨なんてどう使えば良いか分からないもんな」

「聖騎士さんにお任せします……」

 ファングも彼の仲間達も王国のお偉いさんに楯突くつもりは無い様だ。

「エルフィーネ様、先程の硬貨、一枚戻して頂けますか?」

 グレースはやや控えめながらも一歩も引かない様子で、既に一枚白金貨を拝借しているエルフィーネに返却を要求する。

「わかったわよ〜。返せば良いんでしょ返せば……」

 エルフィーネは不服そうな顔を隠そうともしないで白金貨をテーブルに返却する。

「そろそろ、でしょうか……」

 グレースが白金貨の小袋を仕舞うと外から


ーガラガラガラガラ……ギギィッ!ー


 やってきた馬車が店の前で止まる音が宿屋の中まで聞こえてきた。そして


ーカランカラン!ー


「グレース様! 輸送隊、第一小隊! 只今到着致しました!」

 輸送隊の隊長らしい兵士が数名の部下を引き連れて店内に入ってきた。また

「あの〜、失礼します。エルフィーネさんに呼ばれて来たんですが……こちらで合ってますか?」

 宿屋の入り口からおずおずと中の様子を窺っているのは、緑髪の神官シンシアだ。

「あ〜、こっちこっち! ごめんね〜無理言っちゃって〜」

 エルフィーネの手招きに遠慮しながら入店したシンシアは

「いえいえ、フィーナさんのお手伝いが出来るなら私も嬉しいですから」

 どうやらエルフィーネはシンシアにも今回の件を伝えて助力を願っていた様だ。

 確かに、今のフィーナ達のパーティーは戦士偏重であり、回復魔法の使い手は一人でも多い方がありがたい。

 フィーナと交友のある聖職者と言えばグレースとシンシアの二人しか居ないが……。

「あ、あの……シンシアさん? これは私事なので無理にご同行されなくても……大丈夫ですから」

 フィーナは仕事とは言えない自分の我儘に付き合わせたく無い様だが……

「フィーナさんにはお世話になってますから! 少しは私にも恩返しさせて下さい!」

 シンシアは控えめな性格だと思っていたが、実は情に厚く行動的な一面もある様だった。

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